MIND'S EYE
country: Sweden
style/genre: Prog Metal, Prog Rock, Melodic Hard, Symphonic Hard, Technical Rock, Scandinavian AOR, etc.
website: http://www.danielflores.net/
related bands/artists: Tears of Anger, Xsavior, Lalu, Joop Wotlers, Hubi Meisel, Therion, Faro, Benny Jansson, etc.
similar bands/artists: Sieges Even, Enchant, Event, A.C.T, Rush, Novak, etc.
artist Info: スウェーデンを代表する、実力技巧派Prog Metal集団。メロディーを大切にした楽曲を武器にしている。



Mind's Eye - Into The Unknown
Sensory Records
(1998)

北欧を代表する実力派Prog Metalグループによる記念すべきファースト・フルレングス作品。うちのサイトでは、Mind's Eyeを応援する姿勢を初期の段階から継続しておりますが、非常に様々な魅力を提供してくれています。このグループの道のりは、決して平坦なものではなかった訳ですが、アルバムをリリースする毎に成長を遂げてきたいう印象であります。スウェーデンを拠点に活動しているMind's Eyeの母体は、Afterglowと呼ばれていた頃に遡ります。Daniel Flores (drums/keyboards)、Johan Niemann (bass)、Fredrik Grunberger (guitars)の3人を中心とした強力なインスト陣の演奏力と作曲能力を武器に活動を開始。Afterglow時代からコンプレックスな北欧系Prog Metalを展開しておりましたが、この頃はまだギターオリエンテッドな指向が中心でした。しかしながら、名前の権利関係や本来のシンガーであったGerman Pascualの交代を機にバンドもMind's Eyeと改名し、次第に知的なアレンジと凝った楽曲構成を含む音楽性にステップアップしていきます。今回レヴューで紹介するInto The Unknownアルバムが完成するまでにシンガー候補として元Heads Or TalesのシンガーやCandlemassBrazon Abottなどの活動で知られているThomas Vikstromが挙がっていたようですが、最終的にはJohan Perssonがメンバーとして決定し歌を務めることになりました。この若きMind's Eyeの才能に注目をしたのが、Prog MetalレーベルとしてSensory Recordsを立ち上げたばかりのKen Golden氏で、1stアルバムは紆余曲折の末、ついにワールドワイドでリリースされることになったのです。

90年代の初期にバンドを結成後、いろいろなスタイルを吸収しつつ自分たちの腕を磨いてきたMind's Eyeだけに既に新人の域を超えたアレンジと音楽制作能力に舌を巻きました。Into The Unknownでは、テクニカル指向のProg Metal楽曲が目立つ中、決してスピードや分かり易いアップテンポなものばかりに頼っておりません。インテリジェント性の高い緻密な楽曲や緩急に気を配ったものやソフトでアコースティックな路線のものも含まれています。まだこの時期は、Keyboardをたくさん導入した音作りからは、やや距離をとっているせいか、曲によっては現代の彼等の音楽的レベルから比較すると若干何かが足りないような印象を受けるかもしれません。まあ聴き続けていくと、気にならなくなります。この1stアルバムと2ndアルバムでは、非常にProg Metal然としたタイプのものが目立ちますので、演奏が活躍するパートやテクニカルな側面を押し出したタイプのものは聴いていて大変痛快です。歌メロに関しては、3曲目の"Almost There"が一番光っていると思いましたが、この当時はコンプレックス且つソフィスティケイテッドな演奏指向の方に重きを置いていたのと、変拍子やテンポチェンジなどの難しいアレンジの中で歌うということもあって、一般のリスナーにとっては楽曲の良さを見出すのに苦労をしてしまうかもしれません。

全般的には、ハイトーンぎみの歌のパフォーマンスと難解且つパワフルなProg Metal演奏が堪能できる筈です。ギターオリエンテッド且つ、Daniel達を中心にした3人の研ぎ澄まされたインタープレーと変則的なリズムプレーは大変強烈だと自分は思います。スピーディーで疾走するタイプを指向するリスナーには、テンポ面ではもっと速いのを期待しすぎるとアレ?と違和感を持つみたいです。ずっと4分の4拍子のビートと速度をキープするのではなく、常にテンポテェンジや緩急などに執着する姿勢を持っているところが、このバンドの持つ強みですね。途中でアップテンポからスピーディーになるものを織り込ませ瞬発力を見せるところなどは、リズムセクションとして強靭な体力とタイム感がないと出来ない訳ですから楽器を演奏するProg Metal指向のリスナーにとっては、拍子を分析したりポリリズムなども繰り出している彼等のアレンジに耳を傾けていくと大変面白いと感じるはずです。ただその一方で、そういった方面に興味が殆ど無いリスナーにとっては、ややこしい取っ付き難いと感じてしまうのは仕方がないと思います。

