VANDEN PLAS
country: Germany
style/genre: Prog Metal
website: http://www.vandenplas.de/
related bands/artists: Ian Parry's Consortium Project, Section A, Abydos, Missa Mercuria, Red Circuit, etc.
similar bands/artists: Dream Theater, Headline, Manigance, Dreamlost, Dreamscape, Ivanhoe, etc.
artist info: ドイツを代表する重鎮Prog Metalバンド。メロディアスで、ドラマティックな展開を武器に持つ欧州の雄。



Vanden Plas - Colour Temple
Inside Out
(1995)

ドイツを代表するProg Metalバンド、Vanden Plasの記念すべき1stアルバム。彼らのキャリアや名声は、全てここから始まったと言っても良いだろう。個人的にはイントロのIgor Stravinskiの「火の鳥」〜エモーショナルな名曲Fatherの流れで、既に度肝を抜かれました。これ以降、様々な名作アルバムをリリースしていますが、原点はここに全て詰まっていると言えよう。欧州産のグループらしい湿り気を帯びたメロディーとドラマティックな楽曲を始め、ハード&ヘヴィーに展開するエモーショナルなProg Metalもの〜バラード、そしてHard Rock/Metalグループとしての出自を大事にしたアップテンポ且つ勢いのある楽曲。どれをとっても、現在まで一貫して大事にしているスタイルとサウンドを既にここで確立している。演奏面だけでなく、楽曲制作に置いても優れた5人のミュージシャン達で構成されていることは、Prog Metalシーンの宝と言っていいだろう。後年のProg Metal然としたアルバムと比べれば、彼らのキャリアの中ではスタイル的には非常にストレート・フォーワードな作りとなっていることだけ注意して欲しい。忠実にドラマティックな欧州産Hard Rock/Melodic Metalのスタイルを取っており、彼らの場合は本当に楽曲やメロディーの質が秀逸であることには全く遜色が無い。序盤のFatherからHow Many Tearsまで一気に聴くことができる力量・・・畏れ入るばかりである。現在も彼らは1stアルバムを大事にしております。大きなメタルフェスティバルに参加する際には、パワフルに疾走する名曲Pushを選出したり、そして自身のライブではSoul Survivesなどのバラード調の力強い曲などもプレーしております。個人的には、彼らが得意としている情感たっぷりのFatherMy Cryingの楽曲構成を大変好んでおります。次の名作The God Thingアルバムに引き継がれていく、構築度の高い音楽性の萌芽をここで見ることができる。後世に語り継ぎたい、素晴らしいデビューアルバムだ。(購入盤Review)

PILGRIM WORLD推薦盤


Vanden Plas - AcCult
Inside Out
(1996)

彼らのキャリア全体を改めて振り返って考えてみても、驚く事件だったのがAcCultでしょう。なんと1stアルバムリリース後に出たのは、2ndアルバムではなくて、第2段が企画盤E.P.というのは、凄い衝撃だったのではないでしょうか?。90年代の中盤頃は、アンプラッグドものが非常に持て囃された時期ですが、Vanden Plasも自身の楽曲とカバーを含めてUnpluggedものに果敢に挑戦しています。こういうアコースティック主体のものを出すというのは、バンドの力量を剥き出しにしてしまうものなので両刃の剣になる恐れがあります。Vanden Plasの場合は、エレクトリックものでも大変素晴らしいですが、アコースティックものでも大変良いものを提供しています。やはり彼らのオリジナルであるMy CryingFather等のUnpluggedバージョンに、大変強く心惹かれました。また個人的に興味深かったのは、MarillionKayleighのカバーとRay Charlesの名曲Georgia On My Mindの2つです。彼らの場合は、カバーの取り組み方が大変ユニークで、原曲に忠実であるのと同時に自分達の色合いを出し切っています。驚くことにSaigon Kickの曲もカバーしていて、思わずギョエーと喜んでしまいました。Vanden Plasのファンにとっては、バンドのアナザー・サイドを垣間見ることができる企画ものと言えるでしょう。正規のアルバム同様、素晴らしい楽曲のアレンジとメロディーの質を大事にした作りは、やはりお見事です。(購入盤Review)

PILGRIM WORLD推薦盤


Vanden Plas - The God Thing
Inside Out
(1997)

