Angels Grace - New Era RisingUnderground Symphony
(2003)
90年代以降、数々の素晴らしいProg Metalバンドをいくつも輩出している国イタリア。そのイタリアから、魅力溢れる新人グループが登場しました。彼らの場合は、おそらくイタリアにあるDream Theaterのファンクラブ、Italian Dreamersに関連しているメンバーの何人かが意気投合し、その後に結成したのがAngels Graceのように想像しております。ブックレットの写真を見る限り、若いミュージシャン達で構成されています。
さて、この作品New Era Risingで展開している音楽性は、本当に素晴らしいと思います。基本的にはどの楽曲もロングフォームの形態ですが、あきさせずに一気に聴くことができました。スタイル的には、明らかにDream Theaterの影響化にあるものの、Time MachineやKhali、Madswordに代表されるようなItalian Prog Metal勢に通じる気品溢れるエレガントなものに仕上げていると思います。所属しているのがUnderground Symphonyということで、イタリアのMelodic/Symphonic Metalタイプの音楽ファンもチェックされているかもしれませんが、Angels Graceの場合は即効性は薄いかもしれません。
ですが、1曲1曲に込められたロマンティシズムやドラマティックに展開する音楽性は、ジャケットに表れているような美しさと優雅さを保っていて、僕は非常に気に入りました。確かにもう少しサウンド・プロダクションが向上していれば、さらに良いものになったでありましょう。それぞれのメンバーのミュージシャンとしての技量は、大変しっかりとしており評価をしたいと思います。いやー本当にProg Metalファンやイタリア勢の音楽に興味を持っているリスナーにはググっと何かを感じてもらえるかもしれません。
全編に渡って、目まぐるしくテクニカルに攻勢をかけるタイプでは決してありません。しかし、インスト勢が前面に登場するところでは、流麗で技巧的なギターソロや、素晴らしいサウンドで紡ぐキーボードソロ、そして勢いのあるリズム隊など、個人的な聴き所は充分にあります。歌メロも、とても柔和且つパッショネイトな仕上がりになっています。全体に渡ってデビュー作にして、素晴らしいものを提示していると感じました。
今後はよりエンジニアリングやプロダクション面などを補強・修正していけば、もっと素晴らしい領域に達する可能性があるのではないかな？。割とゆったりとエレガントに流れていくメロディアス且つエピック指向の楽曲が目立つ中で、8曲目のようなVanden PlasやMadsword等を彷彿させる躍動感に満ちたタイプのものもあって、緩急の使い分けも上手い。僕は大変気に入っている若手グループです。今後もぜひ精進して、成長した姿を近い将来見せて欲しいと思う。(購入盤Review)
PILGRIM WORLD推薦盤