Stormental - s/t
Independent Release
(2005)
ブラジル出身の4人組Stormentalによる1stアルバムです。ここ数年というもの、ブラジルからの活躍が大変目立ってきました。MindflowやThesseraといった大変有望なProg Metalグループが登場しておりますし、プログレ系のグループとしても高名なSagradoだけでなくSleepwalker Sunといった若手なども登場と気運に乗じて、有望株がゾクゾクといろんな所から登場しています。90年代からSepulturaやAngraを輩出したことにより、ブラジルは既にHard Rock/Heavy Metalシーンの中では有望な人材やグループが活躍しているということで注目を集めていることは説明しなくても、皆さんがよくご存知だと思います。さて、今回紹介するStormentalは、欧州のメタル雑誌では最近よく名前をみかける存在としてレヴューで見かけることが増えてきました。日本でもおそらく輸入盤をチェックしているパワーメタル系を好むファンやブラジルシーンに注目をしているリスナーには、知られていると思います。全体を聞いて思ったのは、このグループはPower Metalと括りきることは出来ないなーと思いました。確かにスピーディーでアップテンポな演奏形態が目立っており、この辺りはAngra等の影響や欧州のメロディックパワー勢からの影響も同時に感じます。しかし、ブラジルという土地はボサノバや地元の豊かな音楽シーンからも分かるように実は結構テクニカル指向のミュージシャンも数多く存在しています。Prog Metalに通じるエッセンスも、ところどころで感じさせますし、時には難解なパッセージを繰り出したりすることもあり、ProgPower Metalと表現したくなる演奏形態も顔を出しています。しかし、かと言ってDream Theaterの影響がさほど濃い訳でもないような気がします。Dream Theater系のタイプという感じかというと、大分印象は違うところにあります。むしろイギリスのAwakeやスウェーデンのEvergreyぽい風情に近いときもあるという印象です。パワーメタル的要素が濃いのは当然なんですが、それだけに限らず、彼等の場合はミュージシャンとしての引き出しや資質は高いという様子も肌で感じ取れると思いました。表面的にはAngra的なリズムにも強いPower Metalの要素とメロディックパワーの部分が圧倒的に濃いと言えるでしょう。隠し味的にさらりとProg Metal風味も顔を出すという風に僕は捉えました。ルーツ的には、メタルという素地が強いのでProg Metalの中にプログレ指向を求めるリスナーには、余り楽しめない部類かもしれないところは注意しておいてください。アップテンポ且つスピーディーなところは、他の欧州の若手パワーメタル勢に通じる一方、どこかIron Maidenへの敬慕の念を秘めているとも思いました。個人的にはもっとProg Metal的パートやテクニカルに突進するところも期待しそうになりましたが、そういう部分で期待しすぎない方が良いでしょう。デビュー作としては頑張っていました。さらに色んな要素を組み込んで次回に繋いでもらいましょう。(プロモ盤Review)