SCENES
country: Germany
style/genre: Prog Metal
website: http://www.scenes.de/
related bands/artists: Hubi Meisel, Spiral Tower, Powergod, Flowing Tear, Nektarios Bamiatzis, etc.
similar bands/artists: Superior, Threshold, Crises, Dreamscape, Tomorrow's Eve, Dream Theater, etc.
artist info: 90年代の終わりから地道な活動をしているメロディアス派Prog Metalグループ



SceneS - New Beginning
Independent Release
(1999)

DreamscapeでリードボーカリストだったHubi Meiselが以前在籍していたSceneSのデモEP盤です。スタイル的にはFates WarningDreamscapeなどを彷彿とさせるメロディアス系のProg Metal音楽が展開されています。この時点でメンバーは6人編成となっております。一時期はツイン・ギターと専任キーボードを含む体制を取っていました。従来のギターオリエンテッドな伝統的Prog MetalサウンドとDream Theater風な方向性を導入しています。Hubi Meiselが情感を込めて歌っているので、Dreamscapeを始めMaeve of Connaghtを想起させる場面があります。一方ドラマティックに盛り上がるところは、部分的にドイツのIvanhoeCrisesを彷彿とさせます。プロダクション的に硬さは少し残っていますが、及第点は確実にクリアしていると思います。当然ながらテクニカルな側面を含むProg Metalが全体的に楽します。この作品には4曲しか収録されていませんが、どの楽曲もロングフォームの形態をとっています。めまぐるしく展開するタイプというよりは、ところどころで凝った演奏を繰り出しつつ聞き手をグイグイ引っ張っていくアプローチを取っています。人によっては、1曲1曲が長いのでもう少しコンパクトに纏めたほうが分かりやすいのでは?と思うかもしれません。何回も聴いて味わっていくことによって、良さがにじみ出てくるタイプです。個人的には、SceneSのアンサンブルが濃密になっていくところが魅力的です。哀しみを湛えたパートが前面に出てくるところは、Dream TheaterというよりはFates Warningからの影響が強いようにも思いました。インストパートではギターを中心にしたアグレッシヴな部分で盛り上げる一方で、専任キーボーディストによるリードプレーなども登場します。この作品で展開されているサウンドと2000年以降のSceneSとでは、全く違うバンドのように聴こえるほどです。この時点では、ロングフォームの凝った作りのProg Metalサウンドを狙っていたのだという様子が伝わってきます。この後、Hubi Meiselはソロプロジェクトに専念するためバンドを離脱します。バンド自体は、メンバーチェンジを繰り返しながら現在に至ります。新体制となったSceneSは2005年にCall Us At The Number You Provideをリリースします。(購入盤Review)


SceneS - Call Us At The Number You Provide
Escapi Music
(2005)

ドイツのメロディアスProg Metalバンド: SceneSの正式な1stフルレングス・デビューアルバムです。このグループは90年代の終わりごろから活動を続けており、このアルバムを出すまでに2枚ほどデモ作品をリリースしています。過去にこのグループのシンガーとして元DreamscapeHubi Meiselが在籍していた時期があったので、興味を以前からずっと持っていました。1stデモ作品のNew Beginningで既に彼等が得意とするコンプレックス且つメロディアス指向のProg Metalが展開されており、その後音沙汰が暫くなかったので自然消滅していたのだと思っておりました。ところが、突如このアルバムを引っさげて、2005年に堂々とProg Metalシーンにカンバックしました。作品のプロデュースは主にバンドメンバーが担当していますが、ミックスやマスタリングはMetalシーンでは高名なTommy Newtonが担当しているので、出来上がりやバランスは大変上々です。

デモ作品ではSuperiorDreamscapeにも匹敵しそうなコンプレックスでテクニカルなものが前面に出ている印象が強かったのですが、この1stアルバムは割りと楽曲指向のものが中心となっています。しかし、決して演奏が大人しくなったという訳ではなく、アンサンブルやソロが活躍する場面も登場します。このアルバムで落ち着くまでにシンガーがHubi MeiselNektarios Bamiatzis、そして現在のAlex Koch (元Spiral Tower/Powergod)と変遷をしているので、最初聞き始めは何か違和感というか落ち着かないような部分もありました。ややこしいことに前任者のNektariosがリードを務める楽曲が2曲ほどあり、その"My Own Life"と"Save The Light"がこれまた良いと感じました。Alex Kochは前任者達と比べてしまうと、ジャーマンメタル系の音楽にはマッチングしていると思うのですが、SceneSのようなタイプの音楽に必ずしもフィットしていないのかもと当初は違和感を感じました。結果的には、聴き進めるとグループが現在のシンガーとして頑張っている様子が伺えますし、ストレートな側面を出すところでは悪くないと思うようになりました。それからアルバム最後のナンバー: "Nothing Left To Say (Unforgiven)"は、アップテンポで起承転結がはっきりしている良質のProg Metal楽曲に仕上がっていて好きですねー。My Own LifeとNothing Left To Sayが、この作品の中では個人的なハイライトです。

全体的には、メロディアスでコンパクトな内容を心がけていることからSuperior, Crises, Threshold, Tomorrow's Eveなどに通じる良質の楽曲や演奏が登場しておりまして大変印象が良いです。2005年に聴いた作品の中でも、お気に入りの1枚になりました。もっとテクニカルに派手なところを聴きたいというリスナーもいるかもしれませんが、緩急をわきまえていると言った風情に落ち着いたということなんでしょう。キーボードやギターのソロで活躍する場面も適所に用意されていますし、演奏だけを抽出して聴いても充分楽しめるパートは多いと僕は思います。楽曲とプロダクションがしっかりしているところと、アクセントとしてシンセ・キーボードなどによるエレクトロニックな味付けを、うっすらと隠し味としてまぶしているところも興味深いと思いました。ドイツのProg Metalグループが好みのリスナーには、かなり楽しめると思います。Alexが歌う楽曲では、ときおりアグレッシブな側面も加味されているのでEvergrey辺りを想起させてくれるところもありました。僕も全般的にドイツのProg Metal/Rockグループは好きですし、このアルバムではドイツのメロディアスHR/HMグループにも通じる分かりやすさも少なからず内包しているので、すんなり楽しめました。(購入盤Review)

PILGRIM WORLD推薦盤

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