FRAMESHIFT
multi-national: including U.S.A., Canada and Germany
style/genre: Prog Rock/Metal, Hard Prog
website: http://frameshift.progrockrecords.com/
related bands/artists: Dream Theater, Chain, Henning Pauly, James LaBrie, etc.
similar bands/artists: Dali's Dilemma, Mullmuzler, Magellan, Leonardo, etc.
artist info: ドイツのProg RockバンドChainのメンバー、Henning Pauleyによるプロジェクト。
discography: Unweaving The Rainbow (2003)



Frameshift - Unweaving The Rainbow
Prog Rock Records
(2003)

若手プログレ勢を支援している新興レーベルProg Rock Recordsが、2003年ごろから活発にアルバムをリリースしています。これまでにProg Rock Recordsからリリースされた中でも、このFrameshiftのアルバムUnweaving The Rainbowが最も注目を集めているように思います。Frameshiftは、バークリー音楽院で映画音楽や作曲を学んだ経験を持つHenning PaulyDream TheaterJames LaBrieを迎えて「彼のボーカリストとしての魅力を引き出した作品を作りたい」、という動機が出発点となって発展したProg Rock/Metalプロジェクトと言えます。スタイル的には、Progressive Rock, Metal, 映画音楽、ポピュラー音楽などの要素を巧みに組み合わせた内容という印象です。サウンド・プロダクションも大変良好であり、ループ・サウンドやコンピュータ・プログラミング等といったモダンテクノロジーも駆使した意欲作となっております。またこのアルバムには、ダーウィンの進化論を推し進めたネオ進化論を唱えるRichard Dawkins氏の概論を、様々な形で楽曲に投影させたストーリーラインとなっています。ある種のコンセプトアルバムとなっていると言えるでしょう。ただし、私自身はあまり進化論に関心が殆どない男なので、Richard Dawkinsの進歩的な理論など詳しい内容については、ちょっと分かりませんが・・・。このプロジェクトの中心人物であるHenning Paulyの映画音楽ディレクターとしての才能が開花した作品となっていると思う。

Unweaving The Rainbowというタイトルは、元々Richard Dawkinsの本や進化に関するコンセプトから来ているそうです。アルバムには、15曲ほど収録されております。15曲というと「そんなにたくさんあって長そーだなー」と聴く前に辟易としてしまいそうだが、アルバムの最初から最後まで大変スリリングな楽曲から、穏やかな楽曲を含めて様々なタイプの楽曲が展開されていて大変充実した内容となっております。参加しているJames LaBrieの特性がよく生かされており、伸び伸びとした歌が披露されている。自分の得意なレンジや息遣いを用いて無理な歌いまわしは殆ど出てこない。またQueen/Gentle Giant/Spock's Beardのような分厚いボーカル・ハーモニー効果も用いられているし、Jamesの歌のパートだけをとってみてもDream Theaterとは違う手法も大胆に取り入れているように思う。

確かに、James LaBrieがメロディアスに歌うパートなどから、どうしてもDream Theaterに共通した部分も結構多いとは思う。だが、聴いてみて感じたのはFrameshiftはDream Theater系スタイルの「Prog Metalど真ん中」路線を狙っているという訳ではない。音楽的部分をいくつか拾って聴いてみると確かにMullmuzler, Magellan, Dali's Dilemmaなどといったバンドを想起させる部分はあるでしょう。Prog Metal的なニュアンスを含めながら、これまでHenning Paulyが培ってきた音楽理論や制作経験を軸として、様々な音楽的要素やスタイルを高度なレベルでブレンド・融合したアプローチの仕方が多くのプログレバンドやProg Metalタイプの大勢とは多くの部分で異なっているように思いました。特に彼の音楽で核となっている部分は、映画音楽的な制作を得意としているということが大きな武器になっていると強く感じさせます。全くRockやMetalを聴いた事が無い人でも、Unweaving The Rainbowで展開されている全ての曲をすんなり受け入れる事のできる作風になっているところが、このHenning Paulyの恐るべき実力だと思う。プログレメタル然としているGene MachineArms Racesなどといった楽曲が登場する一方で、La Merといった感動的な楽曲も配置されており、変拍子もアクセントとして取り込んだもの結構あったりします。非常に幅広くいろんなタイプの楽曲やストーリー性を盛り込んでいます。あくまでも前述したようなRichard Dawkinsの進化論うんぬんといった堅苦しさにリスナーがなるべく囚われないような作品として、見事にまとめているところがHenning Paulyの凄いところだなーと思いました。

とにかく最初から最後まで、全くだれるところがありません。ループ・テクノロジーやコンピューター・プログラミングなどといった現代的な要素も大々的に取り入れている点が斬新で刺激的です。Henning Pauly自身はGuitar, Bass, Synthesizer, Piano, Hammond B3, Warr Guitar, Banjoというあらゆる楽器をどれも高度なレベルで演奏しています。さらにオーケストレーションや音楽制作面でも大きく関わっています。マルチプレーヤーという側面だけでなく、音楽制作のプロデューサーという役割も持っていて、多彩な面を持つ天才ミュージシャンという形で私の中では強く印象づけられることになりました。JamesやHenningのみならず参加しているNik Guadagnoli (Bass/Chapman Stick), Eddie Marvin (drum)〜ゲストで参加しているミュージシャンを含めて、全てのミュージシャン達が素晴らしい働きをしております。いやー、本当に全編に渡って非常に高いレベルで物事が展開されていて驚嘆しました。これを機会にぜひHenning Paulyの他プロジェクトものやProg RockバンドのChainも聴いてみたいという強い思いに駆られました。結論として、このアルバムは2003年にリリースされた中でも非常に気に入ったアルバムの一つととなりました。今後も愛聴し続けていきたいアルバムです。(購入盤Review)

PILGRIM WORLD推薦盤

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