QUEENSRYCHE
country: U.S.
style/genre: Prog Metal, HR/HM, etc.
website: http://www.queensrycheofficial.com/
related bands/artists: Chris DeGarmo, Rockenfield/Spear, Myth, etc.
similar bands/artists: Fates Warning, Crimson Glory, Heir Apparent, Rush, Jester's March, House of Spirits, Sanvoisen, etc.
artist Info: アメリカの重鎮Prog Metalバンドのひとつ。知的な歌詞やコンセプト、世界観など、数多くのバンドに影響を与えた。



Queensryche - Empire
EMI
(1990)

シアトルを拠点にワールドワイドに活躍するQueensrycheにとって通産4枚目のフルレングス・アルバム。Prog Metal史上で最も重要な存在として認知されているQueensrycheですが、このアルバムはセールス的にも全米チャートでも大健闘をしたのでHR/HMファン以外にも知られているのではないでしょうか。80年代の前半から、Fates Warningと共に往年のProg Rockバンドの精神性を受け継ぐかのような、知的なコンセプトや深い洞察力を含めた歌詞観を始め、従来のHR/HM勢とは異なるアプローチを持っており、演奏面でもコンプレックスで、緻密な構成の楽曲や音楽性などを取り入れたProg Metalスタイルを確立させたバンドの一つとして、世界中のファンやミュージシャン達から大変尊敬を受けているバンドであります。

このアルバムをリリースする以前に、傑作「Operation:Mindcrime」をリリースしHR/HMシーンで大成功を収めました。次はどんなアルバムがリリースされるのかと、期待されていた訳であります。この作品Empireは、メッセージ的にも彼らのカタログの中では割とポジティブな面も出しておりますし、親しみやすいキャッチーな構成の楽曲も多く含まれております。実際このアルバムは、かなり長い期間ロングセラーを記録しており、Jet City Woman, Another Rainy Night, Anybody Listening, Empire, Best I Can, Silent LucidityなどラジオやMTVでもよくオンエアーされたりと売上に貢献していますし、このアルバムからQueensrycheについて興味をもった人も多いのではないかと思います。

コンパクトな楽曲やキャッチーな要素もあいまって、Hard Rock/Metalファン以外にも受け容れられる可能性が高いアルバムだと思います。しかし、その一方新しい実験的なアプローチもとっており、The Thin LineDella Brown辺りはRushにも通じる大人の味わいも強く感じさせてくれます。またMichael Kamenのストリングス・アレンジメントもあいまってSilent Lucidityの楽曲からは、特にPink Floydをほうふつさせる壮大なスケールも身につけています。もちろん従来彼らが持っているヘヴィーな側面を前面に出したタイトルトラックのEmpireJet City Womanは圧巻です。前作でもキーボードがバックでもかなり目立つ曲がありましたが、Best I Can, The Thin Line, Anybody Listening等では効果的にキーボードが使用されておりますね。

サウンド・プロダクションは言うまでもなく極上でありますし、演奏陣はバッキングからリードプレーに至るまでとてもテイスティーであります。特に顕著なのは、Chris DeGarmoMichael Wiltonのツインギター・リードプレーであります。煽情性が大変高いですし、構築美があります。リズムセクションもさすがのプレーで、Scott Rockenfieldのドラムも素晴らしいし、底辺を支えるEddie Jacksonの野太いベース・ラニング奏法もたのもしい限りです。歌モノとしても非常にクオリティが高い構成になっていますし、アルバムの全編に渡ってエモーショナルなGeoff Tateの歌が秀逸です。

いやー、本当にアルバム全編、隙の無い鉄壁の楽曲構成に満足です。聴けば聴くほど、深みが増す音楽を作ってくれました。アルバムごとに、色合いの異なる作品を作っているQueensrycheですが、常にチャレンジ精神を忘れない真のProg Metalバンドであろうと思います。Empire以降(Empireを含めて?)、Queensrycheがリリースされる作品は、かなりの問題作(?)と見なされていますが、これは聴く皆さんの判断に任せたいと思います。最後になりましたが、僕はこのアルバムは個人的には、彼らのキャリアの中では、とても親しみやすい入り口的な一枚だと思います。いやー本当にいい曲がたくさん入っているなーと思います。(購入盤Review)

