ELDRITCH
country: Italy
website: http://www.eldritch.it/
style/genre: Prog Metal, Powerful Metal, Contemporary Metal, Agressive Modern Metal, etc.
related bands/artists: Icycore, Vicious Mary, Vision Divine, Death SS, Anger, Steve Sylvester, etc.
similar bands/artists: Watchtower, Annihilator, Elsesphere, Dream Theater, etc.
artist info: Eldritchは、1991年にイタリアで結成されたバンドです。Eldritchを結成する以前はZeusという名前で活動していた時期もある。



Eldritch - Seeds of Rage
InsideOut/LMP
(1995)

イタリアを代表するProg Metalグループによる1stアルバムです。90年代に入るとDream Theaterの活躍により、キーボードとギターを中心にした展開の激しいProg Metalサウンドを得意とする一派が、シーンで大きく注目されることになります。このEldritchは、かなり早い段階からイタリアを拠点に活動をして次第に注目を集めることになります。1995年にSeeds of Rageアルバムをリリースし、各国のメタル雑誌などからも好評を得ることになりました。Eldritchの場合は、初期の3枚はメロディアスでパワフルなProg Metalサウンドを中心とした内容になっております。この1stアルバムでは、楽曲指向とインスト指向の両立を図ろうとしている様子が伺えますので、Eldritchの作品全体から言っても3枚目のEl Ninoと同じくらいか、それ以上に入りやすいアルバムだと思います。実際にテクニカルな演奏形態を得意とする部分を強調しすぎない路線で、歌メロや分かりやすい曲調のものが収録されています。もちろん派手めなProg Metalサウンドやインストバトル的なものも用意されていますが、後にTerrence HollerがHard Rock/AOR系のプロジェクトVicious Maryを結成する伏線となるパワーバラード調のものもあります。圧倒されるProg Metal楽曲の繋ぎとして、バラードやメローな歌声を中心としたものも楽しめる内容となっているせいか、一般的なメタル雑誌ではSeeds of Rageは、Eldritchの作品においても暖かく迎え入れられたと思います。派手目なProg Metalグループのサウンドやメロディアス系Prog Metal勢がお好きなリスナーには、Eldritchの初期3作は楽しめると思います。4枚もそうですが、5枚目以降はかなりPower/Thrash Metal寄りになっているそうです。4枚目までは僕もフォローしておりましたが、5枚目以降では専任のキーボーディストを擁さないグループに変貌をしているということなので、注意をしてください。(購入盤Review)


Eldritch - Headquake
Inside Out/LMP/SPV
(1997)

通産2枚目になる、イタリア出身のメロディックProg Metalバンド。実は、このアルバムがEldritchとの最初の出会いになりました。音楽的には、爆発力のある演奏形態とTerrence Hollerの迫力ある歌声に特徴のあるProg Metalバンドという印象です。彼らは、他のイタリア産Prog Metalバンド達とは、おもむきが若干異なりProg Metalを根本に持ちながらも80年代後半のTechnical & Complex Metalタイプの要素を強く感じさせる。その一方で、バラードや穏やかな曲調の中にも歌を聞かせる部分も特徴に持っています。個人的に魅力に感じたのは、変則ビートを繰り出しながらも、演奏速度を切り替えながら突進する奏法がユニークだと思いました。若干WatchtowerDream Theaterの中間を狙っているかのような気配も感じさせます。スラッシーに突進しながらも、テクニカルなリードプレーを織り込ませているところが面白い。基本的にアップテンポで、攻勢をかけるタイプのProg Metalバンドが個人的には、好きなので割と引っ張り出して聴く機会の多いアルバムです。ギターリストのEugene Simoneは、テンションの高い豪快なギタープレーを得意としております。このアルバムで、特に興味をひいたのは、キーボーディストのOleg Smirnoffでありました。この人もギターに負けない、キーボード・シンセソロを随所で弾きまくるのを得意としてますし、なかなか暖かみのあるリードプレーを得意としております。特にキーボードが前面に出てくるパートは、サイバー的な風味を醸しだしております。ただし、サイバー的といっても一昔前の映画「トロン」のような、サイエンス・フィクションやコンピューターゲームに通じる懐かしさを感じさせる不思議な音質を伴っているところが特徴です。リズム隊も、かなり攻勢をかけるのを得意としており、変拍子をビシバシと繰り出し面白いです。ベーシストのMartin Kyhnのプレーを聴く限りでは、多分WatchtowerDoug Keyserから影響下にある、ビジーなベース奏法を得意としております。リードシンガーのTerrence Hollerも決して、演奏陣に負けないキャラクターの強さを持っており、ハードな曲とソフトな曲で歌い分けております。終始ドラマティック且つ迫力のあるパフォーマンスを披露しております。もう少しプロダクションが良好であれば、なお良かったと思いますが1枚目の頃からに比べると、着実にステップアップを遂げていると感じさせます。ただ、1枚目の少しライトな感覚のプログレメタルが好みの方は、よりヘヴィー且つアグレッシブ寄りになった、このHeadquakeをどう捉えるかはリスナーによって様々でしょう。個人的には、スピーディーかつテンションの高いGhoulish GiftErase、そしてTerrence Hollerの魅力が最大限に発揮されているメロディックなナンバーLord of An Empty PlaceSometimes In Winterなどを主に好んで聴いております。最後に蛇足コメントになりますが、このジャケットをよく見ていると、昔なつかしの「人造人間キカイダー」を彷彿させてくれて、なんか凄くいい感じ。もしHeadquakeを所有している人は、ジャケットを右90度に傾けてじっくり観賞してください。(購入盤Review)


