TOMORROW'S EVE
country: Germany
style/genre: Prog Metal, etc.
website: http://www.tomorrows-eve.com/
related bands/artists: Lalu, Markus Teske (Sheela), Mekong Delta, Jennie Kloos, Phil Hillen, etc.
similar bands/artists: Poverty's No Crime, Tunnelvision, Beyond Twilight, Dream Theater, etc.
artist info: ライブ活動もコンスタントに繰り広げている独産Prog Metalバンド。楽曲にドラマティックな性質を巧みに導入している。



Tomorrow's Eve - The Unexpected World
B-Mind Records
(2000)

ドイツを拠点に活動をしているProg Metalバンドによる1stアルバム。このTomorrow's Eveはキーボードを含む5人組の体制を取っています。1stアルバムThe Unexpected Worldは、どの楽曲もメロディアスでドラマティックな要素を重視した作品に仕上げております。変拍子が登場する場面も多いところが、個人的には心地よい。派手目なソロ・ワークスというよりは、アンサンブル全体に気を配った演奏形態になっています。

リード・ボーカリストのPeter Webelの声質は、暖かみのあるタイプで朗々とした歌い方を得意としています。ストーリーテラーの役割を充分に果す一方で、楽曲をグイグイと引っ張っているパートが多いのが個人的には魅力であります。不思議なことに、この手のProg Metalバンドの場合は派手なギターソロが登場することが多いのですが、Tomorrow's Eveの場合は殆どフラッシーなギター奏法は登場しません。その代わりに流麗なキーボード・ソロや近未来的なSF的なスペーシーな音が上手く導入されていますね。おそらく、このバンドのイニシアチブを取っているのはギターリストではなく、KeyboardistのOliver Schwickertであろうと思われます。

初期のDreamscapeをかなり大人しくさせたというか、テクニカルな部分を削ぎ落としたというな印象もあります。それからPoverty's No Crimeに通じるかのような、躍動感のあるアンサンブルを強調させていると思います。違った表現をするならばNeo-Prog系とProg Metal系の中間地点を歩んでいるかのような、そういう風にも聴こえます。彼らの場合、基本的にどの楽曲も割とロングフォームでエピックな形態を得意としているせいか、最初の感触は若干弱いでしょう。ですが、楽曲を一つ一つ見ていくと、アレンジメントやミュージシャンシップも大変しっかりしているので、嵌まっていくと面白いと思います。即効性は高くはありませんが、序々に味わいが深まっていくタイプと言えるでしょう。

特に2曲目のVoyagerや、6曲目のChanges、そして7曲目のDecent Into InsanityはProg Metal的アプローチが最も顕著でありますね。これらの楽曲を中心にセミ・テクニカルなパーツを始めドラマティックな部分を演出しているのは、流石は欧州のバンドだなーと感心しております。個人的なハイライトとしては8曲目のConflictが一番テンションが高くスリリングで勢いがあり、グイグイと引き込まれていきます。ドイツ方面のProg Metalサウンドが好きな人に、チェックしていただきたい存在。テクニカル指向な演奏にたよらずに、ソリッドな演奏力と楽曲のアレンジとキーボードを使用したスペーシーな要素を武器に今後も発展が楽しみな存在と言えるでしょう。Tomorrow's Eveは既に2ndアルバムもリリースしておりまして、3rdアルバムのリリースの予定もあります。(購入盤Review)


Tomorrow's Eve - Mirror of Creation
S.O.D. Records
(2003)

