PENDRAGON
country: U.K. - England
style/genre: Neo-Prog, Symphonic Rock, Pomp Rock, Melodic Rock, etc.
website: http://www.toffrecords.com
related bands/artists: Clive Nolan, Arena, Shadowland, etc.
similar bands/artists: Marillion, Pink Floyd, Genesis, Ayreon, etc.
artist info: 幻想的且つ親しみやすいメロディーを得意とするネオ・プログレ系の中核的存在。



Pendragon - Live At Last and more...(DVD)

Metal Mind Productions/Toff Records
(2002)

1977年にイギリスで結成されたネオ・プログレ系ロックバンド。本格的にシーンで活躍するようになったのは、80年代からになります。現在に至るまで、かなりの枚数のアルバム・EP盤・企画盤などを出しているので、どこから手を出していいのか分からなかった訳であります。シンフォやネオプログレ系の音楽に好意的なオランダやポーランドなどの欧州では、人気が根強いバンドだと思います。実は同時期に活動をしていたポンプ・ネオプログレ界隈のバンドも、現役で頑張っている人達が多くて、私は年々この近辺のバンドが持つ魅力に嵌っております。

しかし、かたや我が日本国内においての彼らの評判は、あまり芳しくなかった・・というか今でもコアなプログレファンからは、そっぽを向かれている気がする・・・ポンプ〜ネオプログレ系に嫌悪感を持っている人達には理解されることはおそらく無いでありましょう。さらに困ったことに、70年代末期から80年代においての、「プログレの形骸化を象徴したバンド」として、メタル雑誌方面からの風当たりも厳しくて、非常に冷遇されていた存在という風に私の目には映りました。はっきりいって、私が目にするメディアでの反応はことごとく芳しくなくて、ある時期からこのバンドにたいして逆に興味を抱くようになりました。私は冷遇されていたり、誤解をされている存在のバンドには、特に心を開いて接したい人間だったりします(笑)。・・・結論から言えば、もっとこのバンドのことを早く知っていれば良かったなーと思うほど、気に入りました。いいものを持っているバンドだと思うんですけどねー。

さて、このDVDは以前リリースされたLive at Krakowアルバムからの既出曲が中心ですが、私にとってはこれが映像を伴うPendragonの音楽への入門編として予想以上に楽しんでおります。楽曲は、当時リリースされたThe Masquerade OvertureWindow of Lifeアルバム辺りからのものが主にセットリストとして組まれています。ネオプログレ系やポンプ系が嫌いな人には、受け付けない音楽性でありますが、偏見なく受け容れる方には楽しめるのではないかと思います。私も恥ずかしながら、このバンドにたいしては、聴きもしないのに、変な偏見というか頭から退屈な音楽なのかなーと思っているところが何処かにありました。いやーしかし、実際に蓋を開けて映像を伴いながら彼らの音楽に接していくと、いやいや中々どうして・・・・とても素晴らしいではないですか!。シンフォニック・ロックサウンドを80年代から90年代のエッジを通して構築していますが、ファンタジー文学作品をも連想させるところが私にはありました。もっと単純に表現するならば、ロールプレイング・ゲームの世界に自分がいるかのような想像力をかきたてられる内容で、サウンドの出来上がりも見事であります。柔らかで、暖かく包み込むサウンドであります。さらに、ここぞというところでは、ダイナミックに盛り上がる場面も用意されていますし、壮大な音世界を作り出しております。ギターとシンセ類、それからベース・ドラムのリズムセクションを含めて、バンド全体の演奏を通してのオーケストレーションの施し方が巧みでありますね。

Clive Nolanによる幻想的且つマジェスティックなキーボードプレーやサウンドにまず魅了されます。そして、Pendragonの音楽的中心人物である、Nick Barrettによるフェンダー・ストラトキャスターの特性をいかした、数多くの英国出身ギターリストに通じる非常に繊細でリリカルなギターにやられました。彼のギター奏法は余り話題になることはないかもしれませんが、ギターで様々な表現をするミュージシャンだと思います。Nickによるギタープレーが、とてもエモーショナルで素晴らしいダイナミズムを持っています。ヴォリューム奏法とボトルネックを駆使したプレーも素晴らしく、Adrian Belew的なカモメの鳴き声みたいな音色とか私は好きですねー!。リズムセクションも、それぞれの楽曲が求めているプレーを充分にこなし引き立てています。確かにNickの歌声は、聴き手によって好悪が真っ二つに分かれるでしょうが、柔和なこういう歌い方も含めて楽しむことができました。それぞれの楽曲も非常にメロディアスでドラマティックなので、僕はこのDVDは買って以来、非常にリピート率が高い作品として堪能させてもらってます。

確かに超ど派手にテクニカルに切り込む技巧的なものを求めると、まず肩透かしだと思います。アグレッシヴ、メタリック、スラッシュ、クランチーという言葉とは無縁の音世界であります。Pendragonのようなネオプログレ〜ポンプ指向の音楽は、「形骸化した音楽」の代表格として、本当によく槍玉にあげられて大変だなーと思います。ま、そういった中小誹謗は、どこへやらで彼らはアルバムをリリースするごとに良質の作品を出していますし、これからも頑張ってもらいたいバンドですね。やっぱり楽しめるか、楽しめないかを最後に判断するのは、聴き手一人一人に委ねられていると思います。AyreonMarillion的な音楽が好きな人にはお薦めしたいです。(購入盤Review)

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