Annon Vin - A New Gate
Zardos Music/IRS Intercord
(1996)
1996年に1stアルバムを出して以来、音沙汰が最近聞かれなくなったドイツ出身のProg Metalグループ。メンバー構成はギター・ベース・ドラムの3人のトリオ編成。やはりトリオ編成ということで、Rush辺りを彷彿させるカッティングや躍動感あふれるリズムセクションを主体とした、中々の実力派だ。しかし、このグループは、Rushというよりもお手本としては、おそらく同じドイツのSieges Evenからの影響を強く感じさせるところがある。Annon Vinの場合は、Sieges Evenほど深遠美や哲学的な思索は余り強く感じない。それどころか、ボーカル・ハーモニーや歌メロディーを聞く限りでは、「おちゃらけて」いるというか、どこか妙な部分を出している。ちょっとしたジャーマン・ジョークなのだろうか？。音的にもスタイル的にも大分異なるが、同じドイツのグループJunkfarmや、スウェーデンのFreak Kitchen辺りの飄々とした風情が好きな人にも楽しめるかもしれない。しかし、インストが充実している部分では、まさにその躍動感とテンションの高さは、Sieges Evenや7for4的かもしれないし、アメリカのSeventhsignに通じる上手さがあると思うのは自分だけだろうか？。とにかく、ベーシストの存在感が非常に高く、フレージングやビートもかなり忙しく動き回っている。ギターリストは、RushのAlex Lifesonや、Sieges EvenのMarkus Stefanよろしく的なコード・ストラクチャーやプログレッションの入れ方が大変心地よい。ドラマーもハード・フュージョン系やテクニカルProg Metal系の技を披露し、オフビートや変拍子を繰り出すことも得意としている。プロデューサーとして、Mekong DeltaでおなじみのRalf Hubertが担当している。正直言って、このグループのCDは、Prog Metal的サウンドとは言え、最初は随分と取っ付きにくいでしょう。ですが、インスト系全般とプログレメタル系サウンドの両方が好きならば、何回か聞いていくうちに「これは、ひょっとしたらヤバイかもしれない」と直に楽しめるようになると思います。演奏陣の実力は確かなものがあると、個人的には太鼓判を押させていただきます。Keyboardなどのクレジットをあえていないところで、メタル魂みたいなものも密かに感じるが、ところどころでSynthぽいサウンドも聞くことができる。またグロッケン・スパイラルのようなサウンドを入れたりと、サウンドエフェクトなども含めて、耳を凝らして聞くと面白いですよ。表面的には、おちゃらけ気味なので、シリアスな音楽を指向しているリスナーには毛嫌いされそうです。でも、このグループは、ひょっとしたら只者ではないな・・というのは、ひしひしと感じられることでしょう。(購入盤Review)