DREAMS OF SANITY
country: Austria
style/genre: Gothic Metal, Symphonic Hard, Prog Metal, etc.
website: 現在のところ、公式サイトは閉鎖されています
related bands/artists: Siegfried, etc.
similar bands/artists: Tristania, Edenbridge, After Forever, Rain Fell Within, Brave, etc.
artist info: Hall of Sermonレーベルの顔的存在であった、テクニカル寄りなシンフォ・Gothic Metalバンド。



Dreams of Sanity - The Game
Hall of Sermon Records
(2000)

これまでに3枚のアルバムをリリースしている、オーストリア出身のシンフォ・ゴシックメタルグループ。このThe Gameは通産3枚目にして、彼らにとって最後の作品となってしまいました。現在では、Lacuna CoilThe Gatheringなどに代表されるように、ゴシック・メタル系のバンドが欧州を中心に活躍しています。またアメリカの方面でも、従来のゴシックメタルをさらに現代的なスタイルで推し進めたEvanescence等の新世代を担うグループが登場しており、「ゴシック」というキーワードやサウンドを軸にした様々な形態のサウンドやグループが数多くシーンに浮上しています。90年代の後半から2000年以降にかけて、ゴシックメタル系のバンドが次々と良質の作品をリリースしております。特に女性ボーカルを中心とした幻惑的なサウンドに、魅了されているメタルファンも多いのではないかと思います。「プログレ」や「メタル」などのように言葉やサウンドの定義とやらで、識者の皆様の間で大論争が勃発したり、火花を散らしたりということは表面上ないものの、「ゴシック」という語源や響き、そして本来の定義とは「ゴシック・メタル」は大きく隔たりがあるという論調も存在しているようですが、・・・今回はその辺りは、バッサリと割愛させていただきたいと思います・・・話がややこしくなりますからね・・・(^^;)。

今回紹介するDreams of Sanityは、これまで聴いたGothic Metal系バンドの中で、割とすんなりと楽しめることが出来たグループです。自分の経験から発言させていただくと、The GatheringLacuna Coilの音楽を通して、Gothic Metalと呼ばれるグループの魅力を発見することができたのであります。一方のDreams of Sanityは、正統的なゴシック・メタル風サウンドとシンフォニック・ハードの領域内に存在しているかのような音楽性で、非常に惹かれるポイントがたくさんありました。このアルバム、私は結構気に入っておりましてゴシックぽいものが聴きたいけど、それに加えて、シンフォ〜プログレハード風な要素が入ったものも同時に聞きたいなーというときに、必ずこのアルバムを僕は真っ先にチョイスします。

改めて聞いてみると、確かにもう少しサウンドに厚みと暖かい部分が欲しいかな?とか、後半は少しテンションが下がりぎみかな?とか思うこともありましたが、中々どうして・・。全体的には、それほど気になってしょうがないということもないですし、アルバム全編で大変頑張っていると思いました。それから、自分達の持っているスタンスを大事にしているということに共感を得ることができました。流石はHall of Sermon系のGothic Metalグループだなー、というところが大きなチャームポイントでありましょう。

しかし、このグループが展開している音楽というのは、シンフォニック・ロックやそれこそProg Metalタイプの音楽が好きなリスナーには、「おや、これは面白い展開と演奏スタイルだな〜」ということに気づくのではないでしょうか?。こんなことを言うと、乱暴な表現に聞こえるかもしれないので、ゴシックメタルファンの皆様にはお叱りを受けるかもしれませんが、実はこのThe Gameというアルバムは、ある意味場面展開によっては、Prog Metalだと断定したくなるほどです。こんな素っ頓狂なことを言っているのは自分だけ?と思っておりましたが、別のレヴューサイトでも「なにやらProg Metalぽいなー」と発言しておられる方たちを何人か見受けましたので、ほっとしました(^^;)。

普通ゴシックメタル系のバンドというと、女性ボーカルや男性による野獣咆哮〜低音を強調したスタイルで、(一部のバンドを除くと)シンプルな形態でまとめているものが、圧倒的に多いわけです。上でも触れたようにDreams of Sanityは、場面によって演奏や楽曲形態が大変凝っており面白いです。ギターがテクニカルに決める部分はそれほどありませんが、Keyboardistが非常に派手に活躍しているところがあります。それこそテクニカル・シンフォ風、あるいはプログレメタル風と言いたくなるような、流麗なシンセリードが登場したりする部分もあり、個人的には楽しめました。とはいうものの、彼らの根幹となっている部分はやはりゴシック・メタル系のバンドということで女性ボーカルや、割とメランコリックな雰囲気を中心としたものが目立ちます。スリリングなパーツやアップテンポに攻勢をかけていく部分も目立っており、この辺りは後年のAfter ForeverRain Fell WithinBrave辺りが好きなリスナーには、もってこいだと思います。ゴシックメタルには興味あるんだけど、Prog Metalやシンフォニック・ハード的なものが入ったものがあればいいな〜と思っている方に案外楽しめるのではないでしょうか。ある意味、「ゴシックメタルの皮を被ったProg Metal風バンド」という位置付けを、自分はしています。

色んなタイプのゴシック・メタルグループが存在していますが、個人的にはこういったProg Metal的なタッチとグルーブや演奏展開を盛り込んだDreams of Sanityのようなバンドが、さらに多く登場してくれることを期待したいです。残念ながら、彼らはこのアルバムを最後に解散しています。(購入盤Review)

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