Eldritch - El Nino
InsideOut/LMP/SPV
(1998)

イタリアの中堅Prog Metalバンドによる、通産3枚目となるフルレングス・アルバム。レトロなサウンド・スケープや、エレクトロニカ〜テクノ風のキーボードサウンドが随所に登場する爆裂疾走タイプのProg Metalサウンドは、前作に大変近いものがあります。この作品は前作と比べると、親しみやすいメロディーと、より分かりやすい楽曲構成に仕上がっています。Eldritchの場合は、1stや2ndでは、凝りまくった楽曲展開を標榜しており、頻繁に繰り出されるテンポチェンジ〜ストップ&ゴーの連続など、忙しい構成を得意としておりました。3rdアルバムのEl Ninoでは、その辺りは少しトーンダウンさせていますが、インストパートが活躍するところでは、彼らの売りである濃密サウンドが前面に押し出されています。初めてEldritchの音楽に挑戦したいリスナーには、このアルバムはとても親しみやすいのではないかなーと思います。テンポも早く、ストレートな楽曲では疾走感も満点なので、アップビートなItalian Metalが好きな人にも充分満足していただけるのではないでしょうか。この作品を最後に脱退してしまいましたが、Oleg Smirnoffによるキーボードワークスやリードプレーが大変素晴らしいと思いました。このバンドは、楽しむポイントが個人的には色々とありました。楽曲構成を始め、ギターとキーボードのデュアル・プレーや、ソロのかけあいなど魅力的だなーと思います。ボーカルワークスも、前作以上に良い出来上がりになっており、Terrence Hollerの歌唱力や表現力など目を見張るものがあります。彼らのキャリアの中でも、1stから3rdアルバムの3枚に人気が集中していますが、この時期が一番充実していた頃なのではないかと思います。メロディアスでキャッチーなProg Metal作品となっていますので、私は好きなアルバムです。イタリア出身のバンドに興味を持っている人や、パワーメタルやメロディックメタル的要素の濃い内容を好むProg Metalファンはチェックしてみてください。El Ninoは、全体的によい起伏と流れを形成しています。(購入盤Review)


Eldritch - Reverse
Pickup Records
(2000)

イタリアの中堅Prog Metalバンド、Eldritchの通産4枚目のアルバム。これまでの3枚目のアルバムに比べて顕著なのは、モダンスラッシュの要素を強調した徹底的に好戦的でヘヴィーなProg Metalサウンドにトランスフォームした楽曲だ。今までは、Watchtowerから複雑でイントリケイトなサウンドを削ぎ落として、Dream TheaterAndromeda風のメロディアスでハードな音楽性がトレードマークだった。しかし、このアルバムではそういう要素は後半部に登場するものの、Pantera, Disturbed, Anthrax, Korn, Prong,などにも通じるモダン・ヘヴィネスとエレクトロニクスを大きく導入した骨太でパワーに重点を置いているところである。しかし、あくまでもサウンドの根幹にはメロディアスなProg Metalサウンドが脈々と流れており、決して今までのサウンドを否定していないところが良い。前作までキーボードを担当していたOleg Smirnoffが脱退して、後任者としてSean Hendersonが参加している。 このアルバムは、Eldritchのメロディアスな路線が好きだったファン層からはかなり否定的な意見が多かったみたいであります。しかし、彼らは元々イタリアのProg Metal勢の中でもそこそこハードでエッジの立ったスピーディーで攻撃的なスタイルを貫いていた訳で、こういうアグレッシブなスタイルに転換して新しいProg Metal系サウンドの地平を切り開こうというEldritchの意欲が伺える作品であります。(購入盤Review)

Discography:


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