2ndアルバムにして、Prog Metalシーン全体に衝撃を与えた超傑作が、このThe God Thingでありましょう。この作品には、メタルサイドのProg Metalリスナー全員が、期待している全てが詰まっている・・といっても過言ではないと思います。このアルバムの完成度の高さ、そしてスケールの大きさというのは、他の追随を許さない凄みがあると思うのは僕だけでしょうか?。前作では、有名なクラシックのフレーズを導入部に使っていましたが、今回は全てオリジナルで固めておりイントロのFire Blossomsからゾクゾクします。そして、ライブで必ず演奏されるとオーディエンスが熱狂する:超名曲The Rainmakerに到達したときの高揚感と感動は、何にも変えがたい。なんと表現すれば良いのでしょうか・・Fire Blossoms〜The Rainmakerを一つにした全体の流れは、言語に絶する素晴らしさであります。その後のGarden of Stones, In You: I BelieveDay I Dieなどで新しい起伏を作り、荘厳且つ誉れの高い名曲Crown of Thorns、神の領域を侵すことへの警鐘を放つWe Are Not GodSalt In My Wounds、そして9曲目の感傷的なYou Flyで作品の完結に至ります。楽曲の構築度やプロダクションも、今まで以上に研ぎ澄まされたものになっているせいか、多くのVanden Plasのファンに今日に至るまで最も愛されている作品であります。5人の優秀なミュージシャンのケミストリーが見事に融合し核爆発を起こしており、ドラマティック且つエモーショナル。プロダクションも大変良好で、大変親しみやすい。前作も大変よい楽曲が詰まっていましたが、このアルバムの完成度は尋常では無いと言っていいでしょう。The God Thingで、彼らは欧州Prog Metalシーンのトップに踊り出ました。テクニックだけでなく、楽曲の質が恐ろしいほど高いと感じます。終始テンションが全く落ちないし、最後まで一気に聴かせます。間違いなくVanden Plasのキャリアにおいて、重要なターニングポイントとなったProg Metal史上に残る名盤です。(購入盤Review)

PILGRIM WORLD推薦盤


Vanden Plas - Far Off Grace
Inside Out
(1999)

約2年ぶりとなる、通産3枚目となるフルレングス・アルバムです。1997年にリリースしたThe God Thingアルバムの成功により、Prog MetalシーンにおいてVanden Plasの存在が大きくクローズアップされました。前作が、各方面から絶賛を受けていただけに、彼らを取り囲む状況も以前とは違ってピリピリしていたのかもしれません。しかし、このアルバムはそういったプレッシャーを軽く吹き飛ばす、これまた凄いアルバムに仕上がっていると思います。前作よりも、よりヘヴィーでエッジの立った、かなり厚みのある硬質なProg Metalアルバムに仕上がっています。

前作では、かなり優雅な曲調やドラマティシズムの強いものが目立っていましたが、Far Off Graceではギターのクランチー度も上がっており、リズム隊の音圧も高いのが特徴です。前作The God Thingをこよなく愛しているリスナーの中には、「ヘヴィー過ぎる」とか「プロダクションが生々しい」という意見などを耳にします。The God Thingも大好きなアルバムなんですが、Far Off Graceは自分にとっては特別な存在の作品で、特に問題を感じませんでした。確かにドラムのパートというか、特にキックドラムの方面を非常に細かく聞き込んだり、ステレオ・システムなどに大変お詳しそうな人のお話を聞くと、サウンドやプロダクションにおいて重箱の隅をつつくもいますが、僕は全く気になりませんでした。

このアルバムは、Prog Metalリスナーの中でも、「プログレ・サイド」に拘って聞く人には重苦しいと感じる人もいるでしょう。ですが、メタル耳を持っている人には、充分これまでと同様に楽しめる筈です。Vanden Plasのキャリアの中でも、他のアルバムと比べても何の遜色も無いと思いました。個人的には、このFar Off Graceアルバムを僕は溺愛している人間なので、終始堪能できました。これまでと同様に、ボンバスティックでテンションの高いProg Metalスタイルの楽曲から、エモーショナルでバラード的な楽曲まで幅広く挑戦している様子が伺えます。前作と同じように、変拍子も巧みに取り入れた楽曲も前面に登場していますし、Far Off Graceからは、現在に至るまでライブで演奏される楽曲が一番多いアルバムと言っても差し支えありません。そのことは、下のレヴューでも紹介しているSpirit of Liveでも証明されています。

