Anomaly - s/t
Bee & Bee Records
(2000)
オランダ出身の若手4人組インストProg Metalバンドで、技巧的なアンサンブルを得意としております。オランダという国も様々なスタイルのバンドやミュージシャンが存在しており、日夜、切磋琢磨を繰り広げているようです。オランダのシーンから登場した、このAnomalyは中々の実力派揃いで、ハードフュージョンをメタリックにしたようなProg Metal演奏を得意としています。リードボーカルは存在しないながらも、なかなかスリリングでテクニカルな演奏を得意としています。楽曲によっては、Allan Holdsworth風のリードギターが活躍したり、ハードフュージョンやジャズ風味のキーボードプレーが前面に出るなど、演奏陣は若手とは思えないほどの渋く卓越した技を披露してくれます。どちらかというとDream Thaeter的というよりは、Liquid Tension ExperimentやBrand X, そしてAllan Holdsworthなどのスタイルに近いという印象です。
全楽曲インストゥルメンタルで構成されているものの、非常に面白い楽曲が勢揃いしているので楽器が派手に暴れまわるような音楽が好きなリスナーには楽しめるのではないでしょうか。しかし、それと同時に気になったのは、プロダクションやサウンド・メイキングの関係からか、若干ドライというか硬いなーと感じさせる部分もあります。ボーカルが入っていない音楽が苦手であったり、即興演奏から発展したようなジャムセッション風のサウンドが苦手な人には、あまり楽しめないかもしれません。私自身は、まずミュージシャンの年齢層と、渋めのハードフュージョン路線を導入したProg Metal的インストに驚かされました。どの楽曲も、歌なしのインストという制限があるにも関わらずバラエティに富んだ内容に仕上げているのは上出来だと思いました。残念ながら、彼らは現在活動がストップ状態ということであります。もしそれぞれのメンバーが、もっと魅力的なメロディーや、より引き締まった楽曲構成などを研究していたなら、もっと凄い作品になっていた可能性はありますね。
最後にいつもの蛇足的な補足説明をしたいと思いますが、実はAnomalyというバンドがアメリカにも存在しております。アメリカのAnomalyは、元CynicのSean ReinertやSean Maloneをリズム隊にしており、割とEdwin Dareぽい感じでした。さらにもっと蛇足ですが、アメリカのAnomalyと、今回取り上げたオランダのAnomalyはスタイル的には余り似ていないです。若干リズムセクションが、ほんのちょっぴり似ているかなーと感じさせる程度です。アメリカ出身のAnomalyのギターリストさんは、よりJeff KollmanやJohn Petrucci的な流麗奏法を得意としている印象ですね・・・こんなことを書いていると、どっちのAnomalyか訳分からなくなるのでもう止めます（笑）。現在、どちらのAnomalyも入手が非常に難しいようなので、どこかで見かけたらゲットしてみてください。(購入盤Review)