MISCELLANE
country: Slovakia
style/genre: Prog Metal, Melodic Neo-Prog
website: http://www.distribee.com/albums/m/miscellane/miscellane.htm
related bands/artists:
similar bands/artists: Sonic Debris, Divided Multitude, Wolverine
artist info: 1993年に結成された、Slovakia出身の個性派プログレッシヴ・ロックバンド



Miscellane - Painted Palm
Bee & Bee Records
(2002)

様々な国において、「良質でクオリティの高いものを作って行こう」という意識を持ったProg Metal系バンドが、数多く存在しています。そして所謂我々が辺境の地域、知られざる国と思っている場所から、意外なバンドが登場しているのも事実である。このレヴューで紹介するMiscellaneというバンドは、なんとスロバキアという国のバンドだ。旅行や地理、世界史が好きな人でないと余りお目にかからない名前の国のスロバキアである。元々は、チェコ・スロバキアに属していた国だったらしい。偉大なクラシックの作曲家スメタナを輩出した国だが、プログレメタル系バンドとしてMiscellaneが登場したのも、何かこの国が持つ独特の要素があるのかもしれない。(註:東欧の国の中では西欧に面した国の一つがスロバキアです。周辺国としてハンガリー、オーストリア、ポーランドなどに囲まれている欧州の中心に位置した国になる)。

さて、僕がどうしてこのバンドに目を向けたかというと・・ProgArtのマティアス・ノリレン氏の手がけているアートの中でMiscellaneの絵がありまして、それが僕の目にとまったことが事の発端です。所謂「ジャケットアートに惹かれてしまった」というのが大きな理由だったのです。「どんな音楽なんだろうなー、ネオプログレ系かな?とか、一風変わったプログレメタル系かな?」と考えつづけた訳ですが、今回決心してこのアルバムを入手した訳であります。音楽的にはマティアス・ノーレン氏が手がけているジャケット関連のバンドに通じる欧州産プログレメタル〜プログレハード〜ネオプログレ系などに属するタイプの音楽と言えるでしょう。最初の印象は北欧のSonic DebrisDivided Multitudeに通じるような、どこかモダンでありながら、内面を見つめているかのような翳りを帯びたタイプのもの。ネオ・プログレやポンプロックを経由しているとは思いますが、若いバンドならではのハードさを少し強調したタイプのサウンドだが、全体的にはメタルさは大分押さえている感じもする。同じ東欧に属するハンガリーのバンドに近いところもあるが、彼らの場合はむしろスウェーデンやノルウェー辺りのバンドにも近い雰囲気を持っているところです。サウンド・プロダクションは、とてもしっかりしており、ミックスやマスタリング等は、アメリカのワシントン州で行われたと言う風にクレジットに書いてあるように、音の分離も結構良い。

リード・ボーカリストの歌いまわしが、ネオプログレ系よりの声質という感じで捉えることもできますが・・驚く事に豪州のポップ・ロックバンドINXSのマイケル・ハッチェンスに歌いまわしや、声質が大変似ていたのが面白かった。割合テンポチェンジを繰り出したり、変拍子がアルバムの中盤辺りから後半にかけて結構出てくるところが、とても聞いて楽しいし、途中でスリリングに切り込んでくるパートもある。終始畳み込んでいくタイプとは多少趣きは違うかもしれないが、演奏力はソリッドであります。要所では、パワフルな一面も見せておりますが、メランコリックなパートではプログレとゴシックロックの中間に位置するサウンドが出てくる。ギターリフを中心に不思議なキーボードサウンド&フレーズなども絡ませながらグイグイ引っ張るパートもあります。テンポチェンジが割と得意な場面も見せておりますので、確かなアンサンブル力を持っていると思う。

アルバムには5曲収録されているが、その曲はどれも大変長いものの、いろんな場面を用意してくれているので個人的には飽きる事はありませんでした。だが、このアルバムははっきり言って、少し気を長くして聞かないと、場面によっては聞き手に集中力を要するかもしれません。むしろ1回目、2回目と聞いていく度に新し い発見があると思う。分かりやすく言うと、まさに上で書いたようにINXSSonic DebrisDivided Multitude的要素を取り入れて、ハードなプログレッシヴ・ロックやネオプログレ風味に目覚めたらこういうタイプの音を作りそうなサウンドである(とても信じてもらえないような怪しいことを書いているけど、本当そんな感じなんですよ)。ギターのアプローチがハードロック・メタル寄りではあるが、全体的にはProg Metalに求められているヘヴィーさとは少し趣が違うので、重苦しいという印象はリスナーには与えていないと思う。

Miscellaneの音楽を聴いていると、Prog Metal ・ネオプログレ系タイプの音楽も思えば幅広く様々な国やエリアに伝播しているんだなーと実感。それと同時に熱心なリスナーやファン、ミュージシャン達によって支えらて発展&変化 しつづけている音楽なんだなーと改めて思ってしまいました。現在はオランダのレコード会社、BEE AND BEE RECORDSよりアルバムをリリースし活動を展開しているようです。彼らには地道に音楽を作りつづけて、独自の音楽を展開して欲しいものです。今後が楽しみなアクトの一つとして、マークしておきたいバンドになりました。(購入盤Review)

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