どうしても前作の完成度が、比較されてしまう今回の作品でありますが、Far Off Graceにも魅力あふれる楽曲が目白押しとなっています。1曲目のI Can Seeは序盤から爆発的な勢いを持ち、2曲目のFar Off Graceはミステリアスでエキゾチックな色合いを持ち、情熱的でコーラスが親しみやすいInto The Sun、地の底から湧き上がってくるようなエネルギーが迸るWhere Is The Man、やはりライブでも映える不思議な浮遊感が演出されているIodic Rainまでの5曲の流れに圧倒されます。このアルバムは、前後にリリースされた作品と異なりバラード曲が少なめですが、勿論I Don't Miss Youなどの柔和なスタイルのものも計2曲ほど含まれています。Inside Your Headもライブで演奏されていますが、この曲は割とキャッチーなので嵌まりやすいと思います。Vanden Plasの作品はどれも楽曲が練られていますし、無駄な部分が無いので、Far Off Graceも大変楽しめる作品だと思います。このアルバムで、ある意味ベテランの域に達したという感想を持ちました。The God Thingアルバムとは違いますが、Far Off Graceも間違いなく傑作の部類であるという考えに変わりはありません。ヘヴィー指向の正統派Prog Metalファンやリスナーには、きっと気に入っていただけると思います。(購入盤Review)

PILGRIM WORLD推薦盤


Vanden Plas - Spirit of Live
Inside Out
(2000)

ドイツ出身のMelodic Prog Metalバンドによる初のライブアルバム。フランス公演での模様を収めております。非常にドラマティックなProg Metalサウンドが生々しく演奏されていて聴き応え満点であります。正規のアルバムの方が断然楽しめる・・・といった意見をお持ちの方にも、きっと楽しんでいただけるクオリティの高いライブアルバム。主に誰もが認める名盤The God Thingと重厚且つ強烈なFar Off Graceのアルバム2枚を中心としたセットリストになっています。ドラマティックなプログレメタルサウンドや、迫力満点の演奏を最初から最後まで満喫できます。ステージング運びや観衆を煽動するのが、とても巧いバンドであるという認識を新たにしました。熱狂的なファンにより盛り上がっている様子がアルバム全体から伺えます。バンドの演奏も波に乗っていてスンバラシイです。なんといってもアルバム以上に、ライブで自分の実力を発揮しているAndy Kuntzの歌唱力に驚かされました。どの楽曲も素晴らしいものばかりなのでございますが、やっぱり圧巻はなんといっても超名曲「Rainmaker」の演奏です。ゲストにPatrick Rondatを迎えメチャメチャ盛り上がりまくっていてカッチョイイ!!!です。いつかは、ぜひ生で観戦したいバンドです。Spirit of Liveを聴くたびに、実際に彼らのライブを観たいという気持ちが強まってくるかのようです。このライブアルバムは、欧州盤(Dokkenの曲Kiss of Deathをカバーしていた筈・・・)とアメリカ盤の2種類あります。非の打ち所の無い、完璧なライブアルバムと個人的には思ってます。(購入盤Review)

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Vanden Plas - Beyond Daylight
Inside Out
(2002)

彼らにとって通産4枚目のフルレングス・アルバム。デビューして以来、一貫してドラマティックな欧州産Prog Metalアルバムをリリースしている。前作のFar Off Graceでは、若干ヘヴィーで硬質なサウンドを前面的に出していたが、このBeyond Daylightでは、割とメローで柔和に包み込むサウンドを強調した楽曲が並んでいる。もちろん、彼ら独自のドラマティックで展開の多いサウンドも健在だ。Dream TheaterImages And Wordsで提示したスタイルを、彼ら独自のヨーロピアンなテイストで継承した音楽に魅了されているファンが多いが、そういったファンを裏切らない素晴らしい出来上がりになっていると思う。個人的には、あの煌びやかでドラマティックなスタイルが展開されていた、The God Thingアルバムの要素とFar Off Graceで展開されていた奥行きのある空間とヘヴィーなアトモスフィアといった要素の2つを上手く融合させてできた傑作という印象だ。

テクニカルなProg Metalチューンから、しっとりとした優美なミディアムテンポの楽曲まで、高度なレベルで演奏されている。もちろんサウンドプロダクションも大変良好です。今のところ、Vanden Plasのファン達には3作目のThe God Thingが最高傑作という評価が一般的なようだが、個人的にはこのBeyond Daylightも前作のFar Off Graceも甲乙つけがたい素晴らしい作品だと思います。今までの彼らが培ったProgressive Metalサウンドを、さらに熟成して深めたといえよう。特にScarlet Flower Fields, Cold Wind, Can You Hear Meなどは、何回聴いても味わいが深くて楽しんでおります。もちろん彼ら本来のパワフルでハードドライヴィングな展開と演奏力が楽しめる、End of All Days, Free The Fire, Nightwalkerなども充実しています。

様々なProg Metalバンドが存在しているが、彼らのように1stアルバム以来、メンバーチェンジがないバンドも珍しいと思います。2002年度にリリースされたProg Metal系バンドの作品中で、Vanden PlasがリリースしたこのBeyond Daylightは、ベストな部類に入れたいです。どうやら、彼らはこのアルバムに続く2枚組のロックオペラ形式の作品を制作中ということだ(噂によると、うまくいけば2003年ごろにはリリースされるかもしれないとのことだ)。またメンバーのAndreas Lill (Drums)は、Torben Enevoldsenや元Lion's Shareで活動をしていたAndy Engberg達が結成した新しいProg MetalプロジェクトのSection Aなるバンドにも参加しておりました。さらに、フランスのProg Metal関係者の話によると、リードボーカリストのAndy Kuntzは、ソロアルバムをリリースする意向を強く示している様子だ。今後のVanden Plas本体と、サイドプロジェクトのリリースにも大きく注目していきたい。(購入盤Review)

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Vanden Plas - Christ 0
Inside Out
(2006)

4年ぶりにリリースされた、通産5枚目となる待望のニューアルバム。Vanden Plasは、毎回コンスタントに傑作をリリースし続けているProg Metalグループの中でもトップランナーの一つと言っても良いでしょう。前作のBeyond Daylightも非常に素晴らしい作品だっただけに、今回のアルバムはどのようになっているのか?というのが注目されていました。前作と新作のリリースの間に、本国ではバンド本体をふくめたミュージカルなどでの公演活動。そして、リード・ボーカリストのAndy Kuntz主導のAbydosがリリースされていたものの、Vanden Plas新作のリリースを待望していたファンは数多くいたことと思います。

実はこのアルバムは、元々2枚組になる予定だったそうであります。Vanden Plas本来の「ハード&ヘヴィーなProg Metal」サイドと、「ミュージカル・シアター路線の歌劇」サイドの両面を含むものにするというのが、グループ側の意向だったようです。残念ながら、今回はバンド本来のスタイルのみの作品に変更をせざるをえなかったようです。しかし、結論から言うと、完成度の高いアルバムに仕上がっているということに変わりはありません。

このChrist Zeroは、彼らにとって初のコンセプト・アルバムの形態を取っています。日本では「巌窟王」の邦題で知られているアレクサンドル・デュマ (Alexandre Dumas) 原作の「モンテ・クリスト伯 (The Count of Monte Cristo)」からインスパイアされた内容となっています。 この辺りは、Abydosで培った要素だけでなく、Vanden Plas本体も大きく関わっているミュージカルや、劇場ものに取り組んだ影響が大きく反映されたものと言っても良いのかもしれません。原作の中にあるメインテーマと、ストーリーを題材にして現代風にAndy Kuntzが少し発展させていますね。「失望」、「懊悩」、「寛容」などのテーマを非常に見事に各楽曲に織り込んでいます。取り上げている題材のためか、全体的にVanden Plasの作品の中でも、かなりダークな印象であります。

「何やらコンセプト作品というと敷居が高いなー」と感じる方もいるかもしれません。あるいは、どうもコンセプトものというと、取っ付きにくいと苦手意識を持ってしまいますが、Vanden Plasの場合はその辺りも研究していたのでしょう。決して難解で間延びすることが無いように、むしろ新作Christ 0では各楽曲が非常に親しみやすく分かりやすいものにアレンジしていることが驚きです。そうなんです、何の心配も無く、これまでのVanden Plasの作品と同様に楽しんでもらえればと思います。

