Abstracta - T.R.I.P.Elevate Records
(1998)
イタリアの至宝的存在、Abstractaによる1stアルバム。このアルバムには、非常に素晴らしいものが数多く含まれていて、非常に楽しんだアルバムの一つです。Elevate Recordsに関して、契約をしたバンドやミュージシャン達から、余りいい評判を耳にしないのでありますが、ここからリリースされているバンドのアルバムは、個人的には大当たりのProg Metalバンドが少なくないので、注目しておりました。Abstractaは、まさにEmptry TremorやPower of Omens等と並んで、そういう面白い存在です。最初から最後まで、非常にスリリング且つ豪快なProgressive Metalサウンドが展開されていて、極上であります。このバンドが演奏するサウンドやスタイルは、非常に興味深いと感じさせるものが多々ありました。
Prog Metalバンド勢の中では、Abstractaは、割とソフト目〜ハード目と言ったところであります。Shadow Gallery, Ivanhoe, Emptry Tremor辺りが好きな人や、ソフト路線のProg Metalやプログレハード勢が楽しめるファンにもお薦めのバンドです。これだけテンションをキープしながら、ドラマティック且つプログレッシヴな楽曲を次から次へと繰り出すのが、素晴らしい。とにかく目が離せないほどの充実感を味わうことができました。そして、このバンドも他のイタリアのProg Rock/Prog Metalバンドが持っているエレガントな部分や、リリシズムを強く感じさせます。確かに比較対象というか、レファレンス・ポイントとして上記で、Dream Theaterを挙げているものの、DTの持つスタイルとは結構おもむきが異なる部分が多いです。むしろLiquid Tension Experimentに通じる演奏力の高さは、本当にお見事であります。イタリアのProg Rockの伝統を継承しつつ、各ミュージシャンの持ち味をいかした大変面白いユニークなProg Metal/Rock作品に仕上がっていると思います。T.R.I.P.自体は、かなりロングフォームの楽曲が数多く収録されているが、起承転結が見事に組み立てられており、のめり込むことができました。どの楽曲も非常に、うまくアレンジされているし、各ミュージシャンがどれもハイレベルな腕前と、高い知性と感性を持っているのが如実に伝わってくる。
このバンドで、歌を担当しているのは、日本でも人気の高いDGMのシンガーTitta Taniその人であります (ちなみにTittaは、これまた良質なProg MetalバンドGlory Hunterとも縁が深いです）。また、ドラマーのGiuseppe Orlandoは、アトモスフェリック・メタル系バンドのNovembreとも縁のある人だそうです。 とにかく、イタリアは90年後半からSymphonic Metalを始め、Prog Metalシーンでも台頭をしてきましたが、このAbstractaはその中でも折り紙の実力者であると断言したい。ただ、惜しむらくは、このアルバムを最後に彼らの次が聞こえてこないのが、残念極まりない。いつか、復活して何か出して欲しいと切に期待をしたい存在のひとつだ。(購入盤Review)
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