ドイツの正統派Prog Metalグループによる通産2枚目のアルバムです。前作はB-Mind Recordsからアルバムをリリースしていましたが、今回はあまり聴きなれぬレーベルから再出発をしました。なんと驚くことに、今回の作品は前作以上の大きな飛躍が見られるだけでなく、素晴らしい進歩が見られます。前作でも見られたコンプレックス路線のアンサンブルや変拍子が、ドラマティックな音楽性と合わさって極上の出来上がりになっています。Prog Metalファンであるならば、目から鱗が落ちるほどの喜びを味わえる内容となっています。全編に渡ってメロディーや楽曲の構成に至るまで、彼らの頑張りと向上心の高さに心を打たれたリスナーもいるのではないかと思います。例えていうならば、イタリアのScenarioが持っているようなエレガント性を加味して、成長を遂げたと言いたくなるほどです。同じドイツのPoverty's No CrimeIvanhoeに通じるかのような質の高さをも含んでいて、いやー本当に驚かされました!。物語性を意識したアプローチは、QueensrycheDream Theaterをも彷彿とさせるでしょう。特にボーカルの活躍度が飛躍的に向上し、ハスキーでありながらも歌メロも湿り気があって、なかなか丁寧なフレージングの使い方です。前作同様にキーボードが前面に大きく登場し、派手目のシンセソロや様々なサウンドで彩りを加えています。ドラマティック且つ妖艶なミステリアス度もあって、この辺りは僕の好み・ど真ん中ストライクですよ(^^)。Mirror of Creationでは、彼らがこれまでにテーマにしていたサイエンス・フィクションを発展させ、「クローン人間」の悲哀をコンセプトにしておりX-Files的なサスペンスが味わえます。このお話は、2006年の秋にリリースされたMirror of Creation Pt.2に繋がる内容となっています。コンセプトでありながらも、聴き応えがあってグイグイと嵌まれます。個人的には、もう大満足の内容ですね。強いて注文をつけるならば、もっと派手でテクニカルなギタープレーがたくさんあれば・・と思いたくなりますが、それはこの際不問にします。GB Artsのようにギターソロは敢えて抑え目にしている感じはします(やろうと思えば派手めなプレーはできそうな雰囲気もなくはないかな?と自分は感じました)。いやーTomorrow's Eveは、大変大きな成長を見せてくれましたね。グループによる研鑚の積み重ねと努力の結晶が、見事開花した傑作だと自分は思います。(購入盤Review)

PILGRIM WORLD推薦盤


Tomorrow's Eve - Mirror of Creation II: Genesis II
Lion Music
(2006)

前作Mirror of Creationの続編ともいうべき3枚目のアルバムであるが、それと同時に1stアルバムで描かれていたサイエンス・フィクションの様相を色濃く投影しています。Tomorrow's Eveの場合、毎回アルバムをリリースする毎にレコード会社を移籍しているかのようであるが、今後はおそらくLion Musicに定着することでありましょう。こちらの作品Genesis IIでも継続してコンセプト作品の形態をとっております。主人公のクローン人間を主軸に置きながらも、肉体的・精神的にも傷つき果てた彼を見守る女性医師とのロマンスも見え隠れしている内容です。前作のレヴューで紹介させていただいたように、完成度と展開されている「Mirror of Creation」のサウンドに大変魅了された訳でありますが、この新作に関しては随分異なる印象を持っています。

まずメンバーチェンジにより、リード・ボーカリストとリズムセクションが脱退し、数回ほどの調整の後で2004年頃に、ようやく新しいボーカリストMartin LeMarを含むメンバーに交代しています。メンバーの交代により、サウンド指向に少し変化がありました。個人的に不思議な感触を持ったのは、前作で展開されていた、あのゾクゾクする湿り気のあるProg Metalサウンドとダークな質感がかなり減退していたことです。メロディーや楽曲構成を司る中心メンバーは脱退していないにも関わらず、この大きな変化は何かいまだによく自分の中でも掴めていないのですが、確かに質感が変わりました。音楽的には、むしろダイナミックで奥行きのあるパワーのあるProg Metalサウンドなのですが、前作にあったあのゾクゾクする感触がドライな質感に変わってしまったかのようであります。

LaluのOniric Metalアルバムでも素晴らしい歌声を披露していたMartin LeMarですが、前シンガーと異なるアプローチのせいか何か違うバンドの作品を聴いているようでもありました。このアルバムを聞き始めた当初は、MartinはTomorrow's Eveにフィットしているのだろうか?と勘ぐってしまいそうにもなりました。しかし、この作品は何回も繰り返し聴くことによってアルバムが支配しているサウンドや歌声などを含むテクスチャーに慣れてくれば、次第に楽しめるようになってきました。聴き返しながら思ったことは、前作とほぼ同じようなアプローチを期待しすぎるか・あるいはそうでないか?で、このアルバムにたいしての評価は全く異なるものになるなーと思いました。

前半はかなりインパクトのあるストレートなアプローチで攻勢をかけ、中盤で少しドラマティックでリリカルな要素を打ち出し、また後半でボンバスティック且つ、コンプレックスで濃密なバンドによる演奏とキーボードソロなどを主体にしたProg Metalサウンドが縦横無尽に展開されるということでしょう。ドイツ産のProg Metalグループが好きな人には、満足していただける内容を今回も見事作り上げてくれました。これを書いている現時点では、僕個人は、やはり前作「Mirror of Creation」に軍配をあげたくなりますが、この作品は要所において魅力的なパーツを含んでいることがポイントであります。この作品から彼らのことを知った人には、問題なく楽しめることでしょう。アンサンブル指向でドイツ出身のグループが持つ重厚感や硬質なインストを好むProg Metalファンにはお薦めです。海外のProg Metalリスナーには、おおいに歓迎をされている最新作で、一部の人達の間で話題の作品となっておりますよ。(プロモ盤Review)