ここまで読んでいくと、随分最近のMind's Eyeのキャッチーで分かり易い方向性が違っていて、なんか難しそうというかメロディーのカケラも無いのか?と不安になるかもしれませんが大丈夫です。同じ北欧のTrivial ActやドイツのSieges Even辺りが楽しめる人には、このアルバムの魅力は見出せるのではないかと思います。確かに歌メロは、現在の正式メンバーであるAndreas Novakの安定した実力と比べると、Johan Perssonの持っている質感は平坦と聞こえるかもしれません。でも充分、この作品ではメロディアスな部分も当然大事にしていますし、上であげたように「Almost There」辺りや1曲目の「The Other Side of Me」辺りは刹那さや哀愁度もありますので期待して欲しいかなーとは思います。

僕個人は、このグループの音楽性や演奏力に惚れ込んでいるので、ついつい評価が自然と高くなってしまうのですが、聞き手によってはMind's Eyeの1stアルバムは若干とっつきにくいかもしれません。ですが、彼等の場合はデビュー当初からしっかりとしたメロディーセンスは保有していますので、楽しんでいただけるポテンシャルはありますのでご安心ください。Prog Metalからハードフュージョンまでが詰め込まれた意欲作でありましょう。面白いことに冒頭のイントロダクションでは、Keyboardのアレンジメントやビートを効かせた打ち込み風のサウンドも短い時間含まれており、この辺りのアレンジや影響はWingerTOTOからも来ているところを匂わせています。コンプレックスな路線のProg Metalが好きなら一度はお試しあれ。当然、この段階で自分たちのオリジナリティーやアイデンティティーを形成しており、その辺も大変ポイントが高いと感じました。(購入盤Review)

PILGRIM WORLD推薦盤


Mind's Eye - Waiting for the Tide
Round Records/Lion Music
(2000/2006)

北欧を代表するProg Metal/Rockグループ、Mind's Eyeにとって今後の方向性や発展を示唆する金字塔となった2ndアルバムです。オリジナル盤は、Round Recordsより自主制作の形で2000年にリリースされたものですが、つい最近までほぼ廃盤の状態となっておりました。しかし、今回Lion Musicより久しぶりに再発されることを記念して、うちのサイトでもレヴューすることにいたしました。

この作品Waiting for the Tideは、彼らのキャリアの中でもさらに別格という認識を勝手にさせてもらっております。もちろん、彼らの1stアルバムの音源には触れていたのですが、この2ndアルバムを友人から紹介してもらい、その音源を聴いて個人的にその完成度にぶっ飛んでしまいました。くまなく探せばMind's Eyeよりも技巧的なバンドやミュージシャン、もしくはプロダクションや楽曲作りが上手い人たちは存在することでしょう。しかし、彼らからは凄く光る才能というかずば抜けた感性を、不思議なほど敏感に感じることができると言うのは、大変オーバーでありましょうか?。もっと正確に言えば演奏やサウンド・プロダクション以上に、なんていうか他の多くのグループから感じることのできない衝撃と感動を受けたというのが、自分の本音であります。

アルバム全体に貫かれているサウンドや演奏形態は、おおまかに言えば、メロディアス且つテクニカル指向のProg Metal系路線と叙情美豊かなNeo-Prog的なサウンドが高次元でドッキングした内容となっております。このグループの強みは、決してDream TheaterMarillion/Pendragon的スタイルのフォロワーでもなければ、亜流のどちらでも無いオリジナリティを持っていると言えるでしょう。序盤のS.E.〜オープニングのFrozen Tearsで、心を鷲掴みにされ、音楽と共にそのままMattias Noren(マティアス・ノリエン)によって表現されているジャケットや、アートワークに描かれている世界に誘い込まれる魅力に満ち溢れているのであります。いや〜、このアルバムを聴くたびに思いますが、もうこの1曲目のFrozen Tears、一発目で自分はノックアウト状態・・至福の瞬間を深く深く味わうことができます。歌詞の世界観は「社会的な」テーマを扱っていますが、非常に広がりと希望を抱かせるサウンドで、なんと完成度の高い内容を提示していることよと、感激するに至りました。

