Soul Secret - Flowing PortraitsProgRock Records
(2008)
イタリア出身の新人Prog Metalグループによる1stアルバムです。ここ最近は、様々なシンフォニック系ロックやProg MetalグループのCDをたくさん紹介しているProgRock Recordsより、2008年にデヴューしました。ご存知のようにイタリアからは、これまでに多くの良質なProg Metalグループが登場していますが、また新しい有望株が登場したと言えるかもしれません。ブックレットには4人のインスト陣とゲスト・ボーカリストがクレジットされていますが、歌詞やボーカルのアレンジはMichele Serpicoと名乗る人物が担当しています。色々と事情があるのでしょうが、Soul Secretは現在のところ正式なメンバーは楽器を担当する4人のみとなっています。最初のフルレングス・アルバムということで、どの若手Prog Metalグループにも言えることですが、非常に元気ハツラツとしたパワフルなProg Metalサウンドが展開されているところがポイントとなっています。アルバムは5曲目のバラード調のものを除くと、どの楽曲もロングフォームの形態を取っており意欲的な姿勢を見せています。
1曲目の"Dance of The Waves"の冒頭部分を聴いている限りは、パワーメタル色を強調したProgPower路線を狙っているのかな？と思いました。しかし、次第に場面転換や展開するパートが登場するに及び、聴いていて大変頼もしいなーと嬉しくなる場面が多かったです。他のイタリア勢と同じく、彼らもDream Theaterが確立したフォーミュラを取り込みつつも、自分達のカラーやオリジナリティを融合させたスタイルに挑戦しています。割と親しみやすいメロディーやボーカルラインのせいか、欧州のメロディック・メタル系が好きな人にもアピール度が高いような気がしました。彼らの場合は、そういった要素に止まることなく、変拍子やテクニカルなインストパートが活躍する場面も多いので、その点は個人的に楽しめました。特にインスト陣が一斉に攻勢をかけつつ、絡み合うパートを中心に盛り上がるところは素晴らしいです。ボーカルの声質や曲調のせいか、場面によってはStramonioやMind Key, Moonlight Comedyなどを想起させたりします。メロディアス・メタル的な要素が強くなったりするところでは、なにやらEbony Arkなどに似ているかもしれないと感じたりしました。
アルバムは全曲で6曲ほどでありますが、時間的にはちょうど良い加減になっていると思います。序盤は前述したようにメロディックパワー系にも通じるストレートな形で始まり、次第に次第に緻密且つ躍動的な部分が目立って盛り上がりを見せてくれます。Prog Metalファンには、こういう路線で展開してくる手法を期待したくなるのでは？。自分の場合は、こんな感じで音楽が流れていくのは大好きなんで、まさにツボでした。メリハリを効かせるためか、動ばかりでなく静のパートやオーケストレーションを施した場面やアコースティックでクリーンなギターサウンドを挿入させたりと、飽きさせないように努力をしている形跡を見ることができました。全体を眺めてみると演奏的には非常に元気良く、テクニカルな演奏から導き出される躍動感が漲っている部分は、Soul Secretが持っている強みと言えます。
プロダクションに関しては、もう少しだけ奥行きや艶めいたエレガントな部分が欲しいところもありました。ですが、全体的には割りと良好だったので、個人的には気になるほどではありませんでした。充分ダイナミックなものは出せているので、最初のアルバムとしては及第点をクリアしていると思います。メロディアスで正統的な路線のProg Metalサウンドが好きなリスナーには、きっと楽しめるのではないでしょうか。イタリアン・メタル系に目が無いHR/HMファンにもアピールする要素は結構ある筈です。次回はより自分達の路線を絞って、素晴らしい作品を引っさげてシーンで活躍して欲しいと思います。今後に期待したいニューホープの一つとして、頑張ってもらいたいですね。http://www.myspace.com/soulsecretband (購入盤Review)
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