MIOSIS
country: Sweden
style/genre: Progressive Rock/Metal, New Tendencies, etc.
website: http://www.myspace.com/miosisband
related bands/artists:
similar bands/artists: Tool, Stone Temple Pilots, Dead Soul Tribe, Artificial Light Attraction, etc.
artist info: 浮遊感の漂うボーカルメロディーとメランコリックな音像を得意としているProgressive Rock/Metalグループ。



Miosis - Albedo Adaptation
Lion Music
(2009)

スウェーデンのGothenburgを拠点に音楽活動をしているProgressive Rock/Metalグループの1stアルバムです。Miosisの場合はバンドを2005年の夏に結成以来、頻繁に国内でライブ活動をこなしているようです。ここ数年は、アンダーグラウンドのシーンで割と注目されていたようで海外でも一部の雑誌やメディアで紹介されています。自分もMySpaceやEP盤のKonvolutなどで音源をチェックして気になっておりました。今回紹介するMiosisの新譜Albedo Adaptationは、普段から紹介しているスウェーデン出身のバンドとは毛並みが随分違うなあという印象を受けました。我々がイメージするサウンドというと、ついついメロディアスでテクニカル指向なProg Metalグループというところに落ち着くのかもしれません。ですが、彼らの場合は全然雰囲気は違っており、ダーク指向のメタルサウンドを展開しています。ヘヴィ一辺倒という訳でもなく、時にはクリーンな音使いや静謐な場面も登場します。このグループには専任のKeyboardistがいないのですが、ツインギターの一人がギターシンセを使っております。よく聴いていると、時にはアトモスフェリックな音が「フワー」と被さってきる場面も容易されています。ヘヴィ寄りのサウンド指向でありながらも、動と静を上手く使い分けるなど中々に唸ってしまいました。曲のアレンジも単調にならないように努力をしていますし、流石はスウェーデン出身のグループだなーと感心するに至りました。

Gothenburgという土地柄のためなのでしょうか。メロディック・デスメタル勢に代表されるようにダークでヘヴィな質感を持ったサウンドが評価を得やすいのかもしれません。彼らの目指している方向性は、大雑把に言うとProgressive Metalであります。どちらかと言うと、ヘヴィな音楽性はToolIsisといったグループからの影響を色濃く見せています。テキパキとしたテクニカルな演奏は全くと言っていいほどありません。テクニックを売りにしているバンドとは言いませんが、ドラマーを中心にリズム隊の緻密さが増していっていくところはハイライトの一つでしょう。高揚感を前面に押し出していくところは上手いなあと思いました。演奏陣によるソロは多くは登場しませんが、時には印象的なフレーズやパッセージが飛び出してくるときもあります。ベーシストが低い音域から高い音域に指を滑らせて、唸るようなベース音を入れたりという奏法やトリックを使ったりとハっとさせられます。よく耳を澄ますと、要所でそれぞれが頑張っているところを散見できることでしょう。

それぞれの曲は、6分台や7分台のものが多く、最長のものだと11分に渡る楽曲を含む7曲で構成されています。根幹となっているアンサンブルや歌メロは大変しっかりしているので安心できます。リードボーカリストは、こういうタイプの音楽の中では朗々と分かりやすく丁寧に歌っています。変な歌い方をする人ではないですし、性質もクリーンで温かみすら感じさせます。聴きながら思ったのは、長い曲でも冗長に感じさせないのは、歌い手の力量と北欧ならではの透明感のあるパフォーマンスに由来するのでしょう。ただし、この手の音楽に慣れていないリスナー、もしくは苦手と感じている人には、ウネウネした拍子が取っ付き難いと感じるかもしれません。リズム隊によるウネウネしたビートの刻み具体が、私なんかは心地良かったりするのですが、まあそこは聴き手によって好みはこの辺りから分かれることでしょう。リズム・パターン自体は工夫を施しており、コンプレックスで変則的なビートが効果的に使用されていてユニークだと思います。コンプレックスといっても機械的なビートの刻み方というよりは、もっとオーガニックで自然体を心がけたような感じが致します。

楽曲の世界観は、主にアンバランスな人間の内面を描いているように感じました。不安・焦燥感といったものを歌やメロディーに乗せて上手い具合に表現しています。彼らの強みは、なんといってもメランコリックなメロディーや陰鬱としたムードを醸しだすところにあります。こういた雰囲気作りやサウンド自体に含まれている質感は、ある意味Dead Soul TribeArtificial Light Attraction、オルタナ系のヘヴィロックバンドのStone Temple Pilotsの作品に通じるモダンな世界観があります。この辺りは、個人的には楽しめるポイントとなっています。出てくる音は、基本的に非常に骨太で大変ガッシリしているだけでなくサウンド・プロダクションも良好なところがヨロシイですね。個人的には、思ったほど取っ付き難くありませんでした。バンド全体によるグルーヴ感を重視したアプローチを取りつつ、あくまでも主役はポエティックで内省的な歌や楽曲中心のスタイルのProgressive Rock/Metalサウンドという風に受け取っていただきたいと思います。(プロモ盤Review)

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