嬉しいことに、この至福の時間は「Frozen Tears」で止まることなく、タイトルにあるように感動の波が次々と押し寄せてくるかのようなアルバムの構成になっていることが心憎い!!。2曲目のCalling (Father to Son)では、複雑な親子関係をテーマにしたかのような楽曲で、いろんな情感が入り乱れる様が描かれているようであります。3曲目のA Ponder of Thoughtsは、それぞれの個人が持つ奇妙な思考の変化を、テクニカルな変拍子とリズムの交錯によって表現しており、Mind's Eyeファンの間でも人気のある曲です。4曲目と5曲目のSpirits In The Room Pt1Pt2では、Prog Metalグループとしての特性をいかしたコンプレックス且つ緻密なアンサンブルと、Fredrik Grunbergerによるテクニカルなソロワークス、それからJohan NiemannDaniel Floresの怒涛のリズムワークが冴え渡っており、秀逸の構成と言えるやもしれません。中盤以降も1stアルバムで表現したものをさらにプログレスさせたかのような、テクニカルな演奏や、緻密なアンサンブルワークが炸裂しています。

面白いことに後半以降では、後のMind's Eyeに見られるような楽曲指向且つメロディアスなアプローチへの萌芽を見て取ることができると思います。勿論後半のみという訳ではありませんが、リードボーカリストであるAndreas Novakの表現力も、他の演奏陣に埋もれることなく、バランス感覚も大切にしているところも大きなポイントでありましょう。意外と最後の辺りでみられる楽曲などは、前半から中盤までのアプローチと比べるととてもシンプル且つストレートなものも目立っており、いろんな形態のサウンドやスタイルにも対応できる柔軟性を強く感じ取れるところが、このグループの懐の深さと言えるでしょう。このアルバムを聴いた総括としては、サウンド・プロダクションに関しては、EnchantPendragon辺りに代表される良質なNeo-Prog系などに見られる煌びやかで粒子の細やかな美しいサウンド作りを形成する一方で、演奏面に関して言えばSieges EvenEventなどにも通じるテクニカルなProg Metal演奏、そしてTJ Helmerich/Brett Garsedなどを想起させるHard Fusion的なグループにも通じる濃密なアンサンブルを、ふんだんに押し出していることがWaiting for the Tideの大きな魅力と思います。それでいて、楽曲や秀逸なメロディー作りにも気を配っています。

Lion Musicからリリースされる再発盤は、2曲ほどボーナストラックが収録されていますが、このボーナストラックの技巧展開はある意味、本編のWaiting for the Tideよりも凄まじい。7for4Liquid Tension Experimentに通じるかのような濃密度といったら、オーバーでしょうか?。ただし、これらの2曲は明らかに他のアルバムにも入らないというか浮いた存在でありますが、ファンとしてはこれらのテクニカル全快のMind's Eyeの楽曲がボーナストラックとして聴けるのは嬉しい限りです(^^)。いや〜、このアルバムはいつ聴いても終始楽しむことができます。自分にとっては、「孤島にもっていきたい5枚のCDを選べ」と言われたら、確実にピックアップしたいアルバムがまさにこれです。このアルバム以降、Mind's Eyeは次第にテクニカルな演奏面よりも、作品全体としてのクオリティーを高めるアプローチを重視していくことになります。個人的には、またWaiting for The Tideのような濃密な演奏を楽しみつつグレードの高いサウンドなどを両立した作品作りを期待しています。このアルバムに出会えて、本当に良かったという一枚です。(購入盤Review)

PILGRIM WORLD推薦盤


Mind's Eye - A Work of Art
Rising Sun/Lion Music
(2002)

スウェーデン出身のメロディック系Prog Metalバンドによる、通産3枚目のアルバム。今回の作品では、どちらかというとEnchantArena, Rush, Marillionなどに通じるメロディアスで、Neo-Progressive寄りのハードなサウンドになっています。ところどころで繰り出すテクニカルなアンサンブルが非常に素晴らしい出来上がりになっています。メロディの質は大変極上です。独特のメロディアスでキャッチーなサウンドを保持しながら、テクニカルなハード・フュージョンにも通じる爽快感とテンションの高さを伴っています。高品質な作品に仕上げた彼らの働きは、見事というしかありません。