それでは、アルバム全体を見ていきましょう。まずは前半パートから参ります。1曲目Christ Zero導入部のPfalztheater合唱団のゴシックなコーラル・ワークとオーケストレーションで、いきなり度肝を抜かれます。そして、Vanden Plasが得意としているテンションの高いハード且つボンバスティックな演奏に流れていきます。序盤から演奏面だけでなく、サウンドそしてプロダクションも大変良好であることが伺えます。2曲目のPostcard To Godは、ライブでも実際に演奏されていますが、力強くもキャッチーな仕上がりになっています。3曲目のWish You Where Hereはコーラス部の切なさとシンフォニックな味わいと合わせて、Vanden Plasらしいメロディアスな楽曲で、ギターとシンセによるインタープレーが秀逸です。4曲目のSilentlyでは、Andyの情感がこもったボーカルワークが絶品で、演奏面も文句なしで楽しめます。5曲目のShadow I Amもライブで盛り上がっていた楽曲で、The God ThingアルバムのRainmakerやBeyond DaylightアルバムのNightwalkerを彷彿させるものがあります。序盤のChrist 0のタイトル曲もそうでしたが起承転結のはっきりしたアレンジと、演奏力の高さを証明するアップテンポでノリノリなナンバーとなってます。

今度は、後半パートを見ていきましょう。6曲目のFireroses Danceでは、彼らの別の側面である湿り気のあるバラード調ですが、後半部分でマジェスティックに盛り上がりを見せていますね。7曲目のSomewhere Alone In The Darkでは、タイトルにあるように孤独な心象風景を、歌詞とコンプレックスな音楽に合わせて上手く表現しています。個人的にとても気に入ったのが、8曲目のJanuary Sunであります。序盤は静かに語りかけるAndy Kuntzの歌声と、Gunter Wernoによる美しいピアノの調べが印象的で、次第に次第にドラマティックに変貌を遂げていくところが秀逸です。9曲目のLost In Silenceは、物語の終焉を告げるかのようなエモーショナルな役割を見事に果していると思いました。またボーナストラックとして収録されているGethsemaneは、有名なミュージカルJesus Christ Superstarからのカバー曲となっています。この曲は、Andy Kuntzがこれまでに舞台などで数多く歌っているだけあって、とても素晴らしい仕上がりになっています。Vanden Plasの演奏陣もこういったスタイルのプレーもお手の物で、グループのオリジナルではないか?と思えるほど充実したフィナーレでアルバムは完結します。

Vanden Plasらしいメロディーや展開部が多く登場する一方、今までのアルバムと少し違う手法やアプローチも取っているようにも見受けることができました。ですが、ライブで演奏されたPostcard To Godや、Shadow I Amがフューチャーされている前半〜後半のJanuary Sunの楽曲辺りを中心に聴きこんでいくことによって、次第に浸透していきました。原作や、ライナーノーツにかかれている内容、そしてメッセージなどを合わせて、全体像を掴んで行くと面白いと感じています。そうしていくことによって、次第に、各楽曲の魅力に迫っていくことができるアルバムだと思いました。

演奏形態に関しては、非常にコンパクト且つ分かりやすいものに今回仕上げていると思いました。アレンジや曲作りの姿勢は、流石だなーとため息が出ます。今回の作品もStephan Lillの豪快でエモーショナルなギターワークスや、Gunter Wernoの煌びやかで流麗なキーボードワークスが特に光っています。Andy Kuntzのリードボーカルや声質は、好悪が分かれてしまうかもしれませんが、彼のボーカリストとしての力量は並々ならぬものがあることは否めないでしょう。リズム隊のAndreas LillTorsten Reichertも見せ場がたっぷりあると思いました。底辺を支えつつも、ドラムのフィルインや強力なリズムパートはAndreasが大変光っています。そして、アンサンブルが豪快に突進したりテクニカルなパートでは音に厚みを加える上でTorstenのベースプレーは重要な役割を担っています。

ファンにとっては、4年間待ったかいがある、素晴らしい内容に仕上げているのは流石です。さらに、一般のHard Rock/Metalリスナーにも、アプローチしやすい作りになっているところが、最大の魅力かもしれません。初めてVanden Plasの音楽に触れる人にとっても、充分満喫できる作品に仕上げているという意見が色々なところで登場しています。そういった点において、彼らの凄さを表明していると言えるかもしれません。現にこの作品で、初めてVanden Plasに興味を持った人もいらっしゃる程なんです。今後は、このアルバムを引っ提げて欧州ツアーを展開していくことでしょう。まだ未定ですが、これと並行してPfalztheaterで行われたVanden Plas本体の演奏をフューチャーAbydosの公演を収録したDVDのリリースも視野に入れているらしいです。今後も欧州の王者Vanden Plasから目が離せませんね(^^)。・・・2006年4月2日にオランダはAmstelveenで行われたVanden Plasライブレポートはこちら (購入盤Review)

PILGRIM WORLD推薦盤

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