HUMMINGBIRD
country: Japan
style/genre: Melodic Metal, Powerful Metal, etc.
website: http://www.hummingbirdmetal.com/
related bands/artists: Hiroshi Omoto, Makoto Unno, Shunji Fujino, Natsumi Katayama, Hiroki Tanaka, etc.
similar bands/artists: Vigilante, X-Japan, Helloween, Vicious Rumors, Antithesis, etc.
artist info: 日本語の歌詞や誠実な世界観を大事にしながら勢いのあるパワーメタルを得意とする若きホープ。



HummingBird - s/t
Independent Release
(2010)

HummingBirdは、ギター兼ボーカルを担当する山崎泰央氏を中心とした日本のPower Metalバンドです。楽曲制作や音楽の方向性づけなどは殆ど全て山崎氏がてがけています。本職はギターリストの方ですが、ボーカリストとしての側面を持つ山崎さんは、喉に余り負担や無理をかけないように終始丁寧に歌っています。楽曲は日本語詞が大半を占めていますが、コーラスやサビの部分などで英語のフレーズが登場します。日本語の歌に関して見ていくと、音楽とのマッチングは大変良いと思います。特に違和感みたいなものは、微塵にも感じませんでした。この1stアルバムでは、リズム隊としてVigilanteから海野真氏(bass)と藤野隼司氏(drums)の両名が参加しています。6曲目の"End of Lightning"では、同じくVigilanteの中心人物である大本浩史氏が流麗なリードギターでゲスト参加しています。プロデュース、そしてエンジニアリングも大本氏が担当していることにも注目したい。山崎さんは、大本氏が開講しているギターレッスンを受けたことが出発点になったのでしょう。大本さんやVigilanteの音楽が持つ魅力や奥深さに触れることによって、レッスン生から本格的なミュージシャンとしてステップ・アップを遂げていったのではなかろうか。そういったことがCDの音から伝わってくるものがあります。その他の部分に目を向けてみると、外部のグループに参加しているミュージシャンがゲスト参加しています。ヴァイオリンのメロディアスな旋律やキーボードなどの音によって彩りが加えられている楽曲が含まれています。

アルバムの音作りなど非常にバランスが取れていて良好な仕上がりになっています。パワーを強調した曲でもクリアな音調整になっており、全く耳に負担がかからないプロダクションなので全編楽しめる筈です。歌の録音も丁寧にされているところも重要なポイントだと思います。1曲目の"Introduction"や5曲目の"Silent Symphony"のようにProg Metal的な要素を感じさせる場面もありますが、このCDではあくまでも正統的なHR/HMをルーツに持つ山崎泰央氏によって生み出されたメロディアスな国産パワーメタルのスタイルを貫き通しています。アップテンポでスピーディーに疾走するメロディアス・パワー的な楽曲が多く登場しています。AngraHelloweenそしてX-JapanのようなタイプのPower Metalサウンドを好むリスナーにとっては頼もしいところでしょう。ありきたりの展開にならないようにヘヴィーな部分を強調するだけでなく、繊細でクリーンな音を含めるなど工夫を施しています。アルバム全体の流れや雰囲気、そしてダイナミズムといったものに至るまで気を配っている様子が伺えます。テンポ・チェンジや緻密なリズムパターンが要求される場面にさしかかるとVigilanteFates Warningに通じるインテリジェンスな側面が顔を出すところは流石だと感じさせます。

1. Introduction:
知的なエッセンスやアレンジメントが光るProg Metal的なナンバー。このオープニングを飾る楽曲は、ドラマティックで力強さが出ていて自分が気に入ったナンバーの一つです。Vigilanteに近い雰囲気を持ちますが、それと同時にQueensrycheFates Warningなどにも通じる気高いムードが漂っていてカッコイイ。全体に流れるメロディーやリズムパターンなどを含めて、序盤から山崎泰央氏の持つ音楽的な素養の深さの一旦を垣間見たような気がしました。いやあ、本当にこの曲は非常に魅力的な仕上がりとなっております。Vigilanteの伝統を見事に継承していると言いたくなるほどです。

