ERMOLLI, TOMMY
country: Italy
style/genre: Guitar Instrumental, Melodic Rock, Hard Fusion, etc.
website: http://www.tommyermolli.net/
related bands/artists: TwinSpirits, Cosmics, Khymera, Alberto Rigoni, Daniele Liverani, Dario Ciccioni (Centrica), etc.
similar bands/artists: John Petrucci, Andi Timmons, Joe Satriani, Steve Vai, Planet X, etc.
artist info: TwinSpiritsなどでの活動で知られているテクニカル系ギターリスト。ソロは分かりやすさを信条にしている。



Tommy Ermolli - Step Ahead
Lion Music
(2009)

個人的に注目をしているイタリア出身のギターリスト、Tommy Ermolliによる1stソロアルバム。これまでにTwinSpiritsCosmics、そして朋友であるAlberto RigoniなどのCDでセンスの良い流麗なギター演奏で存在感を見せています。既に彼が参加している本体であるTwinSpiritsの新作「The Forbidden City」で会心のProg Metal作品を作っているだけに、Tommy Ermolliの本領を発揮したソロ・アルバムになっているかどうかに期待をかけていました。気になる1st CDの「Step Ahead」に関してですが、確かに躍動感あるスリリングなナンバーも含まれている一方で、楽曲によっては大人しいと言いましょうか、少しレイドバックぎみなHard Rock的なナンバーも目立っているのが意外でした。なんていいましょうか、そんなに力み過ぎていないインスト作品になっているという感じが致しました。参加しているメンバーは、TwinSpiritsのメンバーがボーカリストを除いて参加しています。若手のギターリストが主体のアルバムなので勢いは充分に感じさせます。その一方で、妙に落ち着き払ったかのような印象も受けます。

1曲目の"Endless Space"は、John Petrucciの「Suspended Animation」に収録されていてもおかしくない躍動感に漲った素晴らしいナンバー。2曲目の"Joy of Illusion"では、本家のTwinSpiritsやベーシストAlberto Rigoniのソロ作品に通じるような開放感があります。その上に乗っかったErmolliによるメロディアスなギターワークスが印象に残る。厚みのあるリズム・セクションのサポートも素晴らしく、流石はTwinSpiritsからの参加は功を奏しています。このままProg Metal寄りなハード・フュージョン路線のアプローチを続けるのかと思いきや、3曲目から中盤辺りまではムードがガラリと変わってトーンというかテンションはグっと抑えた内容になってます。

3曲目: "Step Ahead"は、テンポはゆっくりとした形で序盤立ち上がっていきます。シットリとした落ち着いたメロディアスなナンバーで、雨の降る音とクリーンなギターサウンドでの前半部分はSoul Cagesがフュージョン路線になったら、こんなアプローチをするのかも?というような印象も受けました。後半になると次第にソロを中心に盛り上がりを見せる場面もあります。そういった曲調の中において、Tommy Ermolliが得意とする優美なギターソロなどがググっと浮かび上がって印象に残ることでしょう。シンプルな曲構成のタイトルナンバーですが、後半で挿入されているDario Ciccioniのドラムのフィル・インやソロなど良い仕事ぶりを見せていますね。

4曲目: "Enlightning Darkness"は、特に序盤はヘヴィなムードが漂うインスト曲。全体的なサウンドもこの手のインスト作品の中ではダークな雰囲気が立ち込めております。曲の中間部分は、ある意味Planet XDerek Sherinianのスローぎみなナンバーに似ていると思いきや、ブルージーなギターソロも登場しています。聴き手によっては、Progressive Metalなタイプのナンバーと感じる人もいるかもしれません。しかし、楽曲の構成自体は難解でとっつきにくい感じは殆ど無いと思います。

5曲目: "Renewed"で、また雰囲気が変わってきます。曲の導入部から野球の試合でかかりそうな感じの雰囲気がします。アメリカンなHard Rock的と言いたくなる感じで、楽曲のフォーマットや曲の進行の仕方も非常にストレート。正直、この作品の中でも"Renewed"はカラーが随分違うような感じがして、個人的には取っ付きにくい曲の一つでいた。ギターのソロが中心となるパートでは、Ermolli的スタイルに楽曲が変貌していくところは良い。奏法的にはちょっとだけSteve Vai辺りをヒントにしたものがあるかもしれませんね。主題となっているメロディーやテーマが登場するところは、スポーツチャンネルのESPNで流れそうなアメリカ的な明るさが含まれています。そういった部分で、この曲に関して言うと嵌るのが、リスナーによっては難しいかもしれません。私の場合、中々慣れるまでに時間がかかりました。

