HUBI MEISEL
country: Germany
style/genre: Prog Metal, Melodic HR/HM
website: http://www.hubimeisel.com/
related bands/artists: Dreamscape, SceneS, Joop Wolters, Sun Caged, Mind's Eye, Shadrane, Absolute, Lalu, Mago De Oz, etc.
similar bands/artists: Vanden Plas, Dreamscape, Tomorrow's Eve, Star One, Headline, AtmOsfear, Cydonian, etc.
artist info: 元DreamscapeやScenesなどで活躍していた、ドイツ出身のProg Metalシンガー・ミュージシャン



Hubi Meisel - EmOcean
Lion Music
(2003/2004)

Prog Metalシンガー・ミュージシャンのHubi Meiselは、かなり幅広く様々なHR/HMバンドやプロジェクトでドイツ国内を渡り歩いた経歴を持っています。彼がこれまでに参加した中で最も知られているのは、ドイツの叙情派Prog MetalバンドDreamscapeでの活動ではないでしょうか。ちなみに、Dreamscapeも来年(2004年度)はいよいよ、Veryに続くアルバムをMassacre Recordsよりリリースするのでファンは楽しみにしていただきたいが・・・まずは、Hubi MeiselのDreamscapeを離脱後の足跡を辿ってみたいと思う。Hubi Meiselは、非常に活発に音楽活動をしているProg Metalミュージシャンの一人と言っても過言ではない。その後、ドイツの同胞達とメロディアスProg MetalバンドのSceneSに参加し、1999年に佳作「New Beginning」をインディーズからリリース(ちなみにSceneSは、2000年に8曲入りCD「Understatement」を完成させたものの、何らかの原因により公式にはリリースされていない)。その後に、彼はソロプロジェクトやコラボレーションを中心とした活動にシフトチェンジをし、元Black Jesterのメンバーを含むMaeve of Connachtにリードボーカリストとして参加し2001年頃には、Imaginary Talesをリリース。また昨年は、彼にとって初のソロアルバム「Cut」(なんと全曲80'sのオールカバー集)をリリースするなど音楽活動も多忙を極めていたようです。Hubiは、それと並行して大学での論文発表なども控えながらフルで音楽活動を展開していたということを後で知り、彼のバイタリティーの強さに驚愕してしまいました。この数年間のうちにDreamscapeを含めて、5枚以上の作品に携っていた事になります。その後、ロックオペラ的作品をリリースする意欲を燃やしていた時期もあり、参加ミュージシャンとしてShadow GalleryGary Wehrkampや元HelreidhのYorickなどに打診をしていたような話も聞きましたが、それに関しては現在のところは彼のみぞ知るところでありましょう。

