六合 (Rikugo)
country: Japan
style/genre: Heavy Rock, Progressive Metal, New Tendencies, etc.
website: http://www.rikugo.com/
related bands/artists: Freewill, Untitled Key, Alexandrite, etc.
similar bands/artists: Freewill, Seilane, Wolverine, etc.
artist info: Freewillで活躍していたメンバー数名を含む、斬新なアプローチを得意とするHeavy Rockグループ。



六合 - 宵闇の残光
Rikugou Records
(2008)

京都を拠点に活動をしているヘヴィ・ロック系グループの六合にとって初のフルレングス作品となっています。厳密に言うと、今回のレヴューで紹介する「宵闇の残光」は、前作のミニアルバムに続いて通産2枚目になるそうです。バンドの名前は「りくごう」と読むそうです。地名なのか、人の名前なのかと不思議に思った方もいらっしゃるかもしれません。バンド側の説明を引用させていただくと、次のような意味だそうです。【言葉自体の意は「東西南北、天地」の六方を指し、宇宙を表す。その空間的な意の裏側に「喜怒哀楽、生死」の六要素を付け加え、物理的、精神的、両側面から「世界」そのものを指す。(引用元: 六合オフィシャルページより)】。キャッチーなパートだけでなく、ダークな質感と雰囲気を作り出すのも上手い新世代のHeavy Rockグループという印象と持ちました。ヘヴィなロックとあえて書きましたが、メタル系に通じるハードな展開とサウンドを持っているので、メタル耳の人にも楽しめます。しかし、極端に歪ませている訳でなく、耳に心地よいヘヴィさという風に捉えていただきたいと思います。言い換えれば、Porcupine TreeArtificial Light Attraction、そして近年のWolverineのようなタイプのバンドの音楽性やハードな部分を楽しんでいる人にも同時にアピールするものがあるでしょう。楽曲や歌詞の世界を見てみると、非常に深遠なものを追及したタイプということが伝わってきます。同じ京都のグループのFreewillに通じると感じた方もいらっしゃるでしょう。

新世代のグループの中では、和のテイストを見事にHeavyなRockサウンドの中で自分達の強みとして取り込んでいる数少ないタイプだと思います。また曲のアレンジやリズムによっては、部分的にProgressive Metalに通じるアプローチやアイデアをスパイスに取り入れているように受け取ることもできるでしょう。メンバーの皆さん大変幅広いグループの音楽や作品を好まれているようですし、それぞれも独自の方向性を見つめているようです。それもその筈で、メンバーにはFreewillで活躍していたメンバーである内田伸吾氏 (drums) とキーボーディストの八木俊介氏も含んでいることは、このバンドにとっての大きな強みでしょう。またそれぞれのメンバーも、京都方面で既にステータスを築いているAlexandriteというHR/HMタイプのグループで活動している人達も含んでおり、演奏的にも非常にソリッドで時には爆発力のあるパワーと疾走感も持っていて充分素晴らしいパフォーマンスを見せています。リード・ボーカリストの積田晋平氏 (vocal/guitar) は、クリーンで温かみのある歌心を大切にした自然体のパフォーマンスを得意としています。感情を込めて歌詞やフレーズを大切にしたタイプの人と言えるでしょう。国内で流行っているようなタイプのロック・メタル系ボーカリストのような極端な粘っこさは皆無です。彼の場合は、日本語の持つ抑揚を丁寧に歌う姿勢を持っているので、安心して聴くことができます。

アンサンブルと楽曲を大事にした作りになっていますが、ギターもキーボードも活躍度が高く、スリリングな内容が実に多いです。録音状態やプロダクションも大変良い仕上がりになっており、非常に聴き応えがあることは確かです。自分達が表現したいことを見事に具現化できる力があるのも魅力だと思います。個人的にはFreewillのメンバーでもある内田さんと八木さんの充実したプレーが聴けるのが嬉しい限りですね。八木さんによるキーボードサウンドや演奏が大変興味深くカッコイイですし、個性を強く出しているところがポイントですね。八木さんの場合はサウンド・メイキングや音のチョイスが絶妙なのは、FreewillUntitled Keyなどで垣間見ることができますが、独自のセンスの高さやユニーク性が出ていて面白いです。楽曲の流れを大事にしながらも、ここぞというときには切り込むソロやバッキングのセンスは新世代の中でも注目していただきたい逸材の一人です。それからドラマーの内田さんの繰り出すテクニカルなリズムパターンやパーカッシブなドラミングも素晴らしい。ところどころで見られるバンドのテクニカルな側面を支えているのは、リズム隊の威力が充分に発揮できているように思いました。濃密になる部分では、日本のSeilaneにも負けないほどのテンションの高さを持っていると感じました。日本のハードプログレ系が好きな人の琴線に触れるところがあるかもしれませんよ。

当然バンド名から察することができるように、歌詞は全て日本語で書かれています。日本のテイストを上手く要素の一つとして取り入れてハードなサウンドの中でも浮いていないように思います。楽曲も非常に親しみやすく、メロディーや楽曲を中心としたアンサンブルの中からもハッとさせられるところが要所で登場します。斬新な切り口も持っており、HR/HM系が好きな人だけでなく、国内のロックバンドを主に聴いている人達にも大変アピール度が高いですね。個人的にはアルバム全体の雰囲気が非常に良く仕上がっており、完成度が高いと思いました。和風のテイストを持つ国内のグループが好きな人だけには勿論楽しめると思う一方で、普段プログレメタル系を好んで聴いている人にも思わずお薦めしたくなるほどです。ただ日本語の歌詞やイントネーションが気になる人もいらっしゃるかもしれませんが、余計な先入観を除いて楽しんでいただきたいと思います。どの楽曲もよく練られており、日本のバンドが好きな人にはチェックしていただきたいですね。日本国内で活動をしているバンドの中にも優れたグループが登場していますが、新世代のグループの中でも大きなインパクトで今後も期待したいです。アルバムはAmazonやHMVのサイトなどで購入ができるようです。気になった方は、さっそくMySpaceで音源をチェックしてみましょう。http://www.myspace.com/rikugo (プロモ盤Review)

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