とにかく、このアルバムは全編に渡ってテイスティーで瑞々しいです。いやー、若さみなぎっています。ちなみにベーシストのJohan Niemannは、むしろTherionで活躍していることで知られているので、暗黒系のサウンドが好きな人には「Therionのヨハン・ニーマンが在籍しているのか?」と、そういう視点で驚かれる方もいるかもしれません。ニーマンの技巧的にも大変優れているベースのプレーをはじめ、ギターリスト、ドラマー、シンガーも含めて、みんな実力派揃いとなっております。Fredrik Grunbergerのギター奏法が、いつものように大変素晴らしく、ギターキッズやバンドマンはチェックでしょう。Steve VaiAllan Holdsworth的なイディオムを吸収しています。Daniel Floresのドラミングやキーボードプレーも素晴らしいです。

サウンド・プロダクションは、大変良好で、音質にも拘りを感じさせます。このあたりは、バンドの中心人物でもあるDaniel Floresの手腕によるものが大きいでしょう。RushやEnchant、そしてA.C.T.などが好きな人にも、楽しめんでいただけるのではなかろうかと思います。驚きだったのは、以前までのアルバムで見せていた複雑で凄まじい、彼ら得意のテクニカルなアンサンブルの度合いが、かなり減退していることでした。「よい楽曲を作りたい」という気持ちが先行したのだと思われます。

グイグイと、彼らの楽曲に引き込まれていくかのようです。毎回彼らのアルバムを聴くたびに、彼らの音楽性の高さに圧倒されます。次回のニューアルバムにも、おおいに期待をかけております。ちなみに、私が購入したのは、限定盤Double CD仕様になっておりまして本編の他に、前作Waiting for the Tideがついていてお得盤です。(購入盤Review)

PILGRIM WORLD推薦盤
※新譜「Walking on H2O」の日本盤とLion Musicの輸入盤「A Work of Art」が
Mellow Music様より絶賛発売中です。


Mind's Eye - Walking on H2O
Mellow Music/Lion Music
(2006)

北欧Prog Metal/Rockバンドの雄である、Mind's Eyeにとって通産4作目となるニューアルバムです。バンド結成以来、コンスタントに活動を続けております。ここ数年は、本体のMind's Eyeと並行して、それぞれのメンバーは様々なプロジェクトやグループワークに関わっておりまして、どれも好評を博しています。彼らが携わっているものは、どれも珠玉の作品に仕上がっております。北欧だけにとどまらず、Prog RockやMelodic Hard Rock/Heavy Metalミュージックシーンにおいて、多大な貢献を果たしております。前作でメロディアス指向が強まっており、「今回の作品はどんな内容に仕上がっているのか?」というのが、個人的には注目しているところでございました。

さて、ニューアルバムWalking on H2Oでありますが、見事な仕上がりになっております。前作のアプローチをさらに発展させており、スケール感がググーっとアップしております。レコーディング機材やスタジオワークも前回よりも大きく前進しているようにも見受けられます。特に今回の作品で顕著なのは、彼らにとって初のコンセプトアルバムとなっていることが伺えます。人類の歴史や進化論などに波及するだけでなく、かなり幅広く人類が歩んできた道などをテーマに取り上げており、歌詞と音楽が非常に密接に連動している作品になっています。

前作まで流麗なギターワークを繰り広げていたFredrik Grunbergerが遂に脱退し、トリオのような形態にならざるを得なくなりました。しかし、それぞれ3人の持ち味が遺憾なく発揮されています。特にドラマーとしてだけでなく音楽面・制作面の両方で大きく貢献しているDaniel Floresが素晴らしい。またベーシストのJohan Niemannは今回の作品では全編に渡ってギターを担当しています。ギターは、以前と比べるとかなりレイヤーを重ねた感じで、スケール感はアップしているように思います。Fredrikとはスタイルはやや異なるものの、ここぞというところでは煽情性の高いギターソロやテクニカルなパッセージも出ており、Johanの演奏力はベース同様非常にナイスでございます。 前作同様に、素晴らしい歌唱力を提供しているAndreas Novakもソロ作品を経て、彼の歌声と実力の程に感服する一方です。またDaniel Floresは、これまでと同様にWalking on H2Oにおいて非常にマルチな才能を発揮しており、本来のドラミングワークのみならず、キーボード・ワークスやストリングスのセクション〜アレンジに至るまで完成度の高いものを提供しています。特に歌詞作りは、以前と比べても内容が大変素晴らしくコンセプト・テーマ・メッセージにおいてディープなものを発揮しているところを私は高く評価したいです。

