BLACK JESTER
country: Italy
style/genre: Prog Metal, Symphonic Metal
website: Moonlight Circus official homepage
similar bands: Top Left Corner, Zen, Madsword, Taliesyn, Arkhe
related bands: Moonlight Circus, Helreidh, Meave of Connacht
artist info: Music Is Intelligence/WMMSに所属していたシンフォ寄りProg Metalバンド。2001年の7月ごろにバンドは解散しています。



Black Jester - Diary of A Blind Angel
WMMS
(1992)


イタリアからは、90年代ごろから数多くの優れたProg Metal系統のバンドが出現したのは記憶に新しいと思われる。このBlack Jesterは、イタリアのProg Metalシーンが勃興してきた初期のバンドの一つと考えてよいであろう。Diary of A Blind Angelは、彼らにとって記念すべきデビューアルバムとなりました。アルバム全体を通して聴いて顕著なのは、シンフォ的な色合いを加味し、メタル色をやや薄めにした、ソフト路線のItalian Prog Metalサウンドだということです。キーボードやギターが絡み合うパートが結構登場しております。ギターソロやキーボードソロが楽曲にカラフルな彩りを加えています。場面によっては、ネオ・プログレ的部分が突出したり(主にKeyboardのサウンド)、ギターが速弾き対応で割とNeo-Classical様式美も意識しているのだと思われます。リズム隊も堅実なプレーを終始心がけていますが、ここぞという部分ではスリリングに突進し変則的な流れを生んでいるところも味噌といえるでしょう。気になるボーカル・パフォーマンスに関してでありますが、リードボーカリストのAlex D'esteの歌い方が主旨ソフト目に無理なく歌っているという印象。そういう辺りや声質が柔らかめなので、どことなーくSteve Hogarthから影響を受けている感じですが、個人的には特に問題なし。しかし、このバンドを聴いてボーカルの歌い方や声質に難アリと示す意見もあるようですね。

ある程度のサウンド・プロダクションの向上や改善点、見直しなども無きにしもあらずと言ったところであります。しかしながら、イタリアのシーンが百花繚乱する初期の段階で、自分達が表現したいことをきちんと押さえているという点では個人的には大いに評価したいという気持ちがあります。キーボードによって紡ぎ出されるシンフォニックかつオーケストラルなパート、ドライヴィングするハードめのギタープレー、リズムセクションも割と活躍しています。緩急や静と動、といったようにコントラストも大事にしている感じです。楽曲のタイトルや歌詞を読む限り、このバンドは現代活躍しているProg Metal系統のバンドと比べるとより懐古的・ファンタジックなテイストを加えたテーマや内容を表現することに力を入れています。思うに、この手のシンフォ寄りで、ソフト路線のProg Metalバンド、あるいはハードめのNeo-Prog系のバンドが好みの方には楽しんでいただけると思います。

個人的には、3曲目に収録されているシンフォ・ハード路線のDiary of A Blind Angel、4曲目の後半King of Eternityで登場するスリリングな展開、しっとりとリリカルな5曲目のMother Moon、5曲目のハイライトBlack Jester Operaがドラマティック且つスピーディーな路線といった具合で中々楽しめました。ただ若干気になった点といえば演奏面よりも、歌詞の英文がややストレートぎみなので、もう少し装飾を施した文体というか表現があれば盛り上がりがもっと違ったのかな?と余計なことを考えたりしました。何は、ともあれ自分達のテーマを具現化したファンタジックなワールドはある意味Clockwork, Perfect Symmetry, Shadow Gallery, 初期のIvanhoe、そしてイタリアのProg Metalバンド達が好きな層には何かを感じていただけそうです。

残念ながら彼らは2001年ごろに解散。一部のメンバーは、Meave of ConnachtMoonlight Circusなどで活動。ちなみに、彼らのアルバムは、例のMusic Is Intelligence/WMMS関連からリリースしているので多少入手困難です。中古屋辺りやメタル専門店にいけば転がっている可能性はあります。強力にプッシュするという部類の作品ではないかもしれませんが、Prog Metalやシンフォ寄りのメタルバンドが好きな人達にとっては味わいのあるバンドではないでしょうか。(購入盤Review)


Black Jester - Welcome To The Moonlight Circus
Music Is Intelligence
(1994)

前作Diary of A Blind Angelと比べると、より自分達のやりたい音楽性に焦点が定まってきたような印象を受ける。今回の作品では、硬質でヘヴィー寄りなサウンドを導入している割合がぐっと増えているので、個人的な高感度は前作よりもアップ。前作で垣間見る事ができたファンタジック且つ、エピックな要素を大事にしたシンフォ路線のProg Metalサウンドが展開されている。特に1曲目のThe Labyrinthや7曲目に収録されている大作志向のWelcome To The Moonlight Circusなどで顕著なように、テンポチェンジや変拍子を繰り出すスリリング且つテンションの高いアンサンブルに磨きをかけてきているように思う。どことなく、初期〜中期の頃のShadow Galleryにも通じるかのような味わい深いファンタジックな内容になっている。寓話性を強く感じさせる音楽や、ストーリー性のあるイタリア風シンフォProg Metalサウンドが好みのリスナーには、楽しんでいただけるのではないでしょうか。ボーカリストAlexis D'estの歌い方や声質に難色を示す人もいるかもしれないが、前作と比べると「彼の歌にも力強さが出てきているなー」というのが自分の印象です。歌詞の内容も前作と比べると試行錯誤の後が見られるなど、進歩の軌跡を伺い知ることができる。聞き手によっては、前作同様プロダクションやサウンドに難ありか?と判断してしまう方もおられるであろう。だが、こういうノスタルジックなシンフォ風味のサウンドを武器にするBlack Jesterの音楽性に魅了されてしまうと、そういうことは取るに足らない問題だと思いますが、如何でしょうか?。(購入盤Review)

discography:


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