SYRINX
country: France
style/genre: Progressive Rock, French Prog, Symphonic Rock, New Tendencies, etc.
website: http://syrinx-aeon.com/
related bands/artists: Nil, Thork, etc.
similar bands/artists: Gratto, Sieges Even, King Crimson, etc.
artist info: 壮大なテーマや思想、伝説などをコンセプトに取り入れた深遠な音世界を得意とするグループ。



Syrinx - Reification
Independent Release
(2003)

NilThorkなどに所属しているミュージシャン達を中心にしたフランスのProg Rockグループによる1stアルバム。1999年にバンドを結成後は、ギリシャ神話や昔の伝承をベースに独特の世界観を持った音楽性を目指しています。まずアルバム全体を聴いて感じるのは、他の欧米のプログレ系グループとは違ったムードが充満してます。サウンド的には、躍動感のあるベースラインが登場する場面が多いのが嬉しいところ。Gordian KnotKing Crimson辺りを聴いているような感触に近いかもしれません。イギリスやアメリカのProg Rock系と共通点がある一方で、「ドビュッシーのような印象派の音楽を現代的にアレンジしたような」という風に表現したくなる場面があります。アトモスフェリックで幽玄な美を目指しているというか、孤高の世界観を構築することに成功していると思いました。聴く人によっては、掴みどころがないという印象を持たれるかも。Syrinxは、現代的な世界〜神話時代の世界をリンクさせるような音楽を試みているのかもしれません。

バンドの楽器編成は、下で紹介している2ndアルバム「Qualia」と同じといって良いでしょう。アコースティック・ギター、ベース、キーボード、そしてドラムという体制になっています。場面によっては、ストリングスやコーラス隊、吹奏楽系も使用されております。頑なまでにエレクトリックギターを使わないのは、Syrinx自体のオリジナリティを出しているのでしょう。歪みの入ったギターサウンドを避けるという手法は、彼らの場合は上手く嵌っています。極端にヘヴィでハードな音を出していない筈なのですが、インスト陣が緻密なグルーヴを押し出すところは重厚感があります。あらゆる音楽理論を駆使しつつ、異次元空間を作り出しているかのようです。

一つ一つの楽曲を把握するのは時間を要するタイプであることは確かでしょう。曲の組み立て方や演奏のアプローチは、非常によく練られているので面白い。全体的には前衛的なムードが充満しているものの、不思議なほど私は取っ付き難いとは思いませんでした。テクニカルな部分やインタープレーが顔を出す辺りは、まさにGordian KnotAt War With Selfが好きな人をも惹きつけるかもしれません。Prog Metal系のバンドの分類に入るタイプではないかもしれませんが、Sieges Evenの「Steps」みたいな感じが好きな人にもアピールするかもしれません。メロディー・ラインやビートが複雑に絡みあいながら盛り上がっていく場面を中心に自分は楽しみました。ギターとベースが主導権を握りつつ、ドラムパターンが緻密になっていくところはSyrinxのカッコよいところですね。この作品が気に入れば、きっと次のアルバムも満足していただけると思います。http://www.myspace.com/levingtiemecercle (プロモ盤Review)

PILGRIM WORLD推薦盤


Syrinx - Qualia
Independent Release
(2008)

フランスのProgressive RockグループのNilThorkなどのメンバーを含む謎のProgressive Rockグループによる通産2枚目となるアルバムです。実は不思議なムードを醸し出しているアートワークなどから「何か面白そうだなあ」という予感をさせるものがありました。フランスというお国柄などから、バンドの名前を目にするたびに気になっている存在でした。どちらかというと海外ではProg系として紹介されていたものの、実際にはプログレ系?、ひょっとしたらProg Metal系に近いサウンドなのかも?と色々と想像しておりました。Syrinxの最新作であるQualiaを入手したので、さっそく聴いてみました。結論から言うと、静謐な世界観を大事にした独特のProgressive Rockサウンドという位置づけができると思います。至るところで曲作りと演奏力の両方、聴いていて自分は唸る部分を要所で発見できました。アルバムはロングフォームのナンバーが4曲収録されています。

フランスのProgressive Rock系の音楽は、他の国とは違う独特のムードと世界観を持っていることで知られています。このSyrinxもフランスのグループが持っている独自の気風を大切にしていると感じさせます。バンドの形態もちょっと変わっているかもしれません。シンセサイザーやベース、ドラムがインスト陣の核となっていますが、同じぐらいの割合でアコースティックギターも多用しております。またフルートやクラリネットのような吹奏楽で使われるような楽器を始め、コーラス隊の歌声も入ってくるときがあります。室内楽的なムードを出しているところなどは面白いです。静謐なムードやアトモスフェリックなサウンドが目立ってくるところなどは、印象派の音楽がシンフォニック・ロック風になったという風に表現すれば良いでしょうか。しかし、このバンドは他の欧州のシンフォニック・ロックとは音の質感は大分異なっており、かなりダークで深遠なという風に表現したくなるほどです。知性に訴えかけるタイプのProgressive Rockが好きならジャストミートです。ですが、シンフォニックロックにあまりダークな質感や前衛的なムードを求めていない人には、取っ付き難いことは覚悟してください。

強引に比較対象を見つけようとするならば、この神秘的なムードと迷宮で彷徨うかのようなフィーリングや文学的な色合いなどは、Sieges EvenStepsに近いものがあるかもしれません。ただし、スタイル的には典型的なProg Metalど真ん中とは言えないので、この部分は鵜呑みにしないようにご注意下さい。テクニカルなアンサンブルでグイグイと引っ張っていく部分は、ひょっとしたらProg Metalを中心に聴いているリスナーの心を鷲掴みにできる可能性はあります。いやー私なんか、イチコロにやられてしまいましたよ(笑)。また内省的なムードや緻密になるところは、アメリカのGrattoや90年代以降のKing Crimsonに通じるかもしれません。ですが、このSyrinxの場合はオリジナリティーが非常に高く中々に面白いです。激しいエレクトリックなギターサウンドは皆無に近い状態とは言え、躍動感にあふれたパワフルな演奏展開も得意としてます。ヘヴィなギターの音が無いにも関わらず、バンドが一体となって攻防していく演奏は割と重厚だったりします。確かに長い曲が多いのでありますが、起承転結がハッキリしたもので固めているので充実していると感じました。シンセ・ワークやキーボードのソロで印象的な彩りを加えており、時にはメロトロンの音も聴こえてきて素晴らしい。自主制作でありますが、音の作りや演奏も非常によく出来ていると思います。これは嵌るとかなり面白いです。ちょっと変り種のシンフォニックロック・グループでありますが、私は感銘を受けてしまいました。フランスのProgressive Rockシーン全般に興味を持っている方には強くお薦めしたいと思います。http://www.myspace.com/levingtiemecercle (プロモ盤Review)

PILGRIM WORLD推薦盤

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