PILGRIM WORLD推薦盤


Queensryche - Promised Land
EMI
(1994)

Operation:Mindcrime、そしてEmpireと立て続けに素晴らしい作品をリリース後、1994年にリリースされたQueensrycheの意欲作品。前作はQueensrycheの中でも最もキャッチーでセールス的にも健闘していただけに、どのようなものがリリースされるか期待がファンの間でも膨らんでいたと思います。しかし、このアルバムは期待されていたものと真っ向から違う内容が提示されていたということで、多くの人から問題作として見なされているようです。Promised Landは、これまでの彼らが培ったものとは異なる方向性を引き出していることは、周知の事実でありましょう。しかし、僕個人はこのアルバムは非常に素晴らしい出来上がりになっていると思います。買った当時から、僕は大変気に入っておりまして意欲的だなーという感想は今でも変わっていないのですが、周りの友達は「全然楽しめない」とか、「気に入っていない」という意見が続出という状態が不思議でありました。

この作品は大きく分けてオープニングそして1曲目から6曲目までを前半、そして7曲目以降からラストまでの後半に分けて考えています。詳しい内容はライナーや歌詞を読んで解釈していただきたいと思いますが、サウンドはひたすらダークで内に篭っていくかのような印象が前半では如実に感じられます。しかし、その中に感情の迸りや起伏の変化が充分、素晴らしいサウンドと演奏で展開されており、僕は大変楽しむことができました。1曲目(クレジット的には2曲目といった方がいいでしょうか?)のI Am IはまるでLed Zeppelinを彷彿させるかのような、バンドによるエスニック且つパワフルな演奏とテンションの高さが味わえます。

前半で顕著ですが、人間の痛みや悲しみ、失望・屈折などをテーマに扱ったものがありますし、「Bridge」ではChris DeGarmoのペンによる父子の断絶状態が描かれています。タイトル曲の「Promised Land」は、ひたすら重くのしかかってきて押しつぶされるかのようであります。現代的なPink Floydというか、ヘヴィーで重くなったPink Floydといってはヘンでしょうか?(^^;)。後半では、新しい試みのDisconnectedのように聴いた感じでは凄くダークなんだけど、メロディーやサウンドの感触はどこかディスコティックなというかエレクトロニカ風味も塗したユーモラスな所もあります。しかしアルバム後半はMy Global MindSomeone Elseなどの曲に表現されているように、実は意外なことに初期や中期に至るまで、これぞQueensrycheといいたくなるような正統的なProg Metalを強く感じさせるものが固まっていると思いました。

前作Empireが、かなり緻密に作りこまれたプロダクションと楽曲構成で演出されたものに対して、Promised Landは曲作りのアプローチに変化を加えたことと、より自分達の内面にあるものを忠実に表現し吐露したものが主体になっていると思いました。新しいものを大胆に導入しつつ、これまでの正統的なProg Metal寄りのアプローチも決しておろそかにはしていない・・そういう風に解釈できると思います。でも確かに多くの人が取っ付きにくいという印象や意見は、別の視点から考えると理解できるような気がします。作品の流れがそうなので致し方ありませんが、確かになんていうか重苦しい雰囲気は充満していますからね(^^;)。

あまり余計なことを考えずにPromised Landに接したせいか、一部の人たちと同じように素晴らしいと思います。全体的には流れも悪くないですし、作品のカラーとしては寂しい心象風景みたいなものが上手く表現されています。誤解を恐れずに書かせていただきますが、とっつきにくいアルバムだと思いますが、Promised Landは名盤だと思います。当時から色々と批判される側の作品だと思いますが、Pain of SalvationRiversideを好んで聴いている若いリスナーに案外訴えかけるものがあるかもしれません。(購入盤Review)

PILGRIM WORLD推薦盤

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