個人的には2ndのWaiting for the Tideの発展系を期待したくなりましたが、彼らは次のステップを見つめていたようです。ソングライティングに重きをおき、フックのあるメロディアスで親しみのある音楽を作ることにフォーカスしております。1曲1曲がとにかく丁寧に作られており、前作と同様かそれ以上に楽曲に魅力があります。今回の作品では、プロダクションやエンジニアリング面でも新しい分野に挑戦という感じがします。Daniel Flores氏によると、この作品では物語と音楽を連動させたシネマ的アプローチを施しているのだと仰っていました。以前よりもスコア・ミュージックやストリングス・アレンジなどを意識して工夫を凝らしており、非常にエピックでスケールの大きいサウンド作りが如実に伺えます。

イントロダクションの「Earth: The Movie」で登場する「女性教師が、進化論について子供達にこれから講義をする場面」のモノローグを始めとして、人間の声や語りなどがS.E.として非常に上手く導入されているところが、個人的にはとても興味深かったです。ジョン・F・ケネディ大統領によるアポロ計画の演説スピーチや、1曲目の「A Rabbit In The Hat」では、NASAの月面打ち上げロケット発射のカウントダウンなどが、音楽と全く違和感なく同居しているところなんて、個人的には心底感動しました。そして1969年に月面に降り立った宇宙飛行士のMr. Buzz Aldring氏へのインタヴューの一部などが上手い具合に挿入されています。ラスト曲の「Poseidon Says」では天気予報を見ていた癌を患った男が、モノローグを少し語る部分など、S.E.が音楽を盛り上げる上で欠かせないほどのいい演出をところどころでしていると思いました。それぞれのトラックにおいて、テーマやメッセージがきっちりと分けられており、これまで我々が学んだ内容や経験したことをさらに熟考したり、考え直したりする機会も与えてくれるなど深く味わえるのではないでしょうか。

アルバム全体において各楽曲の流れも大変スムーズでありまして、どの楽曲もメロディーや音楽構成そして歌詞の一つ一つなどがとても丁寧に作りこまれていて、細部に渡って楽しむことができます。以前多く見られていたテクニカルなProg Metal指向の演奏形態は、必要な部分以外ではかなり抑えておりますが、見事なインストが炸裂する部分や、「Flight Of The An.Unna.Ki」のように変拍子を絡めたコンプレックスなパーツも要所で登場するところが嬉しいです。テクニカルな演奏形態という側面以上に、彼らは前作以上に魅力満載のボーカルメロディーや、親しみやすい楽曲構成作りに気を配っております。とてもシリアスでディープなものから、ある意味コミカルでファニーな要素もあって、Rush, EnchantA.C.T.そしてElectric Light Orchestra辺りのファン層にもアピール度大なんじゃないかと思っております。どの楽曲も非常に磨き上げられたものになっていまして、歌詞と音楽が極めて密接に連動した完成度の高さは、彼らの作品の中でも最高傑作の部類に入るのではないでしょうか。

日本盤のボーナスでPrinceSign of the Timesもありますが、彼らならではの色合いが出ていてこれも知らずに聴いたらMind's Eyeのオリジナルかと思うほど。キャッチーで入りやすいと思います。個人的にはもっと初期のころのようなテクニカルものを期待しておりました。でも、現在の彼らがやりたい方向性は楽曲重視指向なんだなーということを改めて実感しました。ドラマティックでシンフォニック性を絡めた現代に生きるHard Progが、これなんだという証しかもしれません。とにかく聞き込んで、エンジョイしていただきたい作品です。Prog Metalファンのみならず、一般のメロディアス・ロック系統を聴く人々に至る様々なリスナー層に楽しんでいただける、味わい深いアルバムです。Mind's Eyeのファンや、これまでXsavioRTears of AngerNovakなどを楽しんだ人にも楽しめるポイントが高いと思います。私個人は、とても気に入っております。再び、素敵な作品を作ってくれた彼らにひたすら、感謝です。(プロモ盤Review)

