Tetsuo Sakurai - Gentle Hearts
Victor Entertainment
(2001)
日本のフュージョンやジャズなどが好きなリスナーにはお馴染みの元Casopeaのベーシスト、櫻井哲夫氏が2001年にVictor Entertainmentからリリースしたソロアルバム。恥ずかしながら、私は櫻井氏の経歴などは、Casiopeaに在籍していたこと以外は余り知りません。むしろ櫻井氏が抜けた後の鳴瀬氏がベースを担当しているライブビデオなどは観た事があったのみです（汗）。櫻井哲夫氏のソロアルバムを買うきっかけになったのは、参加しているメンバーが凄かったのと、やっぱり実際に観たライブが大きな要因となりました。さて、このアルバムは8曲が収録されております。序盤のSamurai Faithが非常にかっこいいスピーディー且つテクニカルな演奏が充実しておりお気に入りの楽曲です。日本的なメロディーをキーボード音で聞けますが、スラップ奏法全開で疾走する櫻井哲夫の超絶ベース、流麗でしなやかなGreg Howeのテクニカルギター、そして恐るべきエネルギーを放出しながら、爆走しているDennis Chambersのテクニカルドラミングに圧倒されます。櫻井氏のソロアルバムでありますが、尊敬しているワールドクラスのミュージシャン2名をゲストに迎えているせいか、ベース以外でもギターとドラムが活躍する場面が非常に多いです。他にも数曲ほどアップテンポで攻勢をかける楽曲もありますが、同じく日本を代表するCasiopeaやT-Square的なメロディアスな側面も強く感じさせるバラードでソフト路線のものもあります。そして海外のアーティストで言えばJordan RudessやJohn Pattitucciの作品にも通じる穏やかな曲調でフレージングを大事にしたものも見受けられました。Samurai Faithの1曲を聞くためだけでも、このアルバムは買う価値があると思いました。このアルバムはおそらく、櫻井哲夫氏にとっては、今までのキャリアの中でもターニングポイントになる作品だったのではないでしょうか。参加しているHoweやChambersの名に引き寄せられた海外のインストマニアからの反響も大変良いそうです。特にHowe, Chambers, 櫻井の3人が突出する何曲かのインストは、ある意味Liquid Tension ExperimentやBozzio Levin Stevens, Alex Skolnick Trio, 7for4, McGilll/Stevens/Manringなどのテクニカル技巧派インストバンドが好きなリスナーだけでなくて、日本のFragileや野獣王国などの国内実力派バンドがお好きな人にも楽しめると思います。演奏面を中心に、いろんな楽曲があって面白いと感じました。またWeather ReportのJaco PastoriusをトリビュートしたPunk Jazzなどもティスティーだと思いました。Jaco Pastoriusの楽曲は、プロのベーシストでもコピーや、カバーは非常に困難らしいです。(購入盤Review)