SYLVAN
country: Germany
style/genre: Prog Rock, Hard Prog, Prog Metal, New Tendencies, etc.
website: http://www.sylvan.de/
related bands/artists: Temporal Temptation, Rain For A Day, etc.
similar bands/artists: Marillion, Forgotten Suns, Ivanhoe, Triangle, Pain of Salvation, Fates Warning, Abydos, etc.
artist info: コンスタントに活動を続けている実力派Neo-Prog/Symphonic Hard系バンド。



Sylvan - Posthumas Silence
Point Music/ProgRock Records
(2006)

ドイツ出身のNeo-Prog/Prog Metal系バンド、Sylvan。彼らにとって会心の一撃となるであろう、渾身の通産5枚目となるアルバム。以前はAngular Recordsに所属していたが、どうやらこのレコード会社も現在はビジネスを停止している様子。しかし、Sylvan自体は、アルバム枚数を重ねる毎に内容を充実させることに成功しています。特に3枚目のArtificial ParadiseでNeo-ProgシーンとProg Metalシーンでも大きく脚光を帯びたことで、その名前を轟かせています。私自身は、彼らの1stアルバム「Deliverence」におけるNeo-ProgサウンドとProg Metalサウンドの融合や、時にはそれらの対比を念頭に展開されている楽曲に興味を持ったのが、このバンドに対する印象でした。暫く、彼らの音楽への接点が無かったものの、評判も大変高かったので、とても久しぶりに最新作であるPosthumas Silenceにトライしました。ム!、こ・これは!、・・・うわぁ〜非常に素晴らしい出来上がりになっているではありませんか。一発で気に入りました。Neo-Progサウンドが好きな人は、間違いなくこれは嵌まれると思います。しかし、Sylvanは単なるNeo-Progスタイルのサウンドというくくり方はできないでしょう。Marillion + Pain of Salvationとでも言いたくなるような雰囲気が漂っていると思ったと書けば大げさかな?。アルバム全体もコンセプトが貫かれており、テーマ的にもMarillionのBraveからインスパイアされていると思います。ですが、彼らが以前から培ってきたNeo-ProgとProg Metalの融合と、その対比は大事にされておりますし、さらに一歩プログレスしたかのような洗練されたサウンドと、演奏展開で新鮮です。ただし、Prog Metal的なものを前面に打ち出してはいないので、派手目のProg Metal指向を好むリスナーには余りピンと来ないかもしれませんので、その辺りは注意が必要です。ですが、この作品は全体的に味わっていくと、盛り上げを見せる凝ったアンサンブルを中心に、静かなパートやアコースティックな部分に至るまで、非常に細部まで練りこまれた意欲作です。特にKeyboardistのソロワークスを始め、ピアノやシンセリードに至るまで見事な演奏に心を打たれます。エピックな楽曲と演奏形態の中には、Neo-Prog Metalサウンドという具合に形容したくなるような、うっとりするようなトキメキ(?)というか、メロドラマティックな部分も開花しております。1stの頃の彼らと比べるのは、Sylvanに失礼なほど充実した完成度に酔いしれることができました。いやはや、これはお見事だと個人的には思いました。味わい深い作品が今年はたくさんありますが、この作品はその中でも取り組みがいのあるアルバムですね。Sylvanの最近の作品もチェックせねばならないなーと思いました。私の次のターゲットは、3枚目のArtificial Paradiseということになりそうですね。Neo-Prog路線とProg Metalサウンドの両方が大好きなリスナーには、特にお薦めです。個人的には、2006年度上半期ベスト10に選出したい勢いです。(プロモ盤Review)

PILGRIM WORLD推薦盤


Sylvan - Presets
Point Music/ProgRock Records
(2007)