PILGRIM WORLD推薦盤

※新譜「Walking on H2O」の日本盤とLion Musicの輸入盤「A Work of Art」が
Mellow Music様より絶賛発売中です。



Mind's Eye - A Gentleman's Hurricane
Lion Music
(2007)

2007年は、Prog Metal系やTechnical Metal系の話題作が目白押しとなっております。その中でも話題作のリリースの中でも注目すべき筆頭株である・・と個人的には思っているMind's Eyeの最新作「A Gentleman's Hurricane」を僕も入手しました。今回はサスペンス系のコンセプト作品となっている様子が伺えます。作品の流れとしては多分ダビンチ・コードやスティーブンキング辺りからインスパイアを受けたヘヴィー重厚な内容となっています。3人体制となって2枚目となるこの作品ですが、演奏力だけでなくプロダクションの作りも大変ゴージャスとなっています。彼等の作品の中でも1stや2ndの頃以上にハード&へヴィーなProg Metalが展開されていますが、3rdや4thで培った極上のメロディアスセンスと融合したある意味、最高傑作をここで発表したという印象です。嬉しいことにシンセリードのパートが増えていますし、テンションのある演奏が活躍する部分もたくさんありますし、メロディーとインストパートの両方楽しめる美味しさを味わっていただけるのではないでしょうか。メロディアスな北欧HR/HMサウンドとキャッチーなProg Metalの両方が楽しめると思いますし、案外Novak辺りから興味を持ったメロディック・ハード系やTOTOのようなハードめのAOR路線の音楽が好きな人にもアピールする可能性があります。幅広い層を取り込む可能性が前作同様あるのではなかろうか?と考えています。

演奏力は当然彼等の場合は高い質をキープしていますが、ストーリーの流れにあわせ非常にスリリングだと思います。それにしても、今回は今まで以上に気合の入りようが凄まじいです。仕上がりや全体の完成度は並大抵でなく、満足度が高いですよ。話の内容自体も濃いというか、暗殺者の視点から話が展開されているというところでQueensrycheOperation:Mindcrime、それからSuperiorUltima Ratioを想起させるかもしれません。でもどちらかというと視点というか着眼点やアングルは別物と僕は見ています。イルミナティなどの秘密結社のような集団にも焦点を合わせていますし、歴史の出来事において解明ができていない事件からもインスパイアを受けたような感じで、1曲1曲を紐解いていくと結構面白いのではないでしょうか。

暗殺者の主人公とカソリックの聖職者との会話から話がスタートし、どんどんとサスペンス度が高まっていく効果があるようです。こういう切り口で話を膨らませきたかと唸っております。最初から最後までテンションの高さを持続させながら、リスナーの興味を削がれないようにキャッチーな作りです。Andreas Novakの歌も大変充実しており、歌メロもこれまで以上に説得力が増しているかのようです。音楽面を担当しているDaniel FloresJohan Niemannのケミストリーは以前同様で強固なものになっています。Johanに関しては本職のベースも素晴らしいですが、正式メンバー・ギターリストであったFredrik Grunbergerと同等かそれ以上のギターテクニックを駆使した素晴らしいギター技も見せているだけでなく、あのTherionと活動を両立させていることに感謝したいと思います。再びDanielにスポットを当てますが、この人の音楽への情熱の傾け方と作品への意気込みは本当に凄まじいという他無しです。ドラムだけでなくストリングアレンジ、キーボードアレンジ、楽曲作り、プロデュースやエンジニアリングなどに至るまで、全てを高い次元でコントロールしており圧巻です。

今までのMind's Eyeのサウンドがさらにパワーアップされ、シネマティックな劇的な要素が楽しめるのではないでしょうか。しばらくこのアルバム「A Gentleman's Hucciane」の世界観ににドップリと嵌ってしまいます。この作品は日本盤と輸入盤の入手が可能です。当然どちらのエディションもCD, DVD, コミックのセットとなっており、全体で世界観を楽しんで欲しいというのがグループからのメッセージです。値段的にもお得なので、ぜひお買い求めてください。興味を持った方はぜひMind's EyeのサイトやMySpaceでも音源やビデオクリップや映像などもダウンロードして楽しんでください。超!お薦めのグループです。(プロモ盤Review)
http://www.roundrec.com/ (MIND'S EYEの公式サイト) 
http://www.myspace.com/eyeofthemind (Myspaceサイト)