PILGRIM WORLD推薦盤


Tomorrow's Eve - The Tower
Lion Music
(2007)

しばらく活動状況が見えなかったTomorrow's Eveでしたが、Lion Music移籍後は忙しく活動をしているドイツのProg Metalグループです。なんと、もうフルレングス出来たの?とビックリしちゃいそうになりましたが、これは4曲入りシングル盤です。2007年の4月を中心にTomorrow's Eve、SavatageのボーカリストだったZak Stevensを擁するCircle II Circleをサポートする欧州ツアーに出ていたようです。さて、このシングル盤「The Tower」なんですが、前半の2曲が新曲でありまして、後半の2曲は1stアルバムに収録されていたSuccessNot From This Worldのリメイクとなっています。当然、新作が気になったところでありますが、僕が聞いた限りではニューアルバムは、Mirror of Creation IIよりもグレードがアップしている可能性が強いことを示唆した内容になっています。非常にクランチーでハードでありながらも、欧州産の正統的なドラマティックサウンドを指向しています。このグループは基本的にギターリストのリードなどは、大変控えめであり抑えぎみにしているのは通常どおりですが、リズムパートは大変カッチリとしており手堅いです。この作品に関して顕著なのは、ドラマーのTom Dienerが大変いい仕事をしており、太鼓とシンバルの鳴りも良いですね。多分、このグループの中心核を担っているのは、Oliver Schwickettでありましょう。彼の伸びやかで、ふくよかなシンセリードは健在で素晴らしいです。次の作品もコンセプト作品を目指しているようで、「トワイライトゾーン」からインスパイアを受けたものになるそうです。トワイライトゾーンを題材にしているというところが、Prog Metal系バンドらしいです。後半の2曲は、1stアルバムと比べるとアレンジが少し異なっております。Successは、オリジナル曲と比べるとかなりヘヴィー寄りになっております。往年のTomorrow's Eveサウンドはやや影をひそめていますが、全く同じサウンドになるのを避けているのは、新体制となったグループとしては健全な選択と言えるでしょう。Not From This Worldの方は、女性ボーカリストを含めたややシンフォニックでオーケストレーションを施したシットリとしたナンバーになるようなアプローチです。このシングル盤はCircle II Circleの欧州ツアーの時に限定で販売していたと思われます。http://www.myspace.com/mirrorofcreation (プロモ盤Review)


Tomorrow's Eve - Tales From Serpentia
Lion Music
(2008)

ドイツの正統派Prog Metalバンドにとって通産4枚目となるフルレングス・アルバム。ここ数年というものTomorrow's Eveは、様々な大物メタルバンドなどのツアーサポートを含めて、盛んにライブ活動を展開していたようです。欧州でのツアー活動によって、ひとまわり大きくなったような自信の表れのようなものを感じさせます。今回の作品「Tales From Serpentia」は、非常にダークな色彩が強いストーリーものに仕上がっています。ところどころでナレーションや台詞が挟まれながら話や音楽が展開していくところは、昨今のProg Metalグループの新作に共通するトレンドのようなものがあります。1曲目の"Nightfall"における登場人物の恋人同士が交わす会話の内容は、かなりの喧嘩腰で人間関係が荒んでいる様子が伺えます。中にはちょっと憚られるような表現もあるので、子供には余りモノ真似してほしくないものもありますな(特にエフとかエスで始まる4文字ワードなどは如何なものかと・・・)。主人公が見た断片的な夢(悪夢)やモノローグを通して、話が展開されています。ストーリー自体は、いろんな仕掛けがあって複雑に絡み合っているような印象です。通しで聴いて見ると、只ならぬ様子や緊迫感も感じ取るのではないでしょうか。

