ALL TOO HUMAN
country: USA
style: Prog Metal, Prog Rock
website: http://www.alltoohuman.com/
related bands/artists: Muzik, Paul Vander, Chris McIuan, Derek Sherinian (Planet X), etc.
similar bands: Rush, Andeavor, Fates Warning, Shoggoth, Afterlife, Freewill (U.S.A.), Dream Theater, etc.
artist info: アメリカはテキサス州を拠点として活動をしている、ハードなProg Metal音楽を演奏。



All Too Human - Forever And A Day
R/R Records
(1998)

1995年にバンドを結成以来、コンスタントに活動をしているインディーズ系Prog Metalバンドによる1stアルバムです。バンドの中心人物であるMaurice Taylorがペンを取った楽曲を主に収録しているが、外部のソングライターがてがけた歌詞もかなり多く含まれている。音楽性やスタイルは、確かにProg Metalタイプのものと言えるでしょう。しかし、後のテクニカル技巧派指向の2ndアルバムと異なり、ハードな楽曲からアコースティックギターが主体のソフトな路線を含めて、いろんなことに挑戦しようとしている様子が伺える。この当時のメンバーは楽曲の世界観やバンドのアンサンブル度を重視しているせいか、ギターソロも驚くほど派手なものは殆ど登場しない。印象的なフレージングやロングトーンが心地よく鳴り響くといった風情が中心であり、シンガーのPaul Vanderによる朗々とした歌が主役となっている。曲によってはかなりレイドバックしているので、派手めの演奏を聴きたいProg Metal指向のリスナーには2ndアルバムからトライして欲しい。・・けども、この1stアルバムは長く付き合っていくと、味わいが滲み出てくるのがヨロシイのではないでしょうか。アルバムの中盤辺りは、Rushからの影響が見られる楽曲フォーマットも登場するし、後半の7・8曲目は、後のテクニカル志向に移行する前夜の様子を伺うことができる。特にアルバム後半は変拍子もよい起伏を作り出しているのが、心強い。意外と全体的に聞きやすいと思うが、メロディーラインに関してのインパクトは最初は弱いかもしれない。印象的なリフやコンプレックスなアンサンブル、そして主役のリードボーカルに耳を傾けながら、個人的には楽しんで行くことができました。聞き手によっては物足りないと感じさせる部分は多いであろう・・・、だがスルメイカのように噛めば次第に味わいが出てくるアルバムというのが僕の感想です。(プロモ盤Review)


All Too Human - Entropy
R/R Records
(2002)

Entropyは、All Too Humanにとって2枚目のアルバムになります。前作Forever And Dayと比べると、今回の作品では演奏や楽曲面で明らかな進歩が見られます。オープニングトラックのEntropyから、メリハリの効いたドライビングチューンが登場します。スピード感に溢れ、爆発力の充分なハードProg Metalが結構このアルバムには何曲か配されていて個人的には印象が割と良かったです。演奏面だけをとっても、バンド自体のアンサンブルが大変強力になっている。楽曲の大半は、元々2000年辺りから作られていたアイディアやマテリアルを熟成させた仕上がりにしているそうです。前作で見られたような迷いのようなものは、感じません。それぞれの楽曲が7分から10分代のものが多いので、初めて彼らの音楽に触れるリスナーは集中力を要すると思います。しかし、この手の音楽全般が好きな方は繰り返し・リピートして聴いていただくことによって、楽しんでいただけるのではないかと思います。

サウンドプロダクションは、とくに誰か特別なプロデューサーを使っている訳でもないのですが、インディーズのリリースながら音の輪郭もはっきりとしていて厚味も充分あります。この手の音楽にとって必要なバランスもとれているように見受けられます。彼らの場合、割と歌を軸に楽曲指向で展開されていますが、どの楽曲でもバンドメンバーそれぞれ見せ場があります。テキサス出身のバンドというとWatchtowerPower of Omensなどのようにアンサンブルが緻密かつ非常にテクニカルな演奏を得意としている連中が多いですが、All Too Humanもそういったバンドのレベルに近づこうと努力している様子が伺えます。技術的にもアンサンブル的にも磨きがかかってきているという印象です。

前作は、Rush + Queensryche + On The Prowl期のLoudnessといった風情を醸し出していました。しかし今回の作風は、どちらかというとFalling Into Infinity期のDream Thaeter + Fates Warningという趣きも感じられました(これについての見解はまた後ほど・・・)。特に演奏面では前の段落でも触れましたように、重厚感が出ており、なかなか良質な仕上がりに聞こえるのは僕だけでしょうか?。殆どの楽曲で強烈なグルーブとリフを繰り出しながら、時には疾風のごとく疾走します。また変拍子もアクセントに入れつつ、攻勢に展開するというところなどが個人的な楽しむポイントとなっております。

どういう経過か定かではないのですが、Planet XDerek Sherinianが数曲ほどゲスト参加しています。3曲目の「Haunted」でのシンセソロのフレージングと技術的な面は見事だなーと思います。デレクらしいノコギリ波系を強調したようなシンセソロが、Dream Theaterに参加していたころの、Falling Into Infinity的な味わいを出しています。何回か聞き込んで見ると、明らかに彼らが前作から比べるとバンドとしての結束を強固にしており、全員でよい演奏をしたい、「向上していこう」という姿勢が如実に感じられます。多分前作からのメンバーが何人か、この作品が完成するまでに交代しています。しかし、こういう難しい状況の中で、バンドのリーダー格である、ベーシストのMaurice Taylorを始めとするメンバー達の頑張りを誉め称えたい。というのが、個人的にこのアルバム全体を通して思った感想であります。これからも、ますます研鑚を積んで成長していって欲しいバンドだ。現在はまだインディペンデントでのリリースにとどまっているが、チャンスを見つけて上を目指して欲しい。(購入盤Review)

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