PILGRIM WORLD推薦盤


Mind's Eye - 1994: Afterglow
Lion Music
(2008)

ここ数年はProg Metal系のファン層だけでなく、メロディアスなハードロックを好むリスナー層をも虜にするほどの快進撃を続けている北欧のMind's Eye。Prog Metal専門レーベルのSensoryと契約をする以前は、Afterglowという名前で暫く活動をしておりました。今回このレヴューで紹介する「1994: Afterglow」は、Sensoryからリリースされた1stアルバム「Into The Unknown」より以前のものなので楽曲的には全く被るナンバーはない筈です。気になる内容としては、過去に収録したデモ作品の4曲を復刻するだけに止まっていません。さらにボーナストラックとして新たに4曲追加して装いも新たにリリースされたものになっています。ちょっとMind's Eye以降のディスコグラフィーも包括すると、厳密な意味でキャリアの第一歩となった1stアルバムと捉えることもできるでしょう。

スウェーデン方面の音楽関係者やメディア向けでしか出回っていなかったように記憶しています。特別なルートを通らないと入手が非常に困難だっただけに、Mind's Eyeのファンにとって幻のAfterglow時代のサウンドをチェックできるということで、嬉しいニュースではないでしょうか。メンバーの編成ですが、インスト陣はDaniel Flores (drums)、Johan Niemann (bass)、Fredrik Grunberger (guitar)となっているのは、Mind's Eyeの1stアルバムと全く一緒です。初期は様々なシンガーが候補に上がったり、メンバーが流動的だったようですが、この作品で歌っているオリジナルのシンガーはGerman Pascualという人物が担当しています。歌の感触やアプローチの仕方は、若干アメリカ出身のAztec JadeLeon Ozugに近い感触を持っていると思いました。あとMind's Eyeと違う大きな点は、後に大々的に導入されているドラマティックなキーボードやシンセサウンド、打ち込みのような音が顔を出すことは殆どありません(ただし、例外として"Ending A Story"はバックで薄っすらとシンセ・パッド系の音が上手く活用されている程度です)。直球勝負の硬派でテクニカルでギターオリエンテッドなProg Metalが展開されています。凝りまくったリズムパターンや切り返しなどを得意としている部分は、まさにMind's Eyeの1stアルバムや2ndアルバムにも繋がっていくかのようなダイヤモンドの原石みたいな存在として捉えることができます。

当然北欧のTrivial ActManitou、アメリカのFates Warningの路線に通じるコンプレックスで緻密な変拍子の絡め具合や繰り出すパターンがProg Metal系リスナーのツボを刺激してくれることでしょう。特に10分近くに及ぶロング・フォームのA Thousand Nights After The Sundownに至っては、90年代初頭のSieges Even作品で聴かれるような構築美に肉薄しそうな感じがしました。そこかしこで耳に出来る完成度の高い緻密に組み立てた楽曲構成と演奏力に感銘を受けます。楽曲によっては、ストレートなHR/HM路線も顔を出しています。どっしりとしたリズムや歌メロなどを中心にグイグイと押し出していく場面では、往年のCrimson GloryDio辺りを彷彿させるところもあって意外な感じが致しました。元々はデモ作品として制作されたものですが、発売されているCDはデジタル・リマスター化したものになっていますので音質的には上々と言えます。最近リリースされたメロディアス・ハードな路線が入り口となってMind's Eyeを好んでいるリスナーにとっては本来のProg Metal的要素が色濃いので、この辺りが苦手に感じる人もいると思います。忍耐強く耳を傾けていくと演奏面で新しい発見ができると思うのでぜひ諦めずに頑張ってみて下さい。当時メンバーの平均年齢はかなり若かったのですが、複雑に組み立てられたコンプレックス路線の楽曲をスイスイと演奏している力量には驚かされますね。(プロモ盤Review)

PILGRIM WORLD推薦盤

discography:

related works:


Back to [M] Section
Back to Review Index

Go to Top Page