Division By Zero - Tyranny of Therapy
Insanity Records
(2007)
ポーランドを拠点に活動している5人組Prog Metalグループによるファースト・アルバムです。Riversideの成功によるものか、近年はポーランド出身のProg Rockバンドだけでなく良質なProg Metalグループが台頭しつつあります。このDivision By Zeroというグループのスタイルは、ダークな質感を保持しつつメロディアスなProg Metalサウンドを標榜しております。アップテンポで畳み掛けるパートなどはDream Theaterの影響下にあるものの、派手なテクニカル奏法を押し出すタイプとは異なります。全体を聴いた印象としては、Dream Theaterスクールの音楽というよりは、むしろWolverineやOpeth等がやっているタイプに近いといった方が良いでしょう。デス声やグラント声のリード・ボーカリスト系が苦手な人は注意してください。Slawek Wiernyの場合、割と要所で歪みのあるデス声を絡めていますが、大部分はクリーンな声を使ってのパフォーマンスです。基本的に元来の声質は大変良いですし、同郷のRiversideを始め、東欧のEverwoodやWolverineのボーカリストに通じるカッコイイ歌声です。彼等の場合は、東欧のサウンドや世界観によるものか、むしろ新鮮なアプローチや息吹を感じさせます。個人的には、だれることなく全体的に楽しめるポイントが幾つもありました。めまぐるしいソロとか派手なトリックとかは皆無でありながらも、テンポやリズム・パターンにも工夫を施しており、1stアルバムにしてはリスナーをグイグイと引っ張る魅力があり聞きやすかったです。1stアルバムということで、まだ改善すべきパートは幾つかあるのですが、充分頑張っている様子は伝わってきてヨロシイという感想です。今後は、よりコンプレックスな側面や派手な要素を追加させるなど、新しい部分や自分たちの武器を最大限に生かした形でステップアップをしていけば面白いかもしれない。ジャケットがなにやら、おどろおどろしいですがDeath Metalの要素は余り無いので、その点で心配されているかたは安心して下さい。実はこのジャケットアートはMattias Norenだったりするんで意外だったりします。平均年齢は大変若いバンドですが、今後はWolverineのようにアルバムをリリースするごとに大きく成長を遂げていきそうなポテンシャルを見せています。地元ポーランドの逸材を今後もInsanity Recordsやローカルのクラブなどが発掘していけば、面白いのではないでしょうか。(購入盤Review)