DEAR & I
country: Italy
style/genre: Hard Rock/Heavy Metal
website: 現在のところ公式サイトらしきものは、存在していないようです。
similar bands/artists: Deliverence, Accept, etc.
artist info: Music Is Intelligence/WMMS系列に属する、ハードロック・メタルバンド



Dear & I - Tendency
Music Is Intelligence/WMMS
(1997)

Music is Intelligence/WMMSからアルバムを1枚出しているイタリア出身のHR/HM系バンド。全体的に聴いてみましたが、このレーベルからイメージされるTea In The SaharaのようなハードなNeo-Progタイプではありません。WMMS系の別の側面IvanhoeBlack JesterみたいなテクニカルなProg Metal系でもありません。じゃあ、シンフォ・ロック系の要素を導入しているのかと言えばそうでもありません。WMMS系に属しているバンドの中では、最もストレート且つシンプルなバンドかもしれません。曲によっては、DeliveranceMetal ChurchAnthraxを意識したような感じを受けました。スラッシュ・パワー風味のアップビートなメタル曲を始め、ミドルテンポの曲ではAcceptというかMotorheadを彷彿させるような80年代中期のパワーメタル・ハードロックを彷彿させるものが並んでいる。

Dear & IのアルバムTendencyに至っては、一貫してストレートでシンプルな楽曲が殆どという印象を受けました。所属しているWMMSレーベルだけに凝った演奏や楽曲があるかなーと楽しみに聴いていました。残念ながら、そういうタイプのものは全く出てきませんでした。全体的に聴いてみたかぎりでは、感動したり感銘を受けたりする曲を見出す事はできませんでした。このバンド独自の強みや個性の強さなども感じませんでした。しかしながら、スラッシュ・パワー寄りの曲を、やや欧州風味にアレンジしたような楽曲は、ありそうでなかったタイプかもしれません。こういう部分を伸ばしていけば面白いんじゃないかなー・・・と思うのは、メタル寄りなリスナーの私個人の感想。よく耳を澄まして聴いてみると、このグループの中ではベーシストが主張をするところがありますね。この人の場合は、スラップ奏法を会得しているようで、どことなくRed Hot Chili Peppersぽいオルタナな部分も、ひょっこり顔を出したりします。

結論から言えば、このバンドはProg Metalバンドには分類されないと思います。というか「おぉー!!、このバンドってあのWMMSレーベルから出ているバンドなの?。Ivanhoeみたいなプログレメタル系かな?。どれどれー楽しみだな〜♪」、という具合に彼らの音楽に接してしまうと、想像していたものとは全然全く違うので注意が必要です。聴き進めていくと、パワーメタル系の音楽に、薄っすらとキーボードをレイヤー状に重ねているので、聴きやすいかなーとは最初は思っておりました。専任キーボーディストは在籍しているのですが、めくるめくようなキーボードやシンセサイザーが活躍する場面は皆無です。だけど、ベーシストは少し主張する場面もあるかなという感じです(笑)。うーん、自分の中では不完全燃焼してしまいました。ネオ・プログレ〜ポンプロック風味も入れているのかなーと聴き進めても、思ったほどの叙情的な場面は用意されておりませんでした。このバンドでいいなーと思ったところは、やっぱりパワーメタル的な様式を持つ楽曲が飛び出したりしたところです。その辺りを中心に楽しんでみました。

もし、このアルバムの制作にMark DodsonTommy Newtonあたりが担当していたら、音も練られて硬質なパワーメタルになっていたかもしれません。しかし、Music Is Intelligence/WMMSの領袖Peter Wustman氏のプロデュースが、このバンドにもたらした物は、残念ながら良い方向に出てこなかったという。言い方を変えれば、Peter Wustmanが手がけたので、なんとか作品として質を保っているということなのか?。

80年代中期のパワーメタル・ハードロックにも好意を寄せているリスナーなら、ひょっとしたら悪くない作品と捉えることもできるかもしれません。だが、このアルバムが、どういったリスナー層をターゲットにしているのか・・・、首をかしげてしまいました。Prog Metal系のファンにも、Neo-Prog系のファンにも、そして全般的なパワーメタルファンにも、あまりアピール度は高くないでしょう。このアルバムを見かけても、私みたいなWMMS系に関心を持っている人はいらっしゃるかもしれませんが、実際に手にとって聴く場合は、ある程度の覚悟はしておいたほうがよいかもしれません。少なくともプログレのファンからは、そっぽをむかれてしまうことは間違いないでしょう。ちょっとばかし、珍しい異色のパワーメタルバンドを聞いたなーという印象です。WMMS系というのは色んな意味で謎を残しながら、消えてしまったレーベルという結論に達します。(購入盤Review)

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