BYRD, JAMES (ATLANTIS RISING)
country: United States
style/genre: HR/HM, Melodic Metal, Neo-Classical, Guitar Instrumental, etc.
website: http://www.jamesbyrd.com/
related bands/artists: Fifth Angel, Atlantis Rising, James Byrd Group, TKO, etc.
similar bands/artists: Uli John Roth, Scorpions, Michael Schenker Group, Yngwie Malmsteen, Jimi Hendrix, etc.
artist info: メロディアスで叙情性を大事にした様式美HR/HMを得意とするギターリスト。



James Byrd's Atlantis Rising - s/t
Shrapnel Records/Roadrunner Records
(1991)

Fifth Angelで活躍していたシアトル出身の技巧派ギターリスト: James ByrdをフューチャーしたAtlantis Risingなるバンド名義の1stアルバム。メンバーはリード・ボーカリストを含む4人編成となっています。全編に渡って流麗なギタープレーがタップリと堪能できることでしょう。80年代のHR/HM系サウンドを始め、様式美タイプ〜ネオ・クラシカルな音が好きな人には充分満足していただけるように思います。CDがリリースされてから長い年月経っていますが、自分の場合は今でも楽しんでいる作品の一つです。音楽性はJames Byrdが得意とする欧州的なメタル〜ハードロック系サウンドが濃厚です。それと同時に80年代後期によく見られたアメリカ的な気質も出ています。サウンドの作りにもよるものか、霧が立ち込めたような湿り気を帯びた部分もあります。この辺りは欧州的な影響だけでなく、シアトル出身のミュージシャンが自然と醸し出してくる要素なのかもしれません。

おそらく比較対象としてYngwie Malmsteenや自身が在籍していたFifth Angel等を取り上げる人が多いことでしょう。James Byrdの場合はネオクラシカルということだけで括れない魅力、そして色んな引き出しを持っているギタープレーヤーだと思います。確かにYngwieからの影響は否定しません、ですがインストを主体にした楽曲に耳を傾けてみるとUli John RothJimi Hendrixの音楽性や演奏スタイルがJamesにとっての源流です。しかし、それらを自身の中に上手く取り込んでいます。サウンド全体は、瑞々しい旋律を含むハード&ヘヴィな楽曲をプレーするのが得意ということを見せています。脇を固めるリズム隊の演奏も堅実なので安心できます。Atlantis RisingのCDでは様式美の要素が強いのですが、専任のキーボーディストが在籍していないので、この辺りを残念に思う人もいるかも。ですがベーシストのEvan Sheeleyなる人物がキーボードも兼任しておりバッキングで頑張っています。

この1stアルバムで展開されている主な内容は、ScorpionsMSGDokkenなどに通じる叙情性やメロディアスな部分を打ち出しているところが素晴らしいと思います。楽曲も"Into The Light"や"Let It Out"のような疾走感が溢れるものだけでなく、"Fallen Warrior"のようなミディアムテンポのもの、"Remember Love"のようなバラード風なものを含めてバランスよく作られています。個人的なハイライトの一つが、インスト曲"Bay of Rainbows"というナンバーです。色んな要素を含むロングフォームの形態をとっております。エモーショナルなギターソロの持って行きかたは、Marty FriedmanUli John Roth的なものを彷彿させます。70年代のヘヴィロックと正統派メタルの要素を融合させたタイプと言えるかも。当時の時代背景やトレンドというのもあると思うのですが、アルバムの音作りやエンジニアリングの関係により全体的に高音部が強調されているような印象です。現代の観点からいうと、リスナーによっては中低音域に関してちょっと物足りない・・・、もしくは苦手なサウンド・プロダクションと感じる方もいらっしゃるかもしれません。80年代後半のHR/HM系に見られる特徴だと思うので、その辺りに慣れている人には問題なく受け入れられることでしょう。

繰り返しになりますが、やはり注目はJames Byrdの素晴らしいギターワークでしょう。欧州の流れを汲むドラマティックなHR/HMを見事な形で昇華、そして提示しているところが素晴らしいかぎりです。当然、どの楽曲もたっぷりとJames Byrdの演奏が堪能できますが、旋律の組み立て方が丁寧だというのがポイントです。心を鼓舞するかのような表現力が絶妙です。ギターのプレーだけでなく、このアルバムに収録されている曲が一つ一つキャッチーな部分を含んでいます。楽曲の作りは、正攻法でストレートな部分を強調しております。テクニカルな速弾きは多く登場しますが、常に美旋律を意識しているのが聴いていて頼もしい。音楽全体は、分かりやすい形態になっていることは確かです。ひとたび嵌れば魅力的なメロディーやサウンドを見出すことができるでしょう。現在はオリジナルのギターを制作・販売などをメインにしていますが、ここ最近はアルバムを作っているという話は余り耳に入ってこないのが少し寂しいかな。またAtlantis Risingの1stアルバムのような瑞々しくドラマティックな様式美が色濃く出たHR/HM系アルバムを作ってもらいたいな〜と願ってます。James ByrdそしてAtlantis Risingの1stでの音楽性は、Yngwieが好きなリスナーよりも、Michael SchenkerGeorge LynchそしてTony MacAlpineなどのスタイルを好む人達へ強くアピールする音楽性を持っているんではないでしょうか。(購入盤Review)

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