Mindflow - Just The Two of Us....Me And Them
Heaven Cross Records/Paradoxx
(2004)
ブラジルは、Sao Paoloを拠点に活動をしている若手にして、懐の深さを感じさせる驚異の5人組Prog Metalバンド。Heaven Cross Recordsと名乗るスペインのレーベルからのリリースということなのだが、アルバムを聴き終わった最初の感想は、「この連中、只者ではない！」・・・でありました。ブラジルというと、我々HR/HMリスナーにとってはAngraそしてSepulturaという非常にユニークな音楽性を持った連中をすぐ思い浮かべると思います。その他にも、非常に優秀且つ卓越した演奏技術を持ったミュージシャンやバンドを数多く輩出している国でもあります。意外なことに、実はProg Rock〜Prog Metal系の優秀なバンドもブラジルから登場しております。
さて、このMindflowは欧州方面、特にドイツ語圏〜南欧地域のProg Metalファン達を中心に次第に盛り上がっていたそうです。作品自体は、デビューアルバムにして、いきなりのコンセプトアルバムになっている。これまた完成度が非常に高くて、唸りましたね。スリリングな現代的サスペンスものになっているが、そういった物語を展開するに相応しいコンプレックスなアレンジメントと、技巧的にも大変優れた演奏が縦横無尽に展開されている。しかしながら、テクニカル指向の新人Prog Metalバンドが、陥りやすいテクニック腕自慢大会の罠に嵌ることなく、とても精巧で緻密な音楽作品に仕上がっているように感じる。サウンドのみならず、作品の内容をイメージしたブックレットやアートワークも中々良い出来上がりになっている。アルバムのエンジニアリングを担当している人物は、AngraやShamanなどを手がけていることから推察できるように、サウンドも非常にクリアで良好な仕上がりになっています。物語や登場する人物達、また情景や感情の起伏などに至るまでを、視聴覚でイメージしやすい工夫が施されている部分も高く評価したい。全編16曲、約1時間に渡るドラマを楽しんでいただきたい作品だ。うむ、久しぶりの大型新人ではないでしょうか。
確かにサウンドやスタイル的には、Dream Theater, Pain of Salvation, Leviathan, Megadethなどを彷彿させる場面も少なくないでしょう。テクニカルな演奏面と良い楽曲を作ろうというバランスを巧く取っていると感じさせるものがあります。面白いことにMarty Friedmanが居た頃のMegadethに通じるものを、個人的には強く感じたりもしました。コンセプト作品ではありますが、それぞれの楽曲を取り出して聴いても、バラエティに富んでおりますね。ハード＆ヘヴィーに攻め立てる一方で、近未来感覚をともなった独特の雰囲気をもった楽曲など、とてもフレッシュなアイディアを取り入れたりして面白いと感じました。リードボーカリストのDanilo Herbertは、時折Pain of SalvationのDaniel Gildenlowを彷彿させる歌声の持ち主という印象です。そして演奏陣のRodrigo Hidalgo (Guitars, Backing Vocals)、Ricardo Winandy (Bass)、Miguel Spada (Keyboards)、Rafael Pensado (Drums, Percussion, Backing Vocals)達のそれぞれの活躍が大変素晴らしいです。緩急あわせたスリリングな演奏形態、とくに楽器隊がアルバムを通して見せる強靭なアンサンブルの質は見事だなーと思わせるものが充分あります。とにかく、これからも面白いことをやってくれそうなユニークなProg Metalバンドでありましょう。(購入盤Review)