6曲目: "Magic"は、アコースティック・ギターのストロークが目立つ穏やかなナンバー。全編クリーン・トーンとアコギのストローク中心なのかな?と思わせておいて、中盤から熱いギターソロが登場します。このStep AheadアルバムではKeyboardistとしてTwinSpirits/Empty TremorからDaniele Liveraniも参加しています。歪みがないオルガン・サウンドによる短めのソロが唯一、このMagicにおいて聴くことができます。ちなみに派手なキーボードソロは、このアルバムでは殆ど登場していないですね。

7曲目: "Taking Control"では、TwinSpiritsから参加しているメンバー全員のパワーを結集したProg Metalサイドに通じる良質なナンバー。躍動感とエナジーを感じさせる重厚感のあるリズム・セクションの働きが頼もしい。一方、Ermolliによるクールで大人の味わいも含んだギターワークも印象に残ることでしょう。リズムパターンも中々に面白く、瞬間繰り出してくる濃密な演奏形態は素直にカッコイイ。本体のTwinSpiritsやサイドプロジェクトのCosmicsほど難解になることはなく、これらのグループの演奏形態と比べたらストレート寄り。だが、そこかしこに挟まれている緻密な演奏パート、そしてコンプレックスなドラミングやギター演奏が活躍するところは聴いていて心地よい。

8曲目: "Virtual Redefinition"のイントロダクション部分は、キーボードによって誘われるかのような不思議なメロディーと迷宮に入り込んでしまったムードが特徴。どんな内容になるのか最初は想像がつきませんでした。ほんの僅かですが、Pendragonの「The World」辺りに収録されている曲のムードも感じさせたので、Neo-Prog路線に展開するのかと思いましたが全然違いました。曲の主題となっているテーマやムードをいかし、かすかにProgressiveなフィーリングは漂っているかのようです。前半はTommy Ermolliのギターも歪みがないクリーントーンが支配的でしたが、次第にエレクトリックな音使いを生かし、熱を帯びたディストーションをかけたサウンドに変貌を遂げていきます。Ermolliによるソロのパートもツボを抑えた流麗な奏法が流石の一言です。

ラストナンバーの"Arrival"は、再び情熱的なハードロック・ナンバーで締めくくりを飾ります。曲の中盤辺りから新しい展開部分も数回ほど挟まれています。壮大なムードに繋がるかのようなところはPlanet XVirgil Donatiも参加しているCosmics的で私は好きですね。そういったプログレッシヴなフュージョン・サウンドが顔を出すものの、基本的にはストレート且つハードに迫ってくる楽曲なので、個人的にはJoe Satrianiに通じるアプローチかなとも思いました。

アルバムを最初に聴く前までは、テクニカル指向なギターアルバムになっているとばかり思ってました。もしくは、本家のTwinSpiritsのような緻密で凝ったタイプのProg Metalインストものを目指しているのかと思えば、どちらでもなかったのが意外といえば意外です。この作品をリリースした時点で、まだTommy Ermolliは21歳の若者です。しかし、内容は実にしっかりとしており、まるでベテランが作った玄人のギターアルバムといった風情すら感じさせます。個人的には、1曲目のEndless Spaceのような感じで一気に突っ走りつつ、ド派手な路線が来るのかと思いました。ところがバラード風あり、変化球ありで、ある意味アルバムの内容に慣れるまでにちょっと戸惑ったというのが正直なところ。しかし、作品自体は非常に出来が良く、演奏もサウンドプロダクションも初めてのデビュー作品にしてはバランス感覚は良好です。歌が入っていないので一般のHR/HM系リスナーには馴染みづらい内容かもしれません。ですが、良質なギターワークとメロディーも含まれて居ますし、ミュージシャンシップの高いもの。特にギター奏法に関心が強いギターキッズやプレイヤー指向の強いリスナーには、Ermolliの実力の高さを知る上で感じ取れるものは多くあると思います。(プロモ盤Review)
http://www.myspace.com/tommyermolli

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