VIGILANTE
country: Japan
style/genre: Prog Metal, Technical Power Metal,
website: http://www.vigilantemetal.com/
myspace: http://www.myspace.com/vigilantemetal
related bands/artists: HummingBird, Tiananogue, Chaos Control, etc.
similar bands/artists: Lethal, Fates Warning, Queensryche, Vicious Rumors, etc.
artist info: 日本は埼玉を拠点とし、数多くのライブギグを展開している正統派Progressive Metalバンド



Vigilante - Chaos Pilgrimage
Massacre Records
(1998)

日本最強のPROG METALバンドによる革新的デビュー・アルバム。パワーメタルやテクニカルメタルが持つ可能性をさらに推し進めた高い音楽性は、国内よりも海外で評価されています。このバンドも、じつにミュージシャンシップが高く、それぞれのメンