SECTION A
country: Denmark/Sweden/Germany
genre/style: Melodic HR/HM, Prog Metal
website: http://www.torbenenevoldsen.com/
similar bands/artists: Ark, Conception, Vanden Plas, Headline, etc.
related artists/bands: Vanden Plas, Lion's Share, Torben Enevoldsen, Derek Sherinian
artist info: デンマーク出身のギターリストTorben Enevoldsenによるメロディアスハード路線のProg Metalユニット



Section A - The Seventh Sign
Lion Music
(2003)

Torben Enevoldsenという名前は、おそらく日本ではJason Becker Tributeアルバムに参加していたことでギターキッズやマニアの間では案外知られている存在かもしれない。その彼がVanden PlasAndreas Lill (drums)と元Lion's Shareのボーカリスト、Andy Engberg達と結成したProg Metal指向のユニット・バンドが、このSection Aです。Lion Musicからギターインスト系のソロアルバムを2枚ほど出しているが、割と楽曲を意識したような作風であった。特にGuitarismaでは、Royal Hunt側にいた人間もゲスト参加をしていて歌ものにも挑戦していたので、バンドを組んだらいいのになーと思っていたギターリストだったのです。Section A用に、曲作りやレコーディングにも時間をじっくりかけていたようで、2002年の春から秋にかけて楽曲の収録をしていることがクレジットに記載されている。

彼のソロアルバムで展開されていた楽曲をさらに進化・深化させた内容となっており、冒頭から緊迫感あふれるハードなパートで圧倒される。ドラムにAndreas Lillが参加している影響もあってか、全体的なトーンはVanden Plasにかなり通じるものがある。元Lion's ShareのAndy Engbergも素晴らしい歌唱パフォーマンスを披露しており、Lion's Share時代を彷彿させるパッションを感じる事ができると思います。ゲスト参加のDerek Sherinianは、タイトル曲のThe Seventh SingNightmareでお得意のノコギリ波を強調したシャープなシンセソロで活躍している。このユニットの核と言えるのは、間違いなくTorben Enevoldsenその人である。作曲からアレンジに携っており、ギターやベースのみならずキーボードもバッキングや印象的なフレージングの大半は彼が操っているようだ。ソロアルバムから培ってきた楽曲指向を大事にしたソリッド且つテンションの高いメロディアス・ハード路線のProg Metalサウンドが、このアルバムで提示されている。間違いなくTorben Enevoldsenのキャリアの中では、一番力のこもった作品と言えるでしょう。音楽面では、Torbenが主なパートを担当している。歌詞作りにおいては、Andy Engbergのクレジットもある。
アルバム全体を見渡してみると、Derek SherinianやVanden PlasのGunter Wernoが参加している曲は比較的Prog Metal展開を施したテンションの高い楽曲がずらりと並んでいる。その一方で、Andy Engbergの歌を中心とした作品では比較的ストレートに突進していくアップテンポかつハード&ヘヴィな作品もきちんと用意している。どの楽曲でもTorven Enevoldsenの唸りをあげるギタープレーが熱い。楽曲それぞれも似たり寄ったりになるのを防ぐために、様々な工夫を施しているのが印象的でありました。

コーラスパートが印象的なハード寄りのThe Seventh Signでアルバムがスタートする。Lion's Shareのアルバムに入っていてもおかしくないストレート且つアップテンポな2曲目のRiot。3曲目のPray for Rainでは、力強いAndy Engbergの歌に導かれていく割とストレートなタイプのMelodic Hard路線でクリーンギターによるアルペジオとエレクトリック系の楽器陣とのブレンドが楽しめる・・・不思議なことにこの曲でのTorben Enevoldsenは、Vanden PlasのStefan Lillを彷彿させる。この曲だけではないが、全編で聴く事のできるAndreas Lillの的確なドラムショットとグルーブが素晴らしい。

4曲目のNightmareでは、再びProg Metal的スタイルに戻りヘヴィーなギターリフと重厚なオルガンサウンドで幕を明け、変拍子のグルーブが交錯する。コーラスパートのラインがとてもキャッチー。ここでも1曲目同様にDerek Sherinianによる切り裂くかのようなシンセソロが凄い。この曲ではなぜかAndy Engbergの歌い方が若干D.C.Cooperを思い出させるほど。曲後半からエンディングにかけてのTorbenとDerekによるギターとキーボードによるソロの掛け合いがなんとも凄まじい。

5曲目のTomorrowでは、このアルバムのクライマックスの一つであるGunter Wernoのキーボードが大々的にフューチャーされている。イントリケイトなキーボード・リフから曲が始まって次第に濃密度が高まっていく。1曲目同様に、Vanden Plas的。歌に入る前のTorbenとGunterによる高速ユニゾン・フレーズが素晴らしい。この曲では、比較的変拍子が効果的に使用されていると思う。ヴァ-ス部分は割とゆったりとした流れを持つが、コーラス部分周辺では次第にハードな展開を見せていく。中間部のシンセソロとギターソロの見事な技の応酬を楽しみました。さすがにこの曲では、Vanden Plasのメンバーが2人もいるせいかテクニカル且つコンプレックスな決めがビシバシと出てきて心地良い。ゲストのGunter Wernoも、自分のバンド本体で活躍するのと同じぐらい気合の入った技の数々を見せているので、Vanden Plasファンはこの曲を聴くだけでも価値が高いですよ。

6曲目のThe Man In The Mirrorでは、今までの曲調とはうって変わって再びメロディアス・ハード路線を狙った楽曲と言えそうです。熱い部分とクールな部分が交錯しているが、比較的歌ものを大事にした楽曲ですね。キャッチーでコンパクトな仕上がりとなっていると思いきや、やはりギターソロの入り方や気合の入り方は熱いものを感じさせます。

7曲目のKilling Fieldsでは歌詞やタイトルに基づいた重たくひきづるようなオルガンとヘヴィーなギターリフに導かれていく。忙し目なベースラインとギターソロが飛び出す。歌が入ってくると一旦ヘヴィーなパートは見をひっこめるがPre-Chorusの部分では次第に盛り上がりを見せるのは彼らの得意としているところだろう。曲の中間部で出てくるKeyboardとGuitarによる高速上昇ユニゾンは、本当に聴いていてスカっとする(このパートは、Torben Enevoldsenによるオーヴァーダビングと考えられる)。歌詞の内容から察するに追い詰められた状況の中でも、戦う姿勢を忘れてはならないという様子が伺える。

ラストの8曲目、Into The Fireではイントロで登場するギターフレーズとキーボードによるフレージングが印象的。この曲も歌を中心としながらもいろんな場面が用意されており、変則ビートが登場したりするし、コーラスの部分ではスピーディーに疾走する様は案外KamelotArkのファンも楽しんでいただけるかもしれない。緩急の場面やテンポチェンジも配されており、構成内容も練られていると思います。歌メロはキャッチーで、ギターソロはあくまでもテクニカルな高速プレー。クリーンギターも多用しており、キーボードの導入の仕方も上手いなーと思いました。(購入盤Review)

discography:


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