ドイツはハンブルグを拠点に活動しているNeo-ProgressiveグループのSylvan。前作「Posthumas Silence」に続く、彼らの最新作「Presets」が欧州を中心に注目を集めています。話題作ということで、レヴュー用に繰り返しヘヴィローで聴いてみました。結論から言いますと、「こ!これは!!・・・スンバラシイですわ」というところに到達します。繰り返し聞けば聴くほど味わいが増し、さらに深まってくるかのようで嵌ることができました。前作のPosthumas Silenceも完成度が高く、極上だったので高いクオリティーを保持するのは難儀だったと思いますが、新作は聞き手によってほぼ同等か、それを凌駕していると感じるリスナーもいるかもしれません。実は、この作品は前作とほぼ同時期に作られておりまして、厳密に言うと制作期間のインターバルは余り無かったみたいです。むしろ同じ年に出さずに、別々の年に出すというのは、リスナーにとって音楽を堪能する上で必要だという配慮が働いたのだと思います。この選択は大正解です。面白いことにレコード盤のような形で、サイドAとサイドBという2つの部分で大きく分けています。コンセプトやテーマ的には、環境問題なども巧みに織り込んでいるような気配も感じました。

前作がコンプレックス路線のドラマティックなNeo-Prog Rock/Metalサウンドたったのに対し、新作「Presets」の場合は、モダン・コンテンポラリー路線と楽曲嗜好を中心にしたものになっています。メロウなNeo-Progressiveサウンドと言って良いでしょう。言い換えれば、今回の作品に関しては難解な曲構成やテクニカルな演奏路線とは違うところにあります。そちらを期待してしまうと、新作の良さを見失ってしまうと思います。まず前作と比べると短めの曲で構成されているものが殆どなので、プログレ系どころかロックに馴染んでいない人にも聴きやすいのではないでしょうか。キャッチーでフレンドリーな楽曲が前作よりも目立ちます。特に"For One Day"辺りは、U2Coldplayに通じるところがあります。欧州のメインストリーム系のラジオ曲でオンエアされても不思議ではない親しみやすさを用意していて、ある意味Art Rock/Prog RockとMainstream Rockの架け橋のようなところを狙っています。 決して派手なこととかやっていないのですが、プロダクションも音作りも凄くいい仕上がりになっています。歌モノとしても非常に完成度が高いです。

特に1曲目のOne Step Beyondと2曲目Signed Awayで感情をまず揺さぶられます。3曲目のFor One Dayは、コーラスパートやサビの部分は、一面に白銀の世界が広がるような感じで爽快な気分が味わえます。上でも触れたようにU2Coldplayの世界観が好きなら楽しめますし、ゲストのチェロ奏者による泣きのフレーズが秀逸です。5曲目のOn The Verge of Tearsバラード風で歌とピアノのブレンド感がいいです。次第に波が押し寄せてくるような感動の予感的な効果はMarillionなどに通じます。8曲目のCold Sunsは、Marillionの「Brave」や「Afraid of the Sunlight」辺りの影響下にあるかもしれませんが、こちらもメロディアスでメロウなサウンドが特徴です。アルバムの後半、最後のタイトルトラック "Presets"のみ、プログレッシヴ・メタル風でロングフォームな展開も待ちかまえています。とは言ってみたものの、最後に収められている楽曲Presetsを実はよく聴いてみるとProg Metal的展開のところは、聞き直してみるとあんまり長くないので注意してください。オール・ラストを飾るにふさわしいダイナミック且つ美しさをも含んでいます。

ドイツのNeo-Progressiveシーンを牽引する地位まで登りつめて来たかのような活躍を発揮しています。特にサイドAの前半、それからサイドBの前半辺りは真剣に聞いていたら、泣き崩れてしまいそうなぐらいエモーショナルでディープな感じです。RiversideWolverinePorcupine TreeMarillion辺りが好きな人は、スゴク楽しめるんじゃないかと思います。全体的に「エモーショナル&メロウ」が、全体をズバっと貫いていて潔いほどです。この勢いだと今年のベストアルバム候補は、いきなりこれに決まりかもしれません(感想としては、ちょっと興奮気味ですね)。しばらくこれで、どっぷりとのめりこみそうな感じで、超お勧めアルバムです。SylvanのMySpaceで彼らの新作から音源がチェックできますよ。(プロモ盤Review)http://www.myspace.com/sylvanhome

PILGRIM WORLD推薦盤

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