SHADRANE
country: Multi-National (France, Netherlands, United States, Sweden, etc.)
style/genre: Prog Metal, HR/HM, New Tendencies, etc.
website: http://www.shadrane.com/
related bands/artists: Mind's Orchard, Lalu, Joop Wolters, Goran Edman, Martin LeMar, Bissonette Brothers, etc.
similar bands/artists: Hubi Meisel, Lalu, Shadow Gallery, Symphony X, Sun Caged, Dream Theater, etc.
artist info: Vivien Laluを中心に2001年に結成されたドラマティックなProg Metalプロジェクト。



Shadrane - Temporal
Lion Music
(2008)

かつてはMind's Orchardなるバンドで活動していたフランス出身のキーボーディスト: Vivien Laluを中心とした待望のProg Metalプロジェクトによる最新作。2005年にLalu名義でOniric Metalをリリースして既に話題になっていましたが、Shadraneの作品として世に出るまでに我々の知らないところで紆余曲折を経ていたようです。一時はアルバムの発売はどうなるのだろうか?と不安になりそうでしたが、こうして遂にLion Musicを通してシーンに出現する運びになったのは喜ばしい限りです。元々はKharmaという名前でプロジェクトをスタートしたそうですが、デモ作品「Neurastasia」の制作にも関わった元DreamscapeのシンガーHubi Meiselの助言もあり、最終的にはShadraneという名前に落ち着くことになったそうです。

Shadraneのスタイルは、非常に充実したドラマティックなProg Metalサウンドに仕上がっています。それもその筈で、各方面から逸材がズラリと勢揃いしているのが驚きであります。Vivien Laluの良きパートナーとしてプロジェクトの核となっている元ArabesqueのギターリストJoop Woltersが大活躍しているのは、これまでの経緯から納得の選出となっています。Joopは、Vivienと並んで共同プロデューサーとしても名を連ねています。リズム隊はOniric Metalアルバムの時とは異なり、あのDavid Lee Rothバンドなどで著名なGreg Bissonette (dr)、そしてMatt Bissonette (bass)の実力者が主にバックをサポートしていますが、流石の安定感と充実したプレーです。基本的には、プロジェクトを取り仕切るVivien Laluを含めて、これらの4人がコアな中心核を形成しています。

最初の段階ではボーカルパートは全てGoran Edmanが取り仕切るようだったみたいですが、DarkwaterHenrik BathTears of AngerBjorn Janssonもリードボーカルを担当している曲が数箇所あります。Oniric Metalでも歌っていたTomorrow's EveMartin LeMarが2曲ほどバッキングボーカルを担当しています。その他のゲスト陣も興味深い人選となっておりますね。James LaBrie BandからMarco Sfogliによる技巧的なギター・ソロが数多く登場します。どういう経緯なのか分かりませんが、3曲ほどVirgil Donatiもドラムを叩いています(多分Marco Sfogliの紹介かもしれませんね)。Vivienの友人関係だと、ハード・フュージョン界に新風を巻き起こしているイタリアの鍵盤奏者Alex Argentoが2曲ほど流麗なキーボードソロで目立った働きをしています。Shadow GalleryサイドからはGary Wehrkampが、14曲目の「Gallery 2008」で印象的なシンセ・リードを弾いています。ゲストを含めて、たくさんのミュージシャンが参加していますが、ちゃんと一本筋が通っているおり内容がぼやけてしまっているということは皆無のように思います。

Shadraneの「Temporal」は、1940〜1942年頃の戦時中を舞台にしています。特別な任務を受けていたアメリカ海軍の潜水艦「モーフィアス」を指揮していたJack Dakerとハワイ在住の日系人女性Madoka Okuyamaとの麗しい出会い。その一方でJackの部下ではあったが、次第に上官に対する屈折した憎悪を剥き出していくPaul Brodsenなどに焦点を合わせながら、彼らを取り巻く緊迫した状況や悲劇といったものが、ストーリーラインに取り入れてあります。あえて登場する楽曲は、物語の時系列と並走する形にはしてありません。テーマとしては当然、戦争によって引き裂かれた人間関係、哀しみ、罪責の念、贖罪といった様々なものが含まれています。モノローグや会話といったものも所々で挿入されていますが、聴いていて特に妨げになるようなことはないでしょう。詳しいストーリーやバックグラウンドに描かれているものは、サイトやブログにも紹介されています。

コンセプト・ストーリーという作品の性格上、かなり長大な内容かというと実はそうではありません。アルバムはトータルで約55分ほどの長さですが、終始流れはスムーズで心地よく聴くことができました。各楽曲は割りとコンパクトに作られており、殆どのものが4分台。長いものでも5分台が2曲程度、というのが意外といえば意外だったりします。スピーディーでテクニカルなパートでは、そういった時代の波に翻弄される登場人物の内面を表現していると思いました。またハードでヘヴィに攻勢をかけてくるProg Metal路線を貫いている部分では、やり場の無い怒りや戸惑いのようなものも上手く描写しているようにも思いました。そうかと思うと、平安で安らぎに満ちた柔和で優しい部分も見出せますし、ある場面ではポップス系のメロディーや雰囲気を醸しだしているところもあります。全体の雰囲気から言うとVivien自身も関わっていたHubi MeiselEmOceanや自身が過去にリリースしたLalu - Oniric Metal辺りが一番近いと思います。各楽曲がそれぞれ分かりやすくソリッドに構築されているので、コンセプトを意識せずに楽しめる作りになっていると思います。

個人的には、もっとド派手に目まぐるしい難解な変拍子をガンガン導入した路線を想像していましたが、結構あっさりとしているようにも感じました。Prog Metalタイプの音楽にしては、割とストレートな佇まいのサウンドに仕上げています。その一方、ストーリー作品というと取っ付き難いイメージを持っている人にも楽しめるようになっているのは流石かなと思いました。極力ボーカルのメロディーや楽曲を中心に丁寧に作られているように思いました。個人的には、Shadow GallerySymphony Xのようなドラマティックなタイプの音楽をコンパクトに分かりやすくしたような印象も持ちました。当然Dream TheaterSun Caged等のサウンドが好きな人やメロディアスなHR/HM系が好きなリスナーへのアピール度も高いように思いました。各プレーヤー陣のせめぎ合いは、他の超絶技巧タイプのProg Metalグループは割と少なめかもしれませんので、その辺りで物足りないと感じる人もいらっしゃるかもしれません。でも要所において、コンプレックスで濃密なパッセージを繰り出しつつ・絡み合う場面は登場するので、その点では自分は納得しました。ボーカルによるメロディーラインと演奏の両方ともしっかりバランスを考えて、プロダクションも大変良好ですし楽曲のアレンジメントは良く考えられております。2008年にリリースされたProg Metal作品の中では、良質な部類の一枚としてお薦めしたいですね。待ったかいがある力作になってます。http://www.myspace.com/shadrane (プロモ盤Review)

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