PHIDEAUX
country: United States
style/genre: Symphonic Rock, Prog Rock, Neo-Prog, etc.
website: http://www.bloodfish.com/
related bands/artists:
similar bands/artists: Pink Floyd, David Bowie, Barclay James Harvest, Porcupine Tree, etc.
artist info: アメリカのミュージシャンXavier Phideauxを中心としたシンフォ・ロック系のプロジェクト。



Phideaux - Doomsday Afternoon
Bloodfish Music
(2007)

コンスタントな活動が実を結び、海外のプログレ系リスナーを中心に注目を集めつつあるPhideauxの最新作です。今回のDoomsday Afternoonなる作品は、前作に引き続きコンセプト作品となっています。コンセプトのテーマとしては「終末論」や「環境破壊」などが織り込まれております。日本ではドラマティックで勢いのあるプログレ系サウンドは注目を集める傾向にありますが、Phideauxの場合はまだ知る人ぞ知る存在なのかもしれません。例えばSpock's Beardようなドラマティック且つコンプレックスな演奏などでグイグイと押し出すタイプとは全く異なり、どちらかというと全体の雰囲気やムードを重視した内容となっております。スタイルや方向性としては、Pink FloydBarclay James Harvestなどのような英国出身のアトモスフェリックなタイプをお手本にしているのかもしれません。とは言っても、そういったサウンドに縛られている訳ではありません。レトロなプログレ系サウンドへの憧憬は匂わせながらも、自分たちのサウンドを構築しようという様子は充分に伺えます。

どちらかというとブックレットに載っている歌詞を読みながら、味わいながら気長に聴いていくタイプだと自分は思いました。全体的にはシンフォニック・ロック的な部分やレトロなプログレサウンドを重視した内容が楽しめれば、気に入っていただける可能性はあります。今回はゲストミュージシャンも含めるとかなりの大所帯となっており、ストリングスやフルート、ヴィンテージ風味の強いキーボード群なども使われており、その辺りは楽しめるポイントは結構ありました。LAのフィルハーモニック管弦楽団に所属しているミュージシャンも数人ほど動員しているせいか、シンフォニックな部分は確かに厚みを帯びていると感じました。個人的にDoomsday Afternoonが良いと思ったのは外部のミュージシャンを上手く起用していることと、女性ボーカリストの歌声を要所で登場させて男性ボーカルとのバランスや対比を演出していることでしょう。自分の場合は、この作品に関しては気分や聴く環境によって楽しめた時もあれば、逆にサラっと聴いていると引っかかりのないままCDを聴き終えてしまったということもシバシバありました(^^;)。確かに派手めのテクニカルでコロコロと猫の目のように入れ替わりなどが激しいタイプが好きな人が求めているものとは違う世界にある音楽であります。

正直言うと、この作品の世界に馴染むまでに大分時間がかかることを覚悟したほうがよいと思います。躍動感のある演奏が皆無という訳ではないのですが、激しいタイプの音楽が好きなリスナー向けではないでしょう。タイトルからも推測できるように「世の終わり」を強く意識させるような、どんよりとしたムーディーな雰囲気が暫くずっと続くので集中して聴きにくい部分もあるかもしれません。コンセプト作品の性質上、似たような曲調やメロディーが場面によって繰り返し顔を出してきます。この辺りは終盤に行くにしたがって盛り上がっていくように工夫を施していると思いました。

個人的なこの作品のハイライトは後半の2曲だと思いました。作品に登場する人物たちが、心理的にも状況的にも追い込まれていくかのような展開は面白いと感じました。演奏的にも緊迫感を上手く表現しており、アレンジもよく考えられていると思いました。作品の内容からかコンプレックスなパートを最初から登場させるのは難しいのだと感じますが、終盤ではリズム的にも凝った曲調になっており満足できました。特に煽情性のあるヴァイオリンやキーボード類の活躍がよいスパイスになっていると感じました。演奏的な部分やプログレ的なアレンジの妙は終盤で思い切り楽しんで、前半はムーディーな曲調がずっと続くということを覚悟して聞けばシンフォニックロック系のリスナーには案外受け入れられるアルバムなのかもしれません。ゲスト陣にはDisciplineMatthew ParmenterIQMartin Orfordなどプログレシーンで著名な人も含まれています。(プロモ盤Review)


Phideaux - Number Seven
Bloodfish Music
(2009)

