PSYCHOTIC WALTZ
country: U.S.A.
style/genre: Progressive Metal, Psychedelic HR/HM, etc.
website: http://www.psychoticwaltz.com/
related bands/artists: Aslan, Darkstar, Buddy Lackey, End Amen, Dead Soul Tribe, etc.
similar bands/artists: Behind The Curtain, Spiral Architect, etc.
artist info: Prog Metal黎明期から活躍をしていたシーンの代表格。Prog Metal史上、最も独特の音世界を持っていた孤高の存在。



Psychotic Waltz - Into The Everflow

Dream Circle
(1992)

アメリカは西海岸のサンディエゴを拠点に活動をしていたProg Metalバンドによる2ndアルバム。今振り返ってみれば、なんとも摩訶不思議なHMバンドだったなーと思う。特に欧州方面のHMファン達からは、ProgMetal四天王の一つに挙げられ尊敬を受けている。Psychotic Waltzの場合は、本当に聴き手を選ぶバンドだと思う。自分も時期を間違えて聴いていたら、楽しむのは難しかったかもしれない。とにかく他のバンドとは、全く違う個性と世界観を持っていることが凄い。バンド名に冠されているようにサイコティックな独特の音を武器にしております。なんとも形容しがたい独特の雰囲気を作り出すのを得意としています。サイケデリックな音もあったりするし、緻密なアンサンブルが炸裂する場面もある。その一方、非常にスペーシーで幻惑されるようなサウンドも飛び出したりと一筋縄ではいかない。浮遊感満載のBuddy Lackeyによるボーカル・ワークが妖艶な色彩を出してます。また演奏面だけでなく、歌詞も含めて味わっていくと、どんどんと引き込まれていくかのようなマジカルな音世界。ありがちな音楽ではないのですが、サイケ性やアートロック的なメタルを好む層には楽しんでもらえるのではないでしょうか。最近はBuddyもDeadSoul Tribeで世界的に知名度を挙げていますね。Dead Soul TribeのDevon Gravesのルーツを辿る意味で、Psychotic Waltzの音楽を探訪してみるのも面白いと思う。ギターリストのDan RockBuddy Lackeyといった個性の強いミュージシャンの集合体から生まれた独特のメタルサウンドだ。こういうバンドは、もう2度と出てこないかもしれないと感じさせる。とにかくオリジナリティと強烈な音を持ったバンドだっと思う。いつかぜひチャンスがあれば復活してほしい。それにしても攻略するのが難しい音楽だが、嵌ると非常に面白い。(購入盤Review)


Psychotic Waltz - Bleeding
Bullet Proof Records
(1996)

欧州のProg Metalファンの間で絶大な人気を確立したPsychotic Waltz。彼らにとって通産4作目であるのと同時に最後の正式なフルレングス・アルバムとなってしまいました。残念ながら、このアルバムを最後に彼らは解散してしまうことになりました。このアルバムに関して言うと、熱心なPsychotic Waltzファンにとって色々と論議が巻き起こっていて興味深いです。さて私の見解なんですが、このアルバムは総合的に見て凄いです。Psychotic Waltzというと、Prog Metalファンの間でも、聴く優先順位から外されてしまうタイプのバンドかもしれません。なんか取っ付きにくいというか・・聞かず嫌いな傾向の部類に入れられてしまっているのではないでしょうか?(・・・なんとも勿体無い!)。

確かに独特の世界観や濃いイメージがつきまとうのは確かでしょう。少なくとも、このBleedingを聴かないで人生終わってしまうのは損かもしれません。ま、こんなことを書いている自分も人のことは言えません。16年以上前のマインド・セットだったら、聴かないでいたかもしれません。私の知り合いが、このアルバムを絶賛しておりましたので聴いて見ました。初めて聴いたときのインパクトが強烈でぶっ飛びました。個人的な意見ですが、Prog Metalの歴史において重要なアルバムだなーと思います。完成度は非常に高く引き込まれていくかのようです。しかし、このアルバムが果たしてProg Metalの音なのか?といわれると悩んでしまいそうです。Bleedingに関して言うと「これはProg Metalである」とか、「否、そうでない」とかの意見もあるかもしれません。ですが、このアルバムにはそういうことを細かく論じ合ったりすることが自体が既に不毛なのかもしれません。なんだかんだで、私はこれ凄く気に入りました。

全体的な印象としては、1stや2ndの頃の妖艶でダークなムードを含むテクニカル路線のProg Metal作品とは全く異なる側面を持っています。果たして、このアルバムをProg Metalという位置付けにするのが正しいのかどうかも分かりません。我々が通常抱いているProg Metalでは、おそらく無いでしょう。しかし、1曲目のFadedから、とてつもない吸引力です。まるでBlack Sabbathに現代的解釈を施し、Jethro TullKing's Xにも通じるような強力なインパクトや要素を自分達のものとして昇華しきっているところが、とにかく凄い!!。Psychotic Waltzにテクニカル性や摩訶不思議性などと言った具合に求めている要素は色々とあるでしょう。Bleedingアルバム全編に渡って登場する尋常ではない歌の迫力。そして骨太なグルーブと破壊力のあるリフ、そしてPsychotic Waltzからしか出てこないムードと楽曲の異形な世界・・・恐るべき完成度です。

演奏陣自体は、彼らの前半のキャリアから考えると信じられないぐらい、割とオーソドックスでシンプルな形態なプレーなんであります。しかし、そこかしこから強烈な音をビシバシと繰り出すなどしてドンドンと嵌まっていけます。やはり、このバンドの顔とも言うべきBuddy Lackey(現Dead Soul TribeDevon Graves)の歌声、そしてトーン、表現力。どれをとっても天下一品であります。元Fates WarningJohn Archに匹敵すると言っても過言ではない。その強力なボーカル・ワークスは、Prog Metal界でも指折りの存在と言えるでしょう。

この最終作品に差し掛かり、彼らは楽曲指向ではあるが強烈なインパクトを持つサウンド、そして過去最高の音作りを見事に成し遂げたのではないでしょうか。冒頭のFadedから既にもの凄いテンションをキープしております。個人的にはFadedのリフレイン部分やBuddyによるボーカルメロディーが秀逸でありまして、この時点で既にヴォルテージが最高点に達します(笑)。2曲目Locastや3曲目のMorbidでも、そのテンションとパワーを持続させ、中盤のタイトルトラックのBleedingで一つの山場を迎えます。後半の楽曲では、また違った起伏を作り上げますが、Prog Metalバンドのパイオニアの一つとしての威厳を保つエモーショナルなプレーが続き、終盤は静かにフェードアウトして行きます。いやー、本当に聞き込みのし甲斐があるアルバムだと思います。違った視点で見ていくと、この素晴らしいプロダクションで1stや2ndのテクニカル路線のProg Metal作品を作っていたならば、もう一つのドエライものが登場していたかもしれません。歴史に「もしも」は禁句かもしれませんね。

いやはや、本当にこのアルバムは特に前半のとてつもない吸引力と、ドえらいインパクトはなんなんでしょう。もしもPsychotic Waltzに興味があるけど、どれから試してみようか?と考えている人は、まずはこのアルバムから挑戦してみてはいかがでしょうか。独特の妖艶ミステリアスムードは立ち込めていますが、意外とキャッチーで面白いと思いますよ。Death Metalファン層の中にもPsychotic Waltzを気に入ってる人たちも少なくないそうです。ここ最近はDead Soul Tribeの人気も高いようですし、そっち方面のファンにも楽しめる可能性があるのではないかと思います。(購入盤Review)

PILGRIM WORLD推薦盤

discography:


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