SYMPHONIA
country: Japan
style/genre: Prog Metal, Hard Prog, Melodic HR/HM, etc.
website: http://symphonia.edisc.jp/
related bands/artists: Lightjab, Freewill, 六合, Tyrant, etc.
similar bands/artists: Sahara, Jeremy, Shadow Gallery, Angra, Dream Theater, A.C.T, etc.
artist info: ドラマティック且つメロディアスな旋律と楽曲構成を得意とする、東京出身のProg Metalグループ。



Symphonia - The First Movement
Independent Release
(2006)

東京を拠点に活動をしているSymphoniaが、遂に1stフルレングス「The First Movement」を完成させました。彼らは、ここ数年間、メンバーチェンジを繰り返しながらも、コンポーザー兼リードギターリストのshuを中心に、地道な努力をコンスタントに積み重ねてきておりました。今回紹介するSymphoniaのデビューアルバムですが、これまでの成果をフルに発揮した充実した内容を全7曲で提示していると思います。楽曲一つ一つが丁寧に作られていますので、個人的には彼らの音楽を楽しんでおります。まず驚かされたのは、ボーカル・メロディーを始め、楽曲や歌詞の世界観などを含めトータル・バランスが新人という域を既に越えているということでしょう。彼らの場合は、グループでの活動を国内に限定せずに、海外にも打って出ようという意気込みや、ポテンシャルの高さも秘めていることを如実に感じさせます。

いろんな表現力と実力を兼ね備えたギタープレーヤーにしてリーダーのshuが、このグループの大きな原動力且つ、生命線であります。リードボーカリストとして表現力も確かなD.A.I.や、正式メンバーとして参加を表明しLightjabTyrantなどで活躍をしている技巧派ベーシストMasato達が底辺を支えています。このグループは結成から現在に至るまで、新人とは信じ難い音楽技術と演奏能力を持っている若手のツワモノが揃っており、それぞれのプレーヤーとしての実力を高く評価したいです。オープニングの「Stardust」ではゲストミュージシャンとして、数人の音大生で構成されたストリングス・セクションやピアノ・フォルテを担当するプロのミュージシャンも参加しています。サンプラーにたよらないで、リアルな弦楽器を見事に導入し、バンドとの演奏と相まって、この1曲からも意欲的なムードが出ているところも、個人的には目や耳を引かれるところがありました。このアルバムでは、Kentaroが縦横無尽のリズムセクションとしてドラムを叩いておりましたが、次のアルバムではFreewill/六合などで活躍をしている技巧派ドラマーのsinが参加を表明しています。

Symphoniaの場合は、それぞれがプレーヤーとして素晴らしいものを持っていますが、決してテクニカルな演奏面ばかりに偏ったりしないところが、注目すべき点でしょう。親しみやすいメロディーやドラマ性、そして楽曲の緻密さや繊細さを大事にしております。一方ここぞというところでは、楽曲によっては濃密で技巧性の高い演奏展開が充分楽しめるので、Prog Metalリスナーやファンにはたまらないと思います。音楽面やスタイルにおいては、既に自分達の個性をしっかりと持っており、日本人が持っている独自の柔和で包み込む繊細さやエレガントな要素も加味しているところがオリジナリティとして顕著なところと言えるのではないでしょうか。演奏陣が時折見せるテクニカルな部分や、ドラマティックな側面だけをパーツごとに見ていくと、AngraDream Theaterに通じる部分は勿論ありますが、Symphoniaのスタイルで上手く纏め上げているところがポイントでありますね。興味深いところとしてはD.A.Iの歌うボーカル・メロディー、トーナリティーの観点から見ていくと、なるほどA.C.TのシンガーJerry Sahlinを彷彿させるほどであります(・・・とは言っても、彼がJerryのスタイルをフォローしているという印象は全くございません)。ボーカルの観点から見るだけでも、Symphoniaが、国内のHard Rock/Metal系やHard Prog/Prog Metal系のグループとは違う印象を与えているのが面白いです。

楽曲単体で見ていくと、個人的にはスリリングな展開や構成で勝負をしているUtopiaWing of DestinyLast ThoughtsPrayer To The Skyなどが素晴らしいと思いました。やはりハイライトの一つとして、シンフォニック・ロックやメロディアスなProg Metalの両方のリスナーに問い掛けるかのようなシンフォ的な色合いを自分達の流儀で完成させた「Stardust」の出来上がりが、秀逸だと思いました。彼らの場合は、性質的に爆発的に燃え上がるタイプのものではなく、日本人ならではの繊細さと優しさを内包した暖かみのあるProg Metalと言えるのではないでしょうか。もちろん大人しい部分でとどまらずAngraArtension、そしてPagan's Mindなどにも迫るスピーディーでパワフルな楽曲もいくつかありますし、幅広く色んな側面を出しているところが、Symphoniaの強みでしょう。本当にいい楽曲だけをセレクトして、何回も聴かせる構成や流れにしています。

国内のバンドの場合、「演奏面では素晴らしいのに、楽曲が耳に残りにくいのが惜しい」というケースや、その反対のケースをよく耳にすることがあります。Symphoniaの場合は、そういった部分を見事クリアしておりますね。自分達ができる範囲で、それぞれの楽曲を素晴らしく作り上げております。Prog Metalリスナーだけでなく、Symphonic RockやHard Rock/Metal系のリスナー、そしてポップスを主に聞いている人たちにも、充分アピールする幅広い魅力を備えていると思います。日本のバンドやグループには、基本的に興味が無いというリスナーを大きく振り向かせるほどのものを彼らは持っていると言いたくなるほどです。今後も彼らの動向に注目していきましょう。(プロモ盤Review)

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