えらい、前置きが長くなっちゃいました(笑)。昨年リリースされたソロ第一弾が、全曲80年代のカバーで占められる内容だったので正直びっくりしてしまいましたが、このEmOceanこそが実質的なファースト公式アルバムといっても過言ではないかもしれません。本来このEmOceanアルバムは、2003年の秋頃までにリリースされる予定だったが、用意周到に事を運び、ついに欧州方面を中心にHubi Meiselの公式サイトから最近リリースされました。日本でも国内盤が2004年3月下旬頃にAvalon/Marqueeよりリリースされます。Lion MusicからWorld Wideリリースで、欧米方面でも来年の3月に発売予定です。気になるEmOceanの内容に入りたいと思います。全編に渡って、彼がこれまでに大学で専門に勉強してきたギリシャ哲学や神話などをコンセプトとして取り入れており、ギリシャ哲学者PlatoのオリジナルテキストCritiasや1940年代頃に発表されたEdgar Cayceの幻視をベースとした「アトランティス大陸」のテーマを始めとして、「バミューダ・トライアングル」・「サルガッソー海」などといった大西洋方面〜海底や未知の水域を舞台にしたミステリーを題材とした意欲作となっています。普通ソロアルバムというと、歌もの中心で楽器陣によるイントリケイトなバトルは登場しないイメージがありますが、このアルバムに関してはそういう予想を見事に裏切ってくれていて痛快です。アルバムの構成は、Part1、Part2、Part3という大きな3部構成に分かれています。海底をテーマにしたスペクタクル且つ壮大な浪漫派Prog Metal作品というのが、個人的な位置付けです。楽曲は、Hubi Meiselの柔和で情熱溢れる歌メロディーを中心に基本的にはアンサンブル指向でありますが、場面展開も数多く登場しておりますしギターソロの活躍度も高いしバック陣のリズム隊そして、キーボード・シンセ類の煌びやか且つゴージャスな音色に魅了されます。部分的に打ち込み〜プログラミングも巧みに導入されていて、面白いことにS.E.やサンプリング音として「ドルフィンの綺麗な泣き声」〜「月面着陸の名セリフ」も使用したりと、ドラマ性を高める仕上がりが非常に心憎いです。変拍子の導入を始め、緩急のつけかた、技巧的に高いレベルの演奏の押しや引きが見事に統制されています。Hubiの脇を固める、Sun CagedMarcel Coenen (guitars), Mind's EyeDaniel Flores (drums), AbsoluteJean B. Affonco (bass)、ShadraneVivien Lalu (keyboards)達といった、Hubiの為に参加したProg Metal欧州国際連盟軍団の活躍が大変素晴らしいです。あくまでもEmOceanは、Hubi Meiselのソロ作という形態をとっていますが、内容は楽曲中心からドラマティック且つスリリングな内容が全編貫かれています。個人的には、楽しむポイントがたくさんあって、EmOceanを聴くたびに魅力がグングン増す傑作ができたなーという印象です。

Hubi Meiselもこの作品には、かなり力をいれて取り組んでいたと思いますが、参加しているメンバー一人一人の素晴らしい力量について言及せずにはおられません。Sun Cagedから参加しているMarcel Coenenによる超絶技巧を駆使したアクロバティックなギターソロやクランチーなリズム取りが素晴らしく、自分のバンドと変わらないほどの個人技を繰り出していてカッコイイです。個人的には、このプロジェクトに参加している中で最も注目したいには、Shadraneから参加しているフランスはパリ在住のキーボーディストVivien Laluのアレンジやバッキングの引き出しの多さとキーボードワークの素晴らしさです。Roland Workstationを始めとしたシンセサイザーやギア類などを駆使して音源を多種多様に加工し、それを色鮮やかにブレンドする、このVivienの力量には心底驚嘆致しました。今度出るであろうShadraneのアルバムに、大きな期待を早くも寄せています。リズム隊としては、Absoluteから参加しているJean B. Affoncoも堅実なプレーを心がけていますが実力を持ったベーシストという印象です。そして、Mind's Eyeから参加しているDaniel Floresのドラミングは流石の一言につきます。Rod Morgenstein, Chad Wackerman, Jeff Porcaro辺りにも通じるシンバル・ドラムワークの絶品のプレーは、このEmOceanでも大活躍しています。もうこのプロジェクトは、Hubi Meiselのソロワークを超えて一つの欧州Prog Metal連盟軍の理想郷の一つではないでしょうか(ちなみに国別で言うと、ドイツ・スウェーデン・フランス出身のメンバーが集結しています)。若手Prog Metalミュージシャンの実力が遺憾なく発揮されており、彼ら一人一人の高い音楽性と技術の高さに感無量です。もちろんプロダクションやアレンジメントも大変良好で細部に渡って作りこまれています。アトランティス大陸などをテーマにしているので、部分的に気を配って聴いていくならば、確かにSymphony XVに通底するところもあるでしょう。個人的には、Sun Caged, Ayreon, Star One, Dreamscape, Vanden Plas, Mind's Eye, SceneS, Stramonio, Madswordなどのバンドに通じる音楽性が好きなリスナーに強力にプッシュしたいです。このアルバムは、Prog Metalファンのみならず、メロディアス・ハード路線のHR/HM系が好きな人達全般にアピールするんではなかろうか?と期待しております。2003年に聴いた中ではベスト10に入れたいですね。(購入盤Review)

