CYNIC
country: United States
style/genre: Technical Metal, Progressive Metal, Extreme Metal, Thrash/Death, Metaphysical Metal, etc.
website: http://www.cynicalsphere.com/
related bands/artists: Gordian Knot, Aghora, Aeon Spoke, Portal, Anomaly, Sean Malone, Sean Reinert, Paul Masvidal, Jason Gobel, etc.
similar bands/artists: Athiest, Pestilence, Spiral Architect, Watchtower, Brand X, Mahavishnu Orchestra, etc.
artist info: フロリダ出身の伝説的なテクニカル・メタル系グループ。現在バンドは解散していますが、それぞれ新天地で活動中。



Cynic - Focus
Roadrunner Records
(1993/2004)

1990年代の初期に突如出現し、メタルの歴史に金字塔を残した4人組Cynic。彼らが残したグループ名義の正式アルバムは、残念ながらFocusだけでありますが、現在に至るまでCynicのコアなファンを筆頭にメタル同業者の間で、名盤中の名盤と謳われております。はてさて、どういった形でレヴューを切り出していけばよろしいのでしょうか?。・・・では、まず時代背景や、シーンを取り巻く環境辺りから語って行きたいと思います。1990年代初頭というと、これまでチャートやMTVなどでも隆盛を誇っていたHR/HMが、隅っこの方に追いやられつつありました。当時の若い欧米方面のメタルファン層の間では、「より激しく・攻撃的なもの」を求める傾向が強く、その流れで現在よりもコアなDeath Metal〜Extreme Metal的な音楽が、ひとつのピークを迎えていたという印象が残っています。余談になりますが、当時のメジャーな雑誌やメディアでもフロリダ出身のグループなどが多く取り上げられていましたね。・・・そういった最中、Cynicが1993年にFocusをリリース。主にDeath/Thrash Metalを聴いているリスナー層を中心に、ユニークなスタイルと素晴らしい内容で当時から高い評価を得ることになります。そして、今日も新しいファンやリスナー層を取り込んでいるのですから、驚きです。

確かにサウンドやスタイル的には、当時活躍していたフロリダを拠点に活動をしていたテクニカル系〜ブルータル路線Death Metalのグループに密接している部分があります。しかし、Cynicの場合は、そういった部分だけにとどまらない異色の存在でありましょう。全体的な印象としては、神秘的なムードとProgressiveな感性を高次元で融合したテクニカル・メタルというテーマが、演奏形態などを通して、アルバム全体を支配しています。ボーカルの大半は、ゲストボーカリストであるTony Teegardenによる野獣咆哮タイプのDeath声と、Cynicの世界観を司ると言っても良いPaul Masvidalの浮遊系ボイス、これまたゲストボーカルであるSonia Oteyによるセミ・オペラ風の歌で占められています。デス声やグラント〜グロール系のボーカルが苦手な人にとっては、場面によって辛いと感じるリスナーもいると思いますが、全編がそういったものばかりではありません。いや、というか近年のOpethのように、彼らの音楽観の中では必要不可欠な要素とも言えるのではないでしょうか。

インストパートや楽曲展開は、まさにCynicの真骨頂と言いたくなるほどで、Paul Masvidal/Jason Gobelのギターチームと、リズムセクションにおけるSean Maloneのスティック・ベースやSean Reinertの豪快なドラムワークに至るまで演奏陣の研ぎ澄まされた感性と超絶技巧の技に終始心酔してしまいます。あらゆる要素がガッチリと絡み合い、とんでもなく凄い化学反応が発生していますね。改めて聴き返してみましたが、なんというイノベイティブで崇高なメタル作品なんだろうかと、驚嘆せざるを得ないというのが個人的な感想です。オープニングのVeil of Mayaを始め、Celestial VoyageThe Eagle NatureSentiment、他にもUroboric FormsTexturesHow Could Iに至るまで異形の世界観と、焔立つかのような独特のオーラが放出されています。どの楽曲も甲乙つけがたいクオリティの高い職人芸の数々でございますが、個人的には斬新な切り口と空間美に感激したTexturesをハイライトの一つに取り上げます。

CynicのFocusは、エクストリームなメタル音楽を、形而上学的な領域にまで高めた異色のメタル作品として、後世に語り継いでいくべきなのかもしれません。2004年以降、Focusに収録されていたオリジナルの8曲に加えて、リミックスバージョンが数曲とPortal名義で3曲新曲が収録されているFocus: The Expanded EditionなるものがRoadrunnerより出ております。オリジナル盤は8曲ほどしか入っていないのですが、このバージョンは計14曲入っています。オリジナルとリミックス楽曲を比べて聴くのは、Cynicの熱狂的なファンにとっては楽しい作業だと思います。またPortalの楽曲では、Cynicとは異なるアトモスフェリックな要素をより前面に押し出した新しいタイプのProg Metal的アプローチが興味深いのではないでしょうか。・・・エクストリーム・メタル、テクニカルメタル、プログレメタル、デスメタル、変態技巧派音楽ファン全てに捧げます。聴けば聴くほど、いろんな発見があって、Cynicは語り尽くせぬ魅力があると思います。今後Cynicの復活があるのか、全く定かではございませんが、後続のテクニカル系メタルやプログレメタル系グループに与えた、その影響力はとてつもなく大きいものであります。(購入盤Review)

PILGRIM WORLD推薦盤

Back to [C] Section
Back to Review Index

Go to Top Page