CHROMA KEY
country: U.S.
style/genre: Atmospheric Keyboard Oriented Music, Space Rock, Ambient, Electronica, Prog, New Tendencies, etc.
website: http://www.chromakey.com/
related bands/artists: Dream Theater, Fates Warning, O.S.I., Kevin Moore, On, Steve Tusher, etc.
similar bands/artists: David Sylvian, O.S.I., Tori Amos, Kevin Moore, Dream Theater, etc.
artist info: Dream Theaterのメンバーとして活躍していたキーボード奏者。現在はソロを中心とした音楽活動を展開している。



Chroma Key - Dead Air For Radios
Fight Evil Records/Massacre Records
(1998)

Dream Theaterを脱退後にKevin MooreがリリースしたChroma Keyの1stアルバムです。もう既に、いろんなところで語られているアルバムでありますが、僕の感想を中心にレヴューして行きたいと思います。ご存知の通り、Kevin Moore側からの発言によると、Dream TheaterのAwakeをリリースする頃の辺りから、既にテクニカル指向のProg Metal音楽を演奏することに関心が全く無くなっていたようであります。色々と諸説はあるようですが、遂に脱退してしまいます。その後、紆余曲折があったようですが、ファンとして嬉しいのは彼が音楽を諦めていなかったことであります。ミュージシャンの中でも、キーボーディストというのは独特の観点を持っている人が少なくないようで、このままシーンから完全に離れて隠遁生活に突入・・・「その後、あの人は今?」状態にKevin Mooreもなってしまってしまうのではないか?という予想を裏切りChroma Keyの形態でシーンにカンバックしてくれました。

1993〜1994年頃には、"Music Meant to Be Heard" と呼ばれるデモ作品の形でいくつかの原型は、既にできていたそうであります。本格的に、このChroma Keyの活動に拍車がかかってきたのは、New Mexico州に移住してからになります。移住後は、楽曲制作にも本腰が入れやすくなったのか新しいマテリアルも着々と準備。またこの時期からFilm Schoolに通い始めたりと、新しいことへの挑戦に果敢に取り組んでいったようです。1995年にはデモ制作にとりかかっていき、1996年に自身のレーベルFight Evil Recordsを立ち上げます。彼の活動が実を結び、ついにDead Air For Radioは1998年にワールドワイドで配給されることになるのです。彼の本国で、このアルバムがリリースされるのは、かなり後のことになります。

前置きはこれくらいにして、Dead Air For Radioの中身に移ります。当然ながら、Dream Theater時代のアプローチとは大きく異なるキーボード・オリエンテッドなAtmospheric Space Rock/Electronicaタイプのものになっています。まず耳に入ってくるのは、レイヤー状に重ねられたキーボード・サウンドが非常に分厚いということと、現代的なエレクトロニカ系統の影響を強く感じさせます。基本的には、Kevin Mooreが操るピアノ的サウンドを中心にアンビエントなサウンド・エフェクト〜サンプリング、各種キーボード系のプレーが耳に飛び込んできます。このアルバムでまず驚いたのは、彼がリード・ボーカルをとっているということであります。歌声からは、どことなくPeter Gabrielからの影響を受けた感じで、若干鼻声寄りな(?)自然体の歌い方という感じです。また、ベース音も担当しております。その他に、彼のサポートを務めるのは、Fates WarningからMark Zonder (drums)とJoey Vera (bass)両名、そしてJason Andersson (guitar)という布陣になっております。

技巧的な技を駆使することよりも、まるで絵画のようなサウンド作りに興味が完全にシフトしていることが伺える内容であります。また歌入りの楽曲は、ダークな質感を伴うものの、どれも非常に素晴らしい楽曲ばかりであります。個人的に特に序盤の3曲の流れはとても気に入っております。オープニングのColorblindは、混沌とした内面を上手く取り入れた歌詞と、その雰囲気を盛り上げるサウンド全体が、非常に素晴らしく初めて聴いたときは衝撃でありました。

次の曲、Even The Wavesへの繋ぎも女性(女の子?)の不思議な暗号めいたサンプリングされた「喋りエフェクト」(?)が被さりつつも、流れは非常に自然であります。ディープな歌詞に合わせてサウンドも引き続き、ひたすらアンビエントでアトモスフェリックです。3曲目のUndertowもいいアクセントになっていますが、この楽曲は特にFates Warning組が躍動感を出して頑張っているのではないでしょうか。4曲目と5曲目辺りは、90年代風な割と明るい曲調で雰囲気はがらりと変わります。ある意味、ちょびっとSpock's Beardを想起させる場面が瞬間的にあったりと、非常に意外です。叙情的でありながらも、どっぷりドヨヨーンと内省的な楽曲指向の中で、明るい形態のアプローチで取り組んだKevin Mooreの曲っていうのも中々面白いです。6曲目はインスト・・と言ってもなにやら、とっつきにくいような風情もあります。・・・そして遂に、このアルバムのハイライトである7曲目「On The Page」が登場。On The Pageは、このアルバムの中でも珠玉のドラマティック且つ切なさ度全快だし、非常にエモーショナルで起伏のあるサウンドが展開されていて、名曲であります。歌詞の中で、「Toriに渡したい自分のテープがどうのこうの?」みたいなフレーズが出てきますが、Tori AmosともKevinはなにやら接点があるのやもしれません。8曲目は、その前の曲がドラマティックで盛り上がりを見せていただけに少しテンションが下がるものの、曲としては引き締まっているのではないでしょうか。ラストの9曲目Hell Maryは、特殊な幻視に関する能力を持っていると思われる女性(おばちゃん)が、警告メッセージを分厚いノイズサウンドが混じる中、延々と語りつつアルバムは終焉を迎えてフェイドアウト・・・という内容であります。

アプローチは全くDT時代とは違いますが、思慮深い知的な歌詞を読みつつ根幹となっているKevinらしい叙情的なメロディーを再び聴けるのは、本当に幸せだなーと思います。とにかく、このColorblindが始まった時点で、既にノックアウト状態で、やられてしまいます。改めて「Kevin Mooreさん、あんたは本当に何から何まで凄すぎる」という感情が甦ってきます。このアルバムは、Kevin Mooreファンであれば、間違いなく嵌まれるのではないでしょうか。(購入盤Review)

PILGRIM WORLD推薦盤

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