PILGRIM WORLD推薦盤


Hubi Meisel - Kailash
Lion Music
(2006)

Dreamscape/SceneSのシンガー、Hubi Meiselにとって通産3枚目となるソロアルバム。前作同様、今回もコンセプト・ストーリーの形態をとっております。題材は、チベットやヒマラヤ山脈地域・Kailash (カイラッシュ)
を舞台にした主人公とスノー・ライオンの視点で展開されていく冒険ストーリーものとなっております。前回は海をテーマにしていましたが、今回は山脈を中心に展開していると言っていいでしょう。かなりストーリーのバック・グラウンドやチベット仏教などの歴史や文化背景が緻密に組み合わさっているので、興味がある方はHubi Meiselサイトのinfoをご覧下さい。最初は、何の前知識もなく音楽のみを中心に聴いていたのですが、ストーリーや歌詞の世界観に馴染んでからの方がより楽しむことができました。正直言って、最初のインパクトは余り強いものではありませんでした。しかし、ストーリーと音楽を連動させながら聴くべき作品だということに気付いてからは、色んな視点で楽しむべき作品という結論に達しました。自分の中では、このKailashはインディアナ・ジョーンズ的なアドベンチャーものという認識の仕方をしております。

それから音楽やサウンドについてですが、基本的には前作EmOceanにとても近い内容となっています。プロダクションや音質にはかなり気を配っており、全体的にクリアーで音の粒子を細かく聴ける仕上がりです。基本的には参加しているミュージシャンも、前作とほぼ同じラインナップとなっています。Mind's Eyeからは、Daniel FloresJohan Niemannのリズム隊。Sun CagedからMarcel Coenenがギターを担当。そして、キーボード全般は、Lalu/ShadraneVivien Laluが務めています。今回の作品で初めて登場しているのが、Mago de OzのギターリストであるJorge Salanなる人物で彼も流麗なギター奏法を得意としているという印象です。ボーナストラック2曲には、オランダ出身のハード・フュージョン系ギターリストのJoop Woltersが流石のプレーを披露しています。今回の作品で顕著なのはVivien Laluによるキーボードワークスで、ソロも前作以上に多くフューチャーされていて、非常に楽しませてもらいました。参加しているメンバー全員、それぞれの役割を充分こなしており、ミュージシャンシップのクオリティが高いのは言うまでもございません。

Hubi Meiselのソロ名義の作品とは言え、ギターやキーボードなどによるソロがたくさん登場して楽しませてくれます。Prog MetalやSymphonic Metalの中間に位置するかのようなバンドやグループによる演奏形態なので、そういった方面が好きなリスナーには充分アピールするものがあるでしょう。Hubiの歌声は伸び伸びとした柔和な歌い方を中心にしており、Dreamscape時代のようなアグレッシヴなボーカルワークスは皆無といった具合になっています。より自分の表現力に忠実なボーカルメロディーなので、聴きやすいですね。壮大なテーマとアイデアを元に、色んなミュージシャンとコラボレートしながらの作品作りは難しかったであろうと想像しています。

結果的には、今回もEmOceanと同様に素晴らしい出来になっていると思います。特にこの作品は、前半が非常にパワフルで勢いを重視したMelodicなProg Metal/Symphonic Metalスタイルの楽曲が並んでいます。中盤から後半にかけては、ドリーミー且つストーリーラインを重視した起伏のあるものが展開されている・・・といった具合の特徴があります。ひょっとしたら、この作品は最初とっつきにくいかもしれません。ですが、何回か聞き込んでいくと面白い発見があると思います。演奏面・楽曲面共に、いろんなアイデアが詰まっていて、自分は楽しむことができました。(プロモ盤Review)

disocography:

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