2. Humming Bird:
オープニングの流れを引き継ぎながら、HelloweenVicious Rumorsのサウンドを想起させるかのような疾走感溢れるナンバー(Vicious Rumors的と思ったのは主にドラムのリズムパターンから、そのように感じたという・・あくまでも個人的な意見です)。ここでの歌詞は、音楽への誠実な姿勢や思いが迸るかのようであります。山崎氏によるギターソロもメロディアスで臨場感を伴ったものになっている。全体的にスピーディーに突進。ギターの音を中心に録音やエンジニアリングワークの高さにも唸らされた。こういう曲調とサウンドこそが、HummingBirdの音楽性を見事に代表しているのだろうなあと聴いていて思った次第であります。

3. Yesterday Once More:
前述のナンバーとは打って変わり、序盤あたりのペースは少しゆっくり目な楽曲なのかと思いました。途中からアップテンポに変化していき躍動感が前面に出てきます。この曲もメロディアスでキャッチー。力強さや希望、情熱が溢れてくるかのような表現スタイルはAngra的と言えるかもしれません。アレンジや全体の演奏は、非常に堅固なものになっているだけでなくバンド全体が丁寧なパフォーマンスを心がけています。ギターソロはメロディアスなHard Rockといった風情。個人的には、このアルバムの中でもフェイバリットな楽曲ですね。ライブでもきっと盛り上がりを見せるナンバーだと想像します。

4. Shine:
不思議なことにポピュラー音楽にも通じる感触を持ちました。またX-Japan的な感じの日本のメタルが好きな人を振り向かせる要素を充分に含んでいるかのようであります。一方でポジティブ且つハッピーな気分を味わえるところは、HelloweenAngra的と思われる方もいらっしゃるかもしれません。ギターのソロパートにさしかかると、山崎氏にスポットライトをあてたスリリングでアグレッシヴな速弾きも登場。

5. Silent Symphony:
アコースティック・ギターやバイオリンが効果的に使用されています。これまでとは随分違ったトーンの楽曲になるかなという始まり方です。そうこうしているうちにヘヴィーな曲調にシフトチェンジ。知的なアレンジが施されており、若干テクニカル度が高くなる。雰囲気も全体的にドッシリとした曲調に。まさにVigilanteや「Parallels」期のFates Warningの両方が好きなギターオリエンテッドなメタル・リスナーの琴線にも触れるところがある。特に海野真氏のベース・ラインや繰り出される緻密なパッセージは耳を惹きます。後半部でアコギとヘヴィーなギターが重なり合う部分、そういったコントラストがまた良い味を出しています。エモーショナルなギターソロや旋律の組み立て方なども素晴らしい。日本語の歌詞やイントネーション、そして表現力などに至るまで完成度が高いというのが個人的な見解です。山崎氏のコンポーザーとしての力量がいかんなく発揮されている。この曲は初めて聴いたときから、お気に入りのナンバーになりました。

6. End of Lightning:
割とアップテンポで速度を感じさせるナンバー。X-JapanVicious Rumorsなどを想起させる楽曲が再び登場したという印象です。この曲における藤野隼司氏のドラミングスタイルが、どことなくVicious RumorsLarry Howeに通底するかのようなと自分が言いたくなってしまうカッコよさと爽快感がある。ギターソロでは山崎氏、そしてゲスト参加の大本浩史氏によるテクニカルで流麗なギターパートが光る。後半に流れこむと次第にリスナーの情感を高めていくかの場面も用意している。この曲もアルバムの中でのハイライトの一つでしょう。

7. Surrender
バンドの一体感・統一感を打ち出したリズムセクションの働きが印象的な楽曲となっています。アップテンポな曲調の中で山崎氏がこれまで以上にハイトーンや高いレンジが目立つ歌い方をしている。この曲では特に歌を通して感情をぶつけるような、あるいは自分の中にあるものを押し出すかのような印象を受けた。間奏部のアレンジ、そしてソロパートの作りは聴き所だと思ったし、エモーショナルである。曲の中間部ではソリッドなリズムワークが特徴的。ギターのバッキングやリフなどに工夫を凝らしているのだと思う。後半からスピーディーな局面に突入するので、多分聴き手のテンションはグングンと高まっていくことでありましょう。リード・ボーカルのメロディーと並行して動いている海野氏によるベース・ラインが非常に印象的で面白い。カウンターポイントというべきか、カウンターメロディーというべきなのだろうか・・・こちらも当然耳を惹きました。ところどころで翳りや内省的なものを感じさせました。そういった部分はProg Metal的と表現したくなるほどです。

8. Silent War
序盤でViolinやKeyboardなどの音が登場しており、何故かFates Warningの"At Fate's Hand"に近い雰囲気を一瞬感じさせました。静謐なムードで全編展開されるのかな?と思いきや、一転してスピーディーな曲調に変わります。そしてオリエンタルな旋律が印象に残る。アレンジメントも安易なものにはなっておらず、かといって懲りすぎないようにリスナーにも分かりやすい曲調をめざした形になっています。後半アコースティック・ギターが挿入されているので、曲の色彩がまた変わってきます。その後、ヘヴィー且つ濃密でテンションの高いパートが登場し。スピーディーなパートにギアチェンジするなどして色んな側面を持つナンバーになっている。

9. Power
楽曲の題名どおりの攻勢をかける激烈なメタルナンバーか?と思いきや・・・キャッチーな側面や明るさが滲み出ています。Helloweenの親しみやすいナンバーにも大変近いのではないでしょうか。コーラスパートに入ると、さらにキャッチー度が増すかのようだ。この曲は、岡山のメタルグループSchau-Essenにも共通する分かりやすさと親しみやすさを出してます。歌とメロディーの親和性が良いと感じました。

10. Thunder
この曲で聴くことのできるドラミングやリズム的な箇所は、よく聴くとThrash Power系に匹敵する突進力があると感じさせるでしょう。コーラスの場面にさしかかるとメイン・ボーカルの後方で合いの手みたいなというか・・掛け声みたいなものが登場します。ちょっとグラント声みたいな感じもあり。この曲ではかなりのハイトーンボーカルというか高い音域をスピーディーなテンポの中で山崎さんが歌っています。この曲は少し歌うのが辛いのではないか?、と感じさせましたが歌いきってます。ギターのリフやバッキングなども印象に残る。実際にライブでも演奏されているナンバーのようですが、会場で盛り上がりを見せるナンバーだと思います。

11. Splash
アルバム最後の収録されているナンバー。アコギによるストローク奏法やシンセパッド系のキーボードの音で始まっているので、この曲はバラード風で締めくくるのかと思いました・・・ですが、さにあらず。疾走感が漲る痛快なラストナンバーとなってます。直球で豪快な場面をみせる"Splash"は、Vicious RumorsWelcome To The Ballアルバムに収録されていても不思議ではない・・・と言いたくなるストレートでテンションのある仕上りになってます。全体的にリズム隊の活躍が充実しているのが特徴です。スピーディーなテンポの中でも埋もれることがないようなギターソロにも注目でしょう。

ということで、メロディアスで正統的なHMサウンドを標榜しているHummingBirdというグループの持っている素晴らしさと力強さをCD全体から感じ取ることができました。この1stアルバムで、山崎泰央氏が得意とするメタルサウンドや楽曲などを味わうことができました。特に"Introduction"、"Yesterday Once More", "Silent Symphony", "Surrender"といった楽曲は素晴らしく、様々なメタル系リスナーを惹きつけるポテンシャルを秘めていると思いました。既に1stアルバムでこれだけのダイナミックなメタルサウンドと演奏を提示しているということが嬉しい驚きでした。国内のメタルシーンも色々と変化を遂げつつあるようですが、正統的なメタルサウンドを武器にしているHummingBirdの活躍に期待したいと思います。
http://www.myspace.com/hummingbirdmetal (プロモ盤Review)

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