気になる音楽の内容ですが、前作の「Mirror of Creation II」に匹敵するようなヘヴィー且つメロディアスなProg Metalサウンドに仕上がっています。「Tales From Serpentia」の場合は、より煽情性の高いメロディーや演奏が登場していると感じました。ドイツのProg Metalバンドらしく理路整然とした佇まいでありますが、今回の作品では積み重ねたライブ活動の成果も出ております。Tomorrow's Eveのキャリアの中でも非常に重厚でラウドな音の塊が突進してくるような凄まじい勢いを持っていますね。全体的に見ていくと、ニューアルバムはかなり頑張って良いものに仕上がっていると思いました。バンド側の意気込みはビシビシ伝わってきたのは嬉しいところであります。アップテンポでスピーディーな分かりやすい部分もありますし、常に複雑緻密にテクニカルに攻勢をかける訳ではないので幾分かは聴きやすい部類のバンドだと思います。ところどころでコンプレックスなアンサンブルも登場しますし、基本的にはハードに音がぶつかりあいつつスパークするという印象を持ちました。

今回の作品で嬉しかったのは、Oliver Schwickertによるキーボード〜シンセサイザーによる活躍の度合いが以前にも増して高いということでしょう。5曲目"Remember"や11曲目"Muse"に登場するような非常にスリリングで芳醇なサウンドを含む印象的なシンセリードが素晴らしいと思いました。アルバム全体におけるOliverのKeyboardプレーは非常に光っており、音色の拘りが強く感じられて個人的には大満足です。シンフォニックでドラマティックなオーケストレーションも手がけており、やはりバンドの中心人物の一人として貢献している部分が大きいと思います。それから、この作品で「オオ!」と思ったのは、Rainer Grundによるギターワークが以前よりも目立つところが登場していることです。今までは速弾きをそんなに繰り出すタイプの人ではないと思っておりました。ところどころで印象的でテクニカルなパッセージやリードプレーも顔を出していたのが、新しい収穫かもしれません。

6曲目の"Succubus"では、OliverとRainerによる緊張感のあるユニゾンプレーもあって楽しませてもらいました。前作から参加しているリード・ボーカリストのMartin LeMarTomorrow's Eveにすっかり溶け込んでおり、手堅いボーカルパフォーマンスで頑張っています(ちなみに最近分かったことですが、MartinはMekong Deltaでもボーカルとして歌うことが決まったそうです)。リズム隊もボトムをしっかり支えつつ、テクニカルなパッセージを全員で繰り出すところでは畳掛けて来る場面もありますし、もちろん変拍子も登場するのでその辺りも楽しむポイントの一つになることでしょう。バンドのメンバーそれぞれ、各箇所で光っています。若干テクニカル指向のProg Metalバンドが好きな人にとっては、物足りなく聴こえてくるところもあるかもしれません。ですが、彼らの場合は、基本的に楽曲指向で歌の中で登場するメロディー等を中心にしたアプローチを大事にしているバンドと捉えていただきたい。

前半は、とにかく空気が張り詰めたような重たいムードが充満しているので、聞き手によっては心拍数が上がりそうな感じかもしれません。中盤辺りでは7曲目の"Warning"のようにピアノとボーカルによる静かめな側面が顔を出したりとドラマの緩急にも気を配っていますのでご安心下さい。前面にストレートに押し出す部分もあれば、後半に登場するエピック且つロングフォームの楽曲では、次第にドラマティックに盛り上げります。一般のHR/HM系リスナーも視野に含んでいるかのように考えて構築しているのかもしれないなー、というような楽曲もいくつか発見。サウンド・プロダクションも全体的に良好でバランス感覚も良いと思いました。個人的にはもっとテクニカルに畳掛けるタイプの楽曲がたくさんあっても良かったかもと注文したくなるのですが、贅沢なリクエストかもしれませんね。かなり準備時間を設けてTomorrow's Eveのメンバーもよく考えて色んな曲を各所に配置したのかもしれません。

ストーリーものとなっていますが、話の流れを気にせずに各楽曲を取り出してみてもエンジョイできるとも感じました。かなりの長編アルバムとなっているので通しで聴くのは大変かもしれません。ですが、ところどころでゾクゾクするドラマティックなProg Metalサウンド展開されているので、聞き込むとさらに魅力が増してくるかもしれません。ニューアルバムの「Tales From Serpentia」は、ドイツ出身の正統派Prog Metalグループのサウンドや楽曲指向のスタイルに興味がある人にアピールできると思います。2009年のProgPower USAに出演が決定しました。気になる方は、ぜひ彼らのMySpaceをチェックしてみてください。http://www.myspace.com/mirrorofcreation (プロモ盤Review)


PILGRIM WORLD推薦盤

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