Helizer - Tales From A Damaged Mind
Independent Release
(1998)
南米はアルゼンチン、ブエノス・アイレス出身のMelodic Power Metalバンドの1stアルバムです。日本のレーベルからもこのアルバムはリリースされております。さて内容なのですが、僕が以前読んだレヴューではDream Theaterタイプのバンドという形で評価されておりましたし、日本盤のジャケットはサルバドール・ダリの顔が使われていることもあり、非常に大きな興味を持ってこのアルバムをゲットしてみました。内容は、Dream TheaterタイプというよりはむしろAngraなどにも通じる南米産の雰囲気を強く感じさせるMelodic Metalタイプの音楽という印象が強く残りました。曲によっては、確かにProg Metalぽいテイストも感じられますが曲調や構成は極めてソリッド且つストレートなものにしております。テンポ的には割と疾走感もたっぷりあるので、メロディアス系のメタルや、スピード感を楽しむリスナーには痛快ではないかと思います。個人的には、専任キーボーディストもいるのでKeyboardがもっと前面に出ていると、さらに印象がグっと増していたと思います。個人的には余りアルゼンチン出身のバンドに出くわす機会がそんなに無かったのですが、演奏力もしっかりとしたものを持っていて、特にアルバムの後半に出てくるNWOBHM風味も少し塗したかのような懐かしい「これぞ正統的なHeavy Metalだ」と言いたくなるタイプの、整合感のある楽曲群が特に魅力的でした。ギターソロのセンスは大変素晴らしく、ギターを中心にバンド演奏や楽曲を楽しむことができました。アルゼンチンというと、他にはDamnationなるProg Metal系統を意識したバンドがいますが、あなどれない存在が実は割拠しているのかもしれないなーと思いました。底辺に流れているラテンのフレーバーを隠し味として持ちながらも、勇壮で少しメランコリックな佇まいも見せる楽曲が特に魅力的だと思います。凝った展開や、テクニカルな技巧美を求めるリスナーには、しっくりこないかもしれません。ですが、こういうソリッド且つ正統的なHeavy Metalやメロディアスなパワーメタル路線が好きなリスナーには、グっと来る何かを感じ取ってもらえるのではないでしょうか。最近このバンドがどうしているのか定かではありませんが、僕個人としてはこのバンドはProg Metal路線としてよりも、方向性として正統的なMetal路線を追及していくならば、さらに良い物を引き出していけそうな気が致します。(購入盤Review)