SPLINTER
country: The Netherlands
style/genre: Symphonic Hard, Prog Rock, New Tendencies, Prog Metal, etc.
website: http://www.splinteronline.com/
related bands/artists: Jonas Reingold (Karmakanic/The Flower Kings), etc.
similar bands/artists: Spock's Beard, A.C.T., Transatlantic, The Flower Kings, Karmakanic, etc.
artist info: オランダから登場した新しいタイプのシンフォニック・ハード系グループ。



Splinter - Dreamers
Independent Release
(2007)

既に過去に2枚ほど自主制作でCDをリリースした経験のあるシンフォニック・ロック系グループによる最新作です。2005年度のHeadway Festivalで新人ながら堂々としたライブ・パフォーマンスが、今でも目に焼きついているかのようです。ステージで見た彼らは、Spock's BeardA.C.T.のエッセンスを持ったHard Prog風のサウンドで時にProg Metalに通じるコンプレックスな度合いを特徴としていただけに、気になる新人グループのひとつでありました。今回の作品のセールスポイントの一つとして、The Flower Kings/Karmakanicでお馴染みのJonas Reingoldがプロデュースを手がけたということが真っ先に上げられるかもしれません。個人的には誰がプロデューサーなのか・・ということよりも、彼ら独自のスタイルを保持しているのか?。または、ある種の変貌が見られるのか?ということが気になるところでありました。蓋を開けてみると、こんなに引き出しの多いバンドだったのかと嬉しい驚きでワクワクしてきました。

スタイル的には上で挙げたようにSpock's BeardA.C.T.に通じるシンフォニック・ハード路線の音楽と言っていいでしょう。Jonas Reingoldが関わっているので、ほのかにThe Flower KingsKarmakanicなどへの共通点も見出すことができます。オープニングの「Goodbye」という曲は、Spock's BeardやNeal Morseがプレーしそうな雰囲気です。元気ハツラツとしたシンフォ系ハードなサウンドが、リスナーの心を掴むはずです。ライブでは音の作りはハード目でテクニカルな部分も前面に出していたので、ライトな感覚を持ったメロディアスな新手のProg Metalグループというイメージが強かったのですが、どうも作品を聞き進めていくうちに彼らへの印象がドンドンと変わってきました。

Dreamersアルバム全体に流れるムードは、シンフォニックなロックなんですが、時折ハードなProg Metal側面も見せることがあるという程度で極力へヴィーにならないように抑えているという感じです。一方、2曲目の「Bio Engine」は、彼らの中では割とハードな側面が強いです。ある意味Vanden Plasに通じるかのような煽情性の高いProg Metal的なものを感じることができましたが、このアルバムでは例外の部類に属するものでしょう(ただしVanden Plasにサウンドが似ているというわけでは無いのでご注意を)。要するに、新しい感覚のシンフォニック系ロックを演奏するグループなのだなーと認識を改めつつあります。これはプロダクションによるものなのか、Jonasのアドバイスに従ってシンフォ系路線に照準を合わせた結果なのかは分かりません。が、結局のところProg Metal的な部分は要素の一部分にしか過ぎないということなのでしょう。彼らの根幹にあるものは、あくまでもハードで技巧的なスタイルも含むシンフォニック・ロックなのかもしれません。

オランダのバンドは、歌メロを大事にしている魅力的なグループが少なくないですが、このグループも歌とメロディーがしっかりしていて素晴らしいですね。それでいてキャッチーで親しみやすいというのは、FocusAyreonなどから受け継いでいる伝統なのかもしれません。嬉しいことにキーボードとギターを中心にソロで活躍する度合いも多いですし、バンドの演奏形態はコンプレックスで躍動感を生み出すところも随所で登場しているので気に入りました。キーボーディストのMenno Broer van Dijkが活躍するところはシンフォ系の叙情的な味わいを上手く出しています。またDidier Kerckhoffによるギターのソロが前面に出てくるところは、Prog Metal的と言ってよい痛快さです。Prog Metalリスナーの感想から言うと、8曲目の「Korsakov」ではシンフォ寄りなProg Metalテイストみたいなものを感じることができました。また組曲形式のロングフォームの楽曲が2曲用意されており、ハイライトとして捉えることができます。3曲目から6曲目は「Reflections」。9曲目から11曲目は「The Devil's Advocate」といった具合に過去にリリースされた中でも彼らが武器にしているものを新しいバージョンとして収録しています。

いやー全体的な流れもスムーズですし、演奏面・楽曲面の両方のバランスは高い次元で保たれていますね。現地で僕も確認しましたが、オランダは色んな世代の間でシンフォニック・ロックの人気が高い国として知られております。以前紹介したOrpheo、そして今回紹介したSplinterのように大学生を中心に若い世代にも、着実に良質な文化や伝統が正しく手渡されていることが良く分かります。色んな意味でオランダという国は懐が深いなーと興味は尽きません。このDreamersは、彼らの集大成だけでなく新しい方向性を感じることが出来ます。短めの曲もロングフォームの曲も大変アピール度が高く、僕は心底堪能できました。純粋なシンフォニックロックという枠にスッポリ入るわけでもないし、純粋なProg Metalというのとも大分異なるという感じです。新たな可能性を見出すことができるか期待して見ていきたい存在です。ちなみに限定盤の『Dreamers』はCDとボーナスDVDが一緒についていますよ。(プロモ盤Review)

PILGRIM WORLD推薦盤

discography:


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