House of Spirits - Turn of the Tide
G.U.N. Records/BMG
(1994)
ドイツ方面を中心に活躍していた正統派Power Metalバンド、Jester's Marchの元メンバー2名を中心に結成されたバンドがHouse of Spiritsであります。この1stアルバムでは、ある意味QueensrycheやLordbaneに通じる重厚なドラマをコンセプト形式のスタイルで取り入れたProg Metal作品となっている。細かいストーリー的部分は割愛させていただきますが、ある種のファンタジー寄りなタイプの作品になるでしょう。落ちぶれた王家の血脈を受け継ぐ人間達が「王政復古」に希望かけて行動に出て行く・・・・といったような感じで長めの内容となっております。コンセプトを貫いているとは最初気づかなかったので、このアルバム正直言って非常にとっつきにくかった作品でありました。音楽もストーリーラインや歌詞に重きを置いた内容のようでありまして、テンポも80年代後期から90年代中期辺りまで活躍していたGerman Metal系と大きく異なっているのが大きな特徴でしょう。テンポも割とスローからミドル寄りであり、どこかしたら似たような楽曲が並んでいるなーという印象でありました。このアルバムを聞く前に、どうしてもJester's March的なものを期待していたせいか、攻略するのが難しいメタルアルバムだなーと長いこと思ってました。
しかし不思議なことに、ある時期を境にコンセプト作品という視点からじっくり取り組んでいくと・・・「オオ！これは中々に面白い作品ではないか」という意見に到達できました。メタル耳の人間にとっては楽しめるアルバムに少しづつ印象が変わってきました。テンポや速度、それから派手な演奏展開にたよることなく、あくまでもメタル然としたサウンドでドラマを紡いでいく作品としてQueensrycheや初期のKamelot、そしてデンマークのLordbane辺りのダークでパワフルなメタルサウンドが楽しめる人には嵌まれるでしょう。4人による演奏形態で、ギターオリエンテッドで勇壮なPower Metal〜Prog Metalな楽曲が並んでおります。単調に聞こえるかもしれない演奏面・・・しかし、これはよく耳を澄まして全体像を把握しようとするならば、そのアレンジ面や演奏形態で楽しむポイントを、いくつも見出せることと思います。特にドラムが大変いい仕事をしておりますが、なるほどGerman Metalに精通している人にはお馴染みのドラマーJorg Michaelが叩いておるので当然といえるでしょう。正統派Metalが好きで、「これぞ欧州のHM！！」と呼ばれるグループの作品に慣れ親しんでいる人には一発で嵌まれる作品であります。
このアルバム、残念ながらもう既に廃盤状態だと思われます。中古屋さんでひっそりと眠っているアルバムであろうと思われます。現在の状況だと入手はかなり難しい部類になりつつあります。90年代初頭のPower Metalやギターを前面に押し出した、ゆったりタイプのProg Metalが好きな人は、時間をかけて気長にじっくり攻略してみてください。このアルバム、本当に味わえるようになるまで、非常に長い年月がかかりました。(購入盤Review)