MASTERMIND
country: United States
style/genre: Prog Rock, Heavy Rock, Prog Metal, etc.
website: http://mastermindband.com/
related bands/artists: Jens Johansson, Lisa Bouchelle, Phil Antolino, etc.
similar bands/artists: EL&P, Triumvirat, Mahavishnu Orchestra, Cream, Rush, etc.
artist info: Berends兄弟を中心に1990年から活動を続けているベテランProg Rockグループ。現在は4人編成で心機一転。



Mastermind - Broken (single/EP)
Marquee Inc./ZNR Records
(2005)

アメリカは東海岸出身のベテランProg Rockグループが、5年ぶりにリリースする公式シングル・EP盤。Mastermindというと、90年代の初期に登場し、「EL&Pがギターオリエンテッドなトリオだったら、こんなサウンドだったかもしれない」というのを体現していると思います。彼らは、しばらくトリオ編成で活動を展開しておりました。Rich Berendsが使用するMIDIギターがトレードマークといってもよいかもしれません。特に初期から中期にかけての作品では、MIDIギターを巧みに導入したサウンドで、シンセサウンドやキーボード的な音を再現しておりました。かなり凝った展開を得意とした演奏形態が強力であります。着実にステップアップを重ね、現在ではベテランの領域に達しようとしているのではないでしょうか。90年後期にリリースされたExelcior!ではJens Johansson(keyboards/synth)が参加。また前作ではLisa Bouchelleが参加といった具合に、バンドの編成にも変化が表れます。次第に音楽性も変化を遂げております。EL&P的なスタイルとは断定できない方向性も感じられ、幅も広がって来ております。ここ5年間で色々あったのでしょうか、シンガーはLisaではなくてTracy McShaneに交代しております。またベーシストも交代しており、Laura Johnsonなる女性ミュージシャンが加入。正式メンバーとして女性メンバーを2人も擁するというのは、なんとも意外なところであります。

このBrokenは、2006年にリリースされる新作InsominiaからのシングルBrokenを含む2曲が新曲となっています。またEP盤の性質も持っており、新しく再録した5曲とBrokenのエクステンディッドversionが入っており計8曲が収録されています。気になるシングルのBrokenは、初期のMastermindを期待してしまうと印象は全く違います。かなりシンプルでストレートなHeavy Rock曲となっております。確かMastermindというと、あまりRushから影響を受けていないようなことを聞いていたのですが、若干RushのTom Sawyerぽいサウンドが最初に登場します。ですが、Rush的な楽曲展開には決してならず、終始一貫して骨太でソリッドなハードロック曲になっているのが驚きでした。この曲に象徴されているように、彼らはEL&P的なビジーで懲りまくったサウンドからの脱却を図ろうとしているのか?とも思わせるところがありました。

続いて2曲目のBreak Me Downもパワフルでムーディーなロックソングとなっており、殆どキーボードに頼るということも無い曲になっていますね。個人的に気に入っているのは3曲目のWeak & Powerlessは、A Perfect Circleのカバーですが仕上がりはとっても素晴らしいです。4曲目のQueen of Shebaはライブで映えるようなエキサイティング且つスピーディーな楽曲でノリがとてもいいです。5曲目は有名なWilliam Tell Overtureで、ほのかにネオクラシカルな風味もありますが、もっと荒々しい勢いがあります。個人的には6曲目のA Million Miles Awayの仕上がりが大変素晴らしく、バンドの演奏とTracyによるエモーショナルなボーカルとの対比がよく出ていると思いました。7曲目はデルタ・ブルースに思いを馳せたI'm So Gladですが、どこかしらCreamを少し思わせるなーと思ったら、最後のところで名曲Sunshine of Your Loveのフレーズをさらっと入れるところは愛嬌でしょう。最後はBrokenの長めのバージョンでしめるということで、合計8曲です。

これはあくまでも予想にしか過ぎませんが、メンバー編成もチェンジし、ライブを重ねていくうちに次第にソリッドなHeavy Rock的指向に変わってきているのかもしれません。あくまでもBrokenを中心にしたEP盤なので、これだけで新作の方向性は断定できないけど、初期の頃のようなテクニカル懲りまくり路線とは違ったムードがプンプンしています。かなりライブも好評なようなので、また新しいMastermindの作品に期待をしていきましょう。(プロモ盤Review)


Mastermind - Insomnia
Lion Music
(2010)

アメリカのベテランProg Rockグループによる久しぶりの新作になります。メンバーはEP盤とほぼ同じラインナップとなっていますが、ゲストKeyboard Playerとして久しぶりにJens Johanssonが参加。流麗なシンセ・ソロなどで貢献しています。EP盤を以前聴いていたので大体の予想はできていましたが、現代的なヘヴィロック路線が強まっています。それからEPに入っていた曲もこちらのCDには収録されています。ミディアム・テンポでストレートな型の演奏が結構目立ちます。勿論、躍動感の漲った演奏も楽しめますが、基本的には2〜3曲ほどを除けば歌メロを大事にした楽曲指向といった内容になっています。

Insomniaの大半の曲は、オーガニックな部分に焦点をあてたロックナンバーを重視していると見て良いと思います。彼等の場合はプログレ的なサウンドを得意としているイメージが強いですが、今回の新作ではそういう傾向は極めて少ないと感じさせます。ヘヴィ指向のロックが目立つ、というのが現時点での率直な感想です。しかし、後半に登場する"Nightflier"という曲は、プログレ的な部分を期待しているリスナーにとっても凄いカッコイイという印象を持たれるのではないでしょうか。初期のMastermindを彷彿とさせるだけでなくEL&PCairo的な疾走感もあって素晴らしい。この曲におけるバンドのアンサンブルには目を見張るものがありますし、Bill BerendsJens Johanssonのソロも秀逸です。5曲目の辺りも、以前のMastermindが持っていた雰囲気を感じられると思います。Jens Johanssonがソロを取る楽曲やギターが前面に出てくる楽曲は充分楽しめると思います。

Mastermindのアルバムにプログレサウンドや以前のJazzy路線を求めている人には、この新作は物足りないと感じるかもしれませんね。その辺りを充分認識した上で、この作品に臨むべきではないかと思いました。とにかくプログレ的なサウンドを中心にしたMastermindのサウンドじゃないと楽しめない・・・・という拘りを持っている人には、全編を楽しむのは相当キツイと覚悟しておいたほうが良いでしょう。その一方で、現代的なヘヴィ・ロックサウンドやKing's X的な感じのものはかなり好きだというリスナーの方にとっては、Mastermindの新作は結構イケルような気がいたします。僕も最初は聴き始めはEP盤みたいだなあと少しギョっとはしたんですが、いやいや内容は充実していると思いました。旧態依然としたスタイルに留まらずに、新しいことに果敢に挑戦しているところはBerends兄弟らしいと自分は捉えることができました。アメリカン・ロッカーとしての魂や情熱みたいなものが如実に伝わってきる作品と言えるでしょう。(プロモ盤Review)

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