RICOCHET
country: Germany
style/genre: Prog Metal, Neo-Prog, etc.
website: http://www.teartown.com/ (時々サーバーがダウンする傾向にあるようです)
related bands/artists: Et Cetra, Kingdome Come, etc.
similar bands/artists: Threshold, Arena, Enchant, Ivory Tower, Dream Theater, etc.
artist info: ドイツ出身のキーボードを含む5人組。かなり活動歴も長く、驚くことに現在もバンド活動を展開している。



Ricochet - Among The Elements
T&T
(1995)

ドイツのProg Metalバンドが1995年にT&Tよりリリースした初のフルレングスアルバム。アルバム結成は1989年ということで、今日に至るまで活動歴が、かなり長いことに驚かされました。1991年ごろに、大幅なメンバーチェンジを果たしております。ボーカリストのKarl-Rene JobigとギターリストのMarkus Karrerの2名が参加し、Ricochetとしての活動が本格化していきます。その後、シングルやカセット盤のWelcome To Teardownをリリースします。Welcome To Teardownをリリース後に、ギターリストのKarrerが脱退しております。それから、シングルHoly Bellをリリース。この頃には、Heiko Hollerがギターリストとしてバンドに新加入します。その後、彼らはフルレングスアルバムAmong The Elementsを完成させ、マイナーチェンジをしながらも今日に至っております。

さて、Among The Elementsについてでありますが、個人的にとても気に入っております。現在では、非常に気に入っているのですが、最初は余り印象に残りませんでした。割とたおやかなネオプログレ系かと思っておりましたが、聞き込んでみると非常に面白いパーツがたくさん入っていて堪能することができました。スタイル的には、Ivory TowerEnchantに通じるようなソフト路線のプログレメタル的なものを得意としていると思いました。ロングフォームの楽曲も用意されており、いろんな展開部を持ったものも見受けられるなど、とても興味深いです。メロディーも大事にした楽曲構成になっておりますし、歌もじっくりと浸透してきます。雰囲気的にはThreshold, Arena, Enchantなどに通じる柔和でドラマティックな要素も感じられました。ヘヴィー過ぎず、かといってソフト過ぎずというバランスが取れていると思います。困ったことにマスタリングやミキシングの関係からか、ボリュームが非常に小さく設定されており、自分のCDプレーヤーでこのアルバムを聴く場合、音量を上げないと聞こえにくいところもあるのが最大の難点でしょう・・・聴き手によっては、これは我慢できない重大な問題だとも考えられるでしょう。しかし、それさえクリアできれば、楽しむポイントはたくさんあると思いました。

やはり地道に活動をしているバンドだけに、メロディーのセンスや各楽器陣の演奏もツボを押させており、メロディアスでソフト路線のProg Metalが好きなリスナーには、大変楽しめるアルバムとなっています。特にVision Eden, Among The Elements, I Can't Followは彼らの特性を生かした極上の楽曲に仕上がっております。エンジニアリングやプロダクションがしっかりしていれば、かなりグレードの高い作品になっていたことでしょう。このアルバムは、時々中古CDで見かけることが多いので、チャンスがあればゲットしてみてください。なにかあったら、よく引っ張り出して聴いている大好きなアルバムです。(購入盤Review)

PILGRIM WORLD推薦盤


Ricochet - Zarah: A Teartown Story
Independent Release/ProgRock Records
(2005)

おそらく、誰もが解散していたと思っていたドイツのRicochet。なんと、前作から数えて10年ぶりに2枚目となるニューアルバム「Zarah: A Teartown Story」をリリースしております。メンバーも、前作と殆ど同じラインナップであります。特に解散していたグループが復活したという訳でもありませんが、Ricochet自体の活動が継続していたというのが驚きでありました。サウンド自体は、前作と比べると、若干ヘヴィー寄りになっております。Neo-ProgとProg Metalの中間地点にいる音楽性ですが、プロダクションやミキシングも向上しております。タイトルから推測していただけるように、コンセプト・ストーリーを軸にしたアルバムとなっています。話の内容は、非常にダークでグルーミーなものとなっております。主人公である女性Zarahが通ってきた悲惨な人生(虐待、殺人、刑務所での生活、そして自殺)と言った具合に、ひたすら重くのしかかってくるものになっていますが、最終的には希望への扉が開かれると言った内容・・・と僕は認識しました。

ストーリー自体は、MarillionBraveWolverineCold Light of Monday辺りにも通じるものがあるでしょう。アンサンブル自体も、前作と比べるとシンプルでストレートな形態のものが多いです。歌無しのインスト楽曲や後半では、前作同様のProg Metal的な演奏を聴くことができます。今回の作品は、プロダクション面においては、ある程度の進歩が見られるものの、前作に見られた軽やかで優美な部分が減退してしまったのが、残念であります。コンセプト自体が陰鬱なので、こういうダークな雰囲気が強い音楽にならざるを得なかったと思うのですが、中には素敵なアンサンブルやキーボードが登場しますので、僕はその辺りを中心に楽しみました。

また楽曲によっては、非常にSuperiorThresholdを彷彿させるような場面もありましたし、アップテンポで勢いのあるパートでは若干Dream Theater的なものもあったので、その辺りが好きな人にもアピールする可能性があるかもしれません。このアルバムは、所謂じっくりと長い時間をかけて攻略していこうタイプの作品だと思いました。最初はピンとこないと思いますが、リピートしながら聴いていくと後半の3曲あたりからジワリジワリと浸透してくる筈です。まずは、久しぶりに作品をワールドワイドでリリースしたRicochetに乾杯(^^)。(購入盤Review)

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