GARSED, BRETT & HELMERICH, T.J.
country: Australia/U.S.A.
style/genre: Guitar Instrumental, Jazz/Fusion, etc.
website: http://www.brettgarsed.com/, http://www.myspace.com/tjhelmerich
related bands/artists: Planet X, Gary Willis, Virgil Donati, etc.
similar bands/artists: Scott Henderson, Frank Gambale, Planet X, On The Virg, Allan Holdsworth, etc.
artist info: オーストラリア出身の技巧派ギターリスト、そして独特のタッピング奏法を得意とするアメリカ人ギターリストを含むバンド。



Brett Garsed/T.J. Helmerich - Quid Pro Quo
Legato Records
(1992)

ギターインストものを中心に聴いているリスナーや、実際に楽器を嗜んでいる人達にとっては、Brett Garsed/T.J. Helmerichは、どこかで必ず聴いたことがある名前だと思います。Brett Garsedは、オーストラリア出身のギターリストですが、アメリカにあるMusician's Instituteで講師をする傍ら、オールラウンドなギターテクニックを駆使したプレーヤーとしてギター業界では知られている名手です。一方のT.J. Helmerichは、8フィンガー・タッピング奏法を極めているシカゴ出身のギターリストです。どうやら、本職はレコーディング・サウンドエンジニア的なことをされているそうです。このアルバムを聴く限り、彼等の凄まじいギタープレーは存分に楽しんでいただけると思います。そういえば、この二人は、音楽活動をしている拠点が西海岸ということもあって、Derek Sherinian (Planet X)、そしてJazz Fusionシーンで有名なベーシストGary Willis (Tribal Tech)等とも人脈が繋がっているのを、ご存知の方もおられることでしょう。

Garsed/Helmerichの存在を知ったのは、Mark Varneyが主催しているLegato Records系のギター・コンピレーションを聴いてから・・・ということになります。そこに収録されていたインスト楽曲を聴いて、興味を持ったのが切っ掛けでしたね。そのインスト楽曲が収録されているアルバムをCD屋さんで発見して、ゲットいたしました。この2人は、デュオ的な活動をしている印象がありますが、それぞれが別々で音楽活動やインストラクションの仕事をしたりしています。でも確かに、この2人は一緒に活動をしているイメージが強いかもしれませんね。

さて、それでは気になるQuid Pro Quoの中身について見て行きましょう。このアルバムを聴く前は、てっきり全編ギターを中心にした、テクニックを前面に押し出したインストが炸裂しているだろう・・・と思っておりました。しかし、実際にアルバムを通しで聴いてみると、そういう路線とは趣きが異なることに気づきます。もちろん、Brett GarsedT.J. Helmerichをフィーチャーしたギターソロを含む、カッコイイ楽曲が収録されています。最初から最後まで、濃密なハード・フュージョンや、テクニカル・ロック系で構成された作品とはなっていません。1曲目の"Subway"は、Planet X/Virgil Donati Band/Cosmosquad辺りに通じるような躍動感が漲る、テンションが高くアップテンポなインスト指向になっていますが、アルバムの前半は、むしろレイドバックした雰囲気の楽曲が並んでおり意表を突かれてしまいました。さらに「エエ?」と驚いてしまったのは、4曲目の"Dirty Work"はBrett GarsedによるPops Rock的なボーカル曲で、8曲目の"So Hard To Say"では、T.J. Helmerichがリードボーカルをとっています。両者とも、いい声をしており、何ら不自然な点はありません。

序盤からグイグイと押すタイプの作品ではないことが、次第に分かってきます。アルバムの中盤や後半部分に、アップテンポでテンションの漲った楽曲ナンバーを少しずつ配置している構成です。そういうことが、アルバム全体を聴き込んでいくうちに分かって来ました。テクニカル・ロック系のインストもの以外を見渡していくと、レイドバックな雰囲気を醸し出したものや、アコースティックギターを主体にしたナンバーも目立ちます。その他には、ブルージーなタイプ、バラード的な楽曲なども含まれております。確かにこのバラエティ豊かな側面を強調する部分は、次のExemptアルバムにも引き継がれていると感じます。

個人的なハイライトは、アップテンポでパンチもあるテクニカル・ロック指向の"Subway"(1曲目)、ジャジーな雰囲気を醸しつつスリリングな演奏形態が魅力的な"Punch Line"(9曲目)、そしてラストに収録されている11曲目のタイトルトラックは、Garsed/Helmerichのギターソロの掛け合いと応酬が非常に面白いです。これらの3曲は演奏が非常に充実していますね。それから、暫くはかなり取っ付きにくかったのですが、ファンク風のグルーヴ感が特徴である6曲目の"A Musical Oasis Awaits Us"も、実は凄くカッコイイ演奏が展開されていることに後に気づきました。主役のギターリストだけでなく、脇を固めているGary Willisのベースワークが流石ですし、リズムセクションも非常に良い仕事をしています。Keyboardistは、NY出身のハードロックバンド: Tykettoの2ndでヘルプ参加していたPaul Mirkovichが、クレジットされています。贅沢を言えば、もっとPaul Mirkovichのキーボード演奏や、シンセワークを前面に出して欲しかったです。しかし、特にジャジーでファンク色の強い楽曲での巧みなピアノ・ソロが個人的には耳を惹きました。また、少し前衛的な要素を感じさせるナンバーなどにおけるバッキングの味付け、抜けの良いストリングス〜ブラス〜パッド系のKeyboardのサウンドで、良い仕事をしているなあと思いました。

そうですねえ〜。このQuid Pro Quoに関しての最初の印象は、1回聴いただけでは、かなり誤解してしまいやすい作品だろうなあ・・・という感想を持ちました。やはり、ギターファンにとっては、GarsedHelmerichの両者には、全編に渡ってスリリングでテクニカルなギターソロの応酬を主体にしたものを期待したくなるでしょう。なので、その路線を期待しすぎてしまうと、「なんだか、彼等にしては地味だし、拡散しまくっているなあ・・・」という印象を持ってしまうことでしょう。しかし、どの楽曲もよく練られた仕上がりなのは、職人が集合したグループだなあと感じさせます。次第にバンド全体の演奏に耳を傾けていくうちに、嵌っていくことができる可能性はあるでしょう。案外、バラード風でポップ路線の歌入りのナンバーも味わいがありました。やはり、SubwayPunch LineQuid Pro Quo辺りのテクニカル指向の楽曲が圧倒的に素晴らしいなあと感じました。最近は入手が困難なアルバムの一枚となっております。ギターインスト系のファンにとっては、Garsed/Helmerichは、気になる存在だと思います。(購入盤Review)

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