SPLEEN ARCANA
country: France
style/genre: Prog Rock, Symphonic Rock, New Tendencies, etc.
website: http://www.spleenarcana.com/
related bands/artists: Julien Gaullier, David Perron, Marie Guillaumet, etc.
similar bands/artists: Phideaux, Porcupine Tree, Anathema, Pink Floyd, etc.
artist info: Julien Gaullierを含むProg Rock系プロジェクト。メランコリックな音像と親しみやすい楽曲の両立を目指している。



Spleen Arcana - The Field Where She Died
Independent Release
(2009)

フランス出身のJulien Gaullierを中心にしたProg Rock系プロジェクトの1stアルバムです。元々は色んなバンドなどで活動をしていた人ですが、紆余曲折を経てSpleen Arcanaでの活動をメインに行っています。ドラムや女性ボーカルがゲストに迎えられていますが、殆どの楽曲の制作や演奏はJulienが担当しています。最初はバンドとは違うような気がして、聴く前はプロダクション自体がどうなっているのか全くの未知数なところがありました。しかし、この「The Field Where She Died」は、音全体が大変よく出来上がっていると思いました。心配するには、及びませんでしたね。スタイル的には、アート・ロックと現代的なヘヴィロックを融合した形と言えるかもしれません。例えて言うなら、AnathemaPink Floydの中間地点にいるような感じでしょうか。メランコリーさと独自性を加えているタイプです。テクニカルな演奏や、忙しい楽曲展開などミュージシャンシップを競い合う場面は皆無です。長い時間をかけて、じっくり取り組んだのでしょう。音作りは、非常に安定しています。ドラムは打ち込みではなく、ゲストのDavid Derronによるパフォーマンスで機械には出せない躍動感を生み出しています。マルチ・レコーディングという手法を取っていますが、まるで生のバンドが演奏しているように工夫しているところが良いと感じました。

Julienが、元々どの楽器を担当していたのかは流石に分かりません。ですが1994年ぐらいから独学で音楽や楽器を地道に習得していったそうです。派手なテクニックやソロは殆ど出てきませんが、各楽曲が持っている旋律を大事にしている感じが致します。Spleen Arcanaの場合、基本的に少し尖った感じのギターサウンドと硬めのベース音、そして気だるいボーカルが目立つアプローチをとっています。声質は、ほんのちょっぴりAyreonArjen A. Lucassenぽいかな?。3曲目だけデスメタル系で聴かれるようなグラント声が登場しますが、凄く短めなので安心してください。エレピや揺らぎのあるレズリースピーカーを通したようなオルガン、メロトロン風の懐かしいキーボード・サウンドも少しずつ登場するのは新鮮です。この辺りは、Julien Gaullier自身の中にある往年のプログレへの憧憬を見ることができます。

アルバムの後半以降は、最近のモダン寄りなロックやオルタナティヴ・サウンドを通過したところもあります。モダンなロックみたいな要素は苦手という人にとっては、ピンと来ない場面も確かにあるかもしれません。アルバムには5曲しか収録されていませんが、2曲目のMissing Pieceを除いて長い形態の楽曲ばかりです。不思議と聴きやすいというか、長すぎてダレてしまう感じはありませんでした。ピアノやアコースティックギターをふんだんに使った静か目な側面もあります。こういったクリーンで大人しめのサウンドはMarillionGazpacho辺りの楽曲にも通じるかもしれません。難解な楽曲や激しい演奏展開は殆ど無いにも関わらず、一つ一つの曲は聴き手を引き込む場面が用意されていると思います。誤解を恐れずに言えば、SylvanU2みたいな感じが好きな人をも振り向かせるかもしれません。一見ストレートに聴こえる楽曲の中にも、音の強弱やテンポの変化などスパイスを加えています。こういった部分は、Spleen Arcanaの強みかもしれません。

個人的なハイライト曲は、真ん中に収録されている3曲目のA Picture of Two Lovers In The Mistですね。起伏が凄く激しい訳ではないのですが、場面の切り替えや移行の仕方が上手いです。静かなパートから激しく揺さぶるようなTiamatAyreonをあわせたみたいなセクションに移動し、その後で穏やかなパートへ変遷していくところは面白いですね。そして、もう一つのハイライトは5曲目のA Kind of Heavenです。ところどころで登場する柔和で、ふくよかなシンセ・リードが素晴らしい。他にもオルガン、キーボードの音色を中心にジワリジワリと盛り上がるところも良いですね。この曲では、長めの印象的なギターソロも出てきて最後に意表を衝かれた感じ。またマンドリン(?)みたいな弦楽器、男性コーラスのような歌声、パーカッションを含めて、色んな音がタペストリーのように重なってきたりします。アルバムの終盤をドラマティックに演出しています。

楽曲それぞれはシンプルですが、このアルバム「The Field Where She Died」には、色々な仕掛けを施しているのが特徴です。飽きさせない構成を心がけているように思いましたね。長い時間をかけて丁寧に練ったアルバムなので、リスナーによっては聴けば聴くほど、魅力が増して来るのではないでしょうか。正直言いますと、初回この作品を通しで聴いたときの衝撃度は大きくなかったんです。ところがジワジワと浸透してきて、楽しめてくるから不思議です。往年のProg Rockから影響を受けて、テクニカルなシンフォニック・ロックを色んな形で表現しているグループが欧米にはたくさん存在しています。しかし、このSpleen Arcanaの場合は、モダンな側面という切り口で勝負をしたというのがユニークですね。私自身が普段好んで聴いているタイプとは随分違うのですが、最終的には随分嵌っちゃいました。AnathemaGazpachoPorcupine TreeNoSound、そして90年代以降のMarillion辺りを好んで聴いているリスナーには、何かを感じ取っていただける筈。よく出来た作品だなあということで満足に至りました。好みのタイプかどうかはリスナーによってそれぞれだと思うので、ぜひMySpaceなどでチェックしてください。http://www.myspace.com/spleenarcana (プロモ盤Review)

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