前作のDoomsday Afternoonが海外のリスナーを中心に好評だったPhideaux。今回レヴューで取り上げる最新作「Number Seven」は、グループにとって通産7枚目のリリースということになります。これまでPhideauxがリリースした作品は、私自身も何枚か入手してチェックしてみました。残念ながら1stアルバムのFiendishは入手していませんが、ここまでの変遷を眺めていくと、作品間での共通点や成長の軌跡みたいなものを窺うことができます。彼等の場合は、真摯にプログレッシヴ・ロックやアートロックをアメリカ人の視点で解釈し、ステップアップを試みていますね。僕の好みで言うと、3枚目と5枚目が印象に残っています。特に5枚目のThe Great Leapで、完全に自分達のスタイルを確立したと思います。アルバムをリリースする毎にプログレ系を中心に聴いているリスナー層を開拓して頑張っており、2009年は彼等にとって飛躍の年になったように観察しています。

アルバムに参加しているメンバーは、合計10名と前作に引き続き大所帯になってます。今回の場合は、外部のゲストは呼ばずに、Phideaux Xavierを中心としたライブを意識したバンド形態をとっています。そのせいか、演奏や音楽の流れも良く考えられた内容ですね。研ぎ澄まされたバランス感覚と言いましょうか、引き締まったものになっています。いやいや〜、これは彼等のキャリアの中でも完成度が最も高いと言いたくなりますね。アルバムに貫かれているテーマとしては、「戦い・争い」といったものを主題として取り上げているのではないでしょうか。ある意味、前作以上に重いイメージを持たれるかもしれません。むしろ、個人的には今回の作品の方が入りやすかったですね。「山鼠」と「ザリガニ」のような生物が至るところで登場しているのは、ユーモラスだなあと思いました。作品のトーンとしては直接的な内容について語ることをなるべく避けたかのような印象です。特に山鼠のキャラクターを通して暗喩的なものを感じ取って欲しいのかもしれません。

ここまで読んでいて、おや?と思われた方もいるかもしれませんね。実は、あのAyreonでお馴染みのArjen LucassenPhideauxの音楽やスタイルに興味を持っております。実際にAyreonの作品でPhideaux Xavierが起用されたことがありましたね。そのためか、どうか分かりませんが、日本でも名前が少しずつ浸透してきているのかもしれません。嬉しいことに国内のシンフォニック・ロック系のファン層からの評価も良好だとのことです。さて、この「Number Seven」は、どのようなものになっているのか?。私自身も興味津々でトライしてみました。音楽性は、前作の流れにも共通するフレーズや雰囲気はあるかな?と思いました。ところが前作は中々のめりこめなかったのですが、この作品はグイグイと引き込むエネルギーを感じさせます。

これまでと異なる点は、女性ボーカルが主役として活躍する場面が多くなったのは大歓迎で、聴きやすくなった最大のポイントですね。男性と女性ボーカルを上手く配置したり、和声の構築の仕方に気を配っているのだと思います。特に嬉しかったのは、バンドの演奏にメリハリが出てきたということでしょう。変拍子やリズムなどを巧みに使って、以前よりも躍動感のあるパートが増えてきたところでしょう。またピアノやシンセサイザーなどのキーボード類が効果的に使われるだけでなく、ドラマ性を高めているところも素晴らしい。バイオリンやサクソフォンなどによる印象的なフレーズや旋律も心地が良く、楽しませてもらいました。彼等の場合は、基本的にリードギターが派手に活躍するタイプでは無いのですが、ここぞというところではメロディアスなソロを取るパートが用意されています。誰かスタープレーヤーがいるというタイプの音楽ではなく、参加しているメンバーが楽曲をドラマティックに仕上げるためにチームワークを組んでいるという印象です。

全体的には楽曲指向の強い音楽性なので、派手めなソロワークを期待しているリスナーには物足りないと感じることでしょう。あらゆるタイプの音楽にハードでヘヴィな側面を求めるリスナーには、ソフト過ぎる・大人しすぎるという感想を持つことでしょう。辛口のリスナーの場合、Phideauxの音楽性は「往年のプログレの焼き直しじゃないか」と見向きもされないかもしれません。ですが、良質なシンフォニック・ロックや現代的な感性を含んだ最近のプログレも好んで聴くリスナーには、かなり楽しめる内容に仕上がっているのではないでしょうか。全体のアンサンブルは統一感がありますし、派手なパートは皆無なものの、一人ひとりのミュージシャンの表現力は中々のものです。ソフトなところとダイナミックなところを両立させているところも目から鱗が落ちました。個人的には「Number Seven」に関しては、本当に良く纏まった作品に仕上がっており新鮮でした。各楽曲は非常に練られた作りですし、サウンドも良好なので充分満足して聴く事ができました。聴き始めや全体的には地味に感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、嵌るとこれは結構楽しめちゃう作品だと思います。MySpaceにも新譜の音源が紹介されているので、サイトなどでチェックすることをお薦めいたします。(プロモ盤Review)
http://www.myspace.com/phideaux

PILGRIM WORLD推薦盤

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