KAMELOT
country: United States, etc.
style/genre: Melodic Power Metal, Symphonic Metal, Prog Metal, HR/HM, etc.
website: http://www.kamelot.com/
related bands/artists: Conception, Epica, Heavens Gate, Miro, etc.
similar bands/artists: Queensryche, Conception, Crimson Glory, Karma, Charisma, etc.
artist info: ドラマティックサウンドを武器にした、アメリカ出身のMelodic Symphonic Metalグループ。



Kamelot - Siege Perilous
Noise Records International
(1998)

欧州的なドラマティックで壮大なスケールを武器にしているKamelotが、90年代後半にリリースした作品です。このアルバムまでは、Kamelotは割とProg Metal的エッセンスが強い音楽性を保持しており、個人的にはSiege Perilousが彼らの作品の中では現時点では一番のフェイバリットです。次のアルバムThe Fourth Legacy以降は、よりプロダクションが豪華でアプローチ的にもよりメロディックPower系に変化を遂げていくことになり、その後の大活躍は皆さんご存知のことでしょう。さて、Siege Perilousですが、プロダクション的には完成度などから見ていくと、やはり後年のアルバムに軍配をあげざるを得ないでしょう。しかし、このアルバムはある意味、彼らにとっての最初のターニング・ポイントとでも言うべきものだと言えます。聴き手によっては、少し暗めというか地味な印象があると思いますが、僕自身はSiege Perilousは魅力に溢れた内容が提示されていると感じました。

まず、注目したいのは、多くのPower Metal勢と雰囲気が随分と異なっております。アメリカのサウンドというよりも、むしろ欧州のメタルの系譜を受け継ぐかのような、なんともエレガントで気品に満ちた作風であるということです。付け加えて言うなら,優美な薫りすら放っていると言いたくなるほどです。それぞれの楽曲も分かりやすい作りを心がけているものの、それぞれの構成要素は緻密に考え抜かれていると思います。緩急や動と静の対比が、極めて素晴らしく、演奏陣の一つ一つのプレーがこれまた雄大なという印象を与えてくれます。とにかく、これでもかというほどのエピック指向とドラマを感じさせるメロディーと曲展開はため息が出るほど、美しいと思わせます。

また、このグループはConceptionでも名を馳せたRoy Khanによる歌唱パフォーマンスそれだけをとっても艶があって、色気があります。メタルシーン随一といいたくなるほどの歌い手で、エモーショナル且つパッショネイトな歌を歌わせたら、天下一品でありましょう。Kamelotの頭脳とでも言うべき、Tom Youngbloodのギタープレーも堅実でここぞというときには、流麗なソロを披露します。このアルバムを最後に名前が消えてしまいますが、KeyboardistのDavid Pavllicoによるアカデミックな技術に裏打ちされたキーボード・プレーやバッキングが個人的にはとても素晴らしかっただけに勿体無いです。極めつけはリズム隊の存在感で、特にドラマーのシャープ且つ躍動感みなぎるビートと太鼓の音が、もう惚れるほど見事です。僕個人は、大好きなアルバムなのですが、余り高く評価されていない作品なのかもしれません。

確かに派手なところとは違う部分にあるかもしれませんが、美しい麗人を思わせる艶やかな要素や、騎士道に思いを馳せるかのような崇高な精神に通じるような、清々しいものを彼らの音楽から感じました。シンフォニック・メタルやドラマティックなメタルに目がない人には、近年の作品の方が圧倒的にアピールすると思います。でも、Prog Metal的要素の入ったドラマ性のあるPower Metal/Symphonic Metalが好きな人には、このアルバムから強く何かを感じ取って欲しい。まるで、壮大な映画を見ているかのような気分にさせてくれる・・というのは、いささかオーバーであろうか。(購入盤Review)

PILGRIM WORLD推薦盤

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