HERNANDO, TONY
country: Spain
style/genre: Guitar Instrumental, HR/HM, etc.
website: http://www.tonyhernando.com/
related bands/artists: Saratoga, Mike Terrana, etc.
similar bands/artists: Torben Enevoldsen (Section A), Michael Harris, Tony MacAlpine, Cacophony, Yngwie Malmsteen, etc.
artist info: アグレッシヴな演奏を得意とするスペイン出身のテクニカル系ギタープレーヤー。



Tony Hernando - Actual Events
Lion Music
(2009)

スペイン出身のギターリストTony Hernandoが、2009年の2月にリリースした最新作です。日本国内では余り名前が知られてないミュージシャンからもしれません。彼のキャリアを振り返ってみると、実力派としても名高いAndy TimmonsRichie Kotzen等ともツアーを廻ったことがあります。スペイン本国では、HMバンドのSaratogaに参加して活動もしているとのこと。バンドとソロの活動は彼の中では、しっかりと線引きをしているのでしょう。名前はメインストリームで浮上はしていなかったかもしれませんが、コンスタントに活動を続けているギターリストです。90年代は、主にG.I.T.などで有名なアメリカはL.A.にあるMusicians Instituteを中心にギター修行を積み重ねて来たそうです。2000年代以降は、自身のソロ・アルバムをLion Musicより数枚リリースしています。前作とライブDVDを見た限りでは、HR/HM系の色合いも感じられるメロディアスで分かりやすいギター・インスト型を追求しているという印象でした。

最新作のActual Eventsは、前作と基本的な路線は近い部分が多いように思います。しかし、これまでと違った色合いも意識的に出しております。楽曲によっては、全体的な雰囲気がズッシリと重たい感じもしました。ヘヴィネスとハードな側面を強調させているところは、ある意味パワーメタルとスラッシュメタルの中間を行くかのようなところがあります。おそらくShrapnel Records辺りからは、大きく刺激を受けてきた人なのでしょう。速弾きやテクニカルなラインを前面に押し出してくるところは、Tony MacAlpineVinnie MooreCacophony辺りを中心に研究したのだと思います。そこから発展させて、Tony Hernandoのオリジナリティを出そうとしています。"Totem"や"Driven By Fear"と言ったナンバーなどでは、Panteraの「Vulgar Display Of Power」や、Dream Theaterの「Awake」付近をお手本にしたようなヘヴィーなギターサウンドも聴くことが出来ます。基本的にスピーディーで疾走感を大事にしたものが多いので、派手で濃厚なギターインスト系が好きなギター・キッズを自認している人にアプローチする音楽性です。

緩急の付け方などは、各ナンバーで工夫を凝らしているかのようです。バンドが一体となって、攻勢をかけてくる場面も少なからず含まれています。参加しているMike Terranaを中心にした、"Totem"で聴けるような畳み掛けてくる場面があると聴いていて盛り上がってきますね。今度のニューアルバムでは、Mike Terranaを主軸としたような、リズム的に凝りまくったパターンを多く含んだナンバーを導入して欲しいです。プロダクションも上々で、特にギターやドラムの音作りや表現に頑張りが見られました。ギターの音が前面に出ているので、ベースが目立つ部分は少なめかもしれません。ですが、時折聴こえてくるベースの音や演奏を聴いていると、派手ではないものの手堅く良い仕事をしています。ちなみに2曲ほど、アコースティックギター的な色合いを出した短めのナンバーもあり、この辺りはスペイン人としての特徴を少し出してますね。

聴く人によっては、Tony Hernandoのギターサウンドというか、特にギターのリフやバッキングを弾くときの音がザラザラっとした感じが強いかも。厳密に言うと、Hernandoによる弦のアタックやストロークによるものか?。それともピックアップ・マイクとアンプなどの相性なのかな?。多分、彼のようなスタイルは、好みがハッキリと分かれるタイプかもしれません。割とバッキングの音もクリアなものを求めている方には、曲によっては濁ったサウンドというレッテルを貼る人もいらっしゃるかもしれません。モダン路線やコンテンポラリー寄りなHR/HMタイプが苦手な人は、サンプルなどを聴いてトライすることをお薦めしたいと思います。ちょっとザラザラっとしているかな?・・・と気になりそうなところもありました。私の場合は、ヘヴィ指向も強い人とイメージを持ったので、聴いているうちに目クジラを立てるほどではないと思いました。意識的にバッキングの音は硬めで尖がった部分を強調しており、この辺りはメタラーとしてのキャラクターを押し出していると思います。

ギターのテクニカルな演奏面を中心としたところは、Shrapnel路線を継承しているでしょう。その一方、全体の雰囲気やサウンドは、現代的な路線を貫いています。ただミディアムテンポが目立つ曲は、とっつき難い面があるかもしれません。この辺りは、もっと親しみやすい感じを出していたほうが良かったかもしれません。例えば"State of Mind"みたいなナンバーは、グルーヴ感を強めたスタイルです。この曲に関しては、圧迫感のみが突出してしまったようで、惜しいなあと思いました。ただ全体的にはそれぞれの楽曲にキャラクターを持たせて、飽きさせないように頑張りが見られました。オール・インストとは言え、歌が入っていても違和感の無いメロディアス指向にしているのは正解だと思います。ギターのテクニカルで流麗なソロ、メロディーラインは確かに目立っています。しかし基本的には、なるべく難解な作りにならないようにしています。特筆すべきは、ドラマーとして参加しているベテランのMike Terranaでありましょう。数多くのグループや作品に関わった経験を充分に生かしていますね。非常に素晴らしいドラミングとビートを刻みつつ、手堅くバンドの底辺を支えています。

確かにギターが主役でバリバリと弾きまくるスタイルではありますが、楽曲によっては興味深い変則ビートやリズムパターンとかも出てきます。Section Aで、お馴染みのTorben EnevoldsenMichael Harris、そしてPatrick Rondat辺りのアルバムを聴いているような感じに近いかな。コンテンポラリーでモダンな場面も結構あります。時にはシンセ奏者によるソロとか、キーボードワークも顔を出して少し彩りを加えています。完全にProg Metalという分類はできないかもしれません。時折、それっぽい感じも出ているので、リスナーによっては楽しめる要素を見出すことができるかもしれません。「Actual Events」は、Tony Herndandoのこれまでの活動を凝縮した良い作品に仕上がっていると感じさせるものがあります。http://www.myspace.com/tonyhernando (プロモ盤Review)

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