DISCUS
country: Indonesia
style/genre: Progressive Rock, Fusion, Jazz Rock, Metal, World Music, New Tendencies, etc.
website: 現在公式サイトはダウンしているようです
related bands/artists: Iwan Hasan, Tengkorak, etc.
similar bands/artists: L'Evoluzione, Sleepytime Gorilla Museum, Frank Zappa, Kansas, Spock's Beard, Mahavishnu Orchestra, etc.
artist info: 様々なスタイルを折衷した迫力のあるProgressive Rockサウンドを展開するインドネシアの至宝。



Discus - ...tot licht!
Musea Records
(2003)

インドネシア出身のプログレッシヴ・ロック集団: Discusによる2ndアルバム。アジアのロックに深く精通しておられるCinta Kecil氏のAsian Rock Rising放送で聞いて以来、個人的には常に気になっている存在でした。遅まきながら、遂にCDを購入することができました。いろんな要素が被さっているせいか、かなり不思議なサウンドも飛び出してきます。クレジットを見てみると、ゲストを含めればメンバー数も8人〜10人といった大所帯バンドです。ギター・ベース・キーボード・ドラムという通常のロック・バンドで見られる楽器を始め、ヴァイオリン、管楽器、吹奏楽器、インドネシアの伝統楽器・パーカッションなど色んな音が登場するのが非常に面白い。

歌に関しては男性・女性のメンバーが、それぞれリードボーカルをとっています。女性ボーカルは、割と正統的な歌唱力を持っています。男性ボーカルは普通に歌っている場面もありますが、ただ単に叫んでいるものもあれば、咆哮している感じで色んな表現の仕方を見せています。Faith No More/Mr.BungleMike Pattonに少し近い声の使い方ですが、Mikeが時々見せる極端なボーカルまでは行かない感じです。案外、プログレメタル系が好きな人にも気になる要素が少しあるんじゃなかろうか?・・そんなことを思ったりもします。ジャズ・ロックやシンフォニック・ロックの影響は強いですが、冗談抜きでプログレメタルの要素も確実にあります。ただし正統的なProg Metalタイプに分類されるタイプでは無いです。プログレ系のバンドがProg Metal的なエッジのある音を取り入れているといった具合になっています。

個人的には、オープニング・ナンバー"System Manipulation"のインパクトの強さでやられちゃいました。この曲を聴くだけで、このCDを買ったかいがあったと思うほど非常に面白い。1曲の中で、いろんなキャラクターが登場するかのように音楽性がコロコロ変わりつつ、それで連携しあっています。何とも言えない摩訶不思議なプログレッシヴなロックです。R.I.O.寄りなジャズ・ロック的な管楽器、ハード寄りな疾走フュージョン、Dream Theaterから影響を受けたProg Metal的なヘヴィ路線と畳みかけ、インドネシア音楽、怒涛の変拍子・・・などといった具合にコロコロと色んなスタイルが顔を出します。1曲の中において、一つのスタイルに止まることを拒否しているかのような印象が、System Manipulationでは顕著であります。おそらく、これがDiscusを率いるギターリストIwan Hasanという男が持つポリシーなのかもしれません。メロディー楽器だけでなく、バリ島のガムランのような打楽器も有効に活用されています。

2曲目のBreatheは、オープニング曲ほどの緻密さとは異なったストレートさもあります。むしろ、この曲はHR/HM的な勢いを感じさせます。この曲では女性ボーカルも含まれていますが、どちらかと言うと男性ボーカルが主体。特に男性のボーカルパートは、スラッシュ・メタル的なシャウトやMike Pattonを感じさせる咆哮声が主体なんで、なんだか歌メロは取っ付きにくいと思います。途中でムーディーでミステリアスな雰囲気に変化し、そうかと思うとラウンジ・ジャズぽい内容に移り変わって行きます。Jazz的なパートでは、ベーシストとサックスを担当するメンバーが目立っており、Weather ReportJoe Zawinulなども好きなのかな?という感じも受けました。終盤に入ると一周した後で、ヘヴィな感じに戻ります。

1曲目と2曲目が濃密だっただけに、3曲目の"P.E.S.A.N."はスティール・ギターの爪弾きやアルペジオを主体にした静けさと安らぎに満ちたフォーキーでトラッド風ナンバーでホッとさせられます。旋律を大事にしたクラリネットやヴァイオリンの音やオブリガードなども良いアクセントになっています。P.E.S.A.N.は、少しだけRenaissance風と言いたくなる感じで楽しませてもらいました。ボーカルは男性と女性のデュエット形式を取っており、開放感があっていいです。突拍子もない変なボーカル・スタイルがないので安心して聴けます。この曲は、全編インドネシア語で歌われています。曲調もコロコロ変わらず、一本筋が通っておりメロディアスです。個人的には、大変この曲気に入りまして、思わず口ずさみたくなります。内容は何を言っているのか分からないのが残念ですね。

4曲目の"verso Katrini - door duisternis tot licht!"は、組曲形式の大作もの。1曲目の緊迫感に溢れたものと異なり、よりシンフォニック・ロック的な佇まいと歌のメロディーも分かりやすくなっています。途中で挿入される変拍子や複雑なパッセージが交錯するところもあり演奏面においても楽しめます。2曲目を除いて、ほぼ全ての楽曲のクレジットに登場するIwan Hasanのコンポーザーとしての力量は確かなものがあると感じさせますね。P.E.S.A.N.同様、歌メロは素直で奇をてらった感じは致しません。極端なスタイル変化は見られず、一本筋が通っていると思います。

5曲目の"Music for 5 Players"だけは、歌が全く無いインストもの。テクニカルな側面を見せるという訳でもないです。ストリングス系のサウンドが目立つところは、室内楽や近代音楽からの影響が強いです。簡単に言うならば、チェンバー系のサウンドと表現できるでしょう。特に奇抜という訳ではないのですが、ロック色は殆ど無いので馴れるのに少々苦労しそうな曲調です。ヴァイオリンとクラリネットが、それぞれ絡み合いながら、ハープギターのような音、伝統的なインドネシアのパーカッシブ系の音が集まりあっていくところは神秘的かもしれません。

ラストの大作"Anne"では、1曲目と同様で、色んな音楽性やスタイルを感じさせるDiscus得意の路線が登場します。全体的に眺めてみるとシンフォニック・ハードという印象を受けます。序盤は、KansasNeal Morseの音楽にも多少似ている場面もありかも。静かになったかと思うと、コンプレックスな展開になったりして忙しくなってきます。変拍子も至るところで登場しており、躍動感もあり演奏面だけでも楽しめます。ふとするとジャジーな感じになったり、エスニックになったりするのはオープニング・ナンバーと一緒ですが、メタル色と畳みかけ具合はやや控えめです。途中でいきなりケチャが飛び出し、女性ボーカルのNonnieさんによる変拍子アカペラは驚きました。ヴァイオリンの旋律が目立ち、キーボードによるアルペジオなどが多用されている中盤部分に耳を傾けていくと、KansasPoint of Know Returnみたいな感じもあります。アルバムの後半パート辺りから段々ハードさが増していき、混沌さも増して行きます。曲自体は、「アンネ・フランクの日記」からのインスパイアされたものが大きい。彼等の作品の中では劇的な余韻が残る、良質な曲だと思いました。

この混ざり具合というか折衷の仕方は中々お目にかかれない面白さです。無理やりなツギハギではなく、不思議な感覚というかミスマッチでありながらも高次元で繋がりあっているような綱渡り感覚がスリリング。アップテンポに畳み掛けて勢いが上昇していくところは、Dream Theaterや日本のL'Evoluzioneを思わせる高揚感さえあります。
自分が思うに、プログレ系は我々が辺境と呼んでいた地域から新鮮なバンドが台頭している時代に入って久しいのかもしれません。プログレが好きな人の間では、Discusは数年前から大きな話題になっておりました。国籍や音楽のスタイルに拘りを持たず、変り種やユニークな音楽路線を幅広く聴いているリスナーにはある意味衝撃かもしれません。個人的には、この混沌具合というか、サウンドやスタイルの煮込み具合が濃密で面白い!という結論に達しました。次回の作品では、どのような展開を見せるのかプログレファンを中心に期待が高まっております。(購入盤Review)
(興味を持った方は、まずは下で彼等の勇姿をチェックしてみてください。)

PILGRIM WORLD推薦盤

<Live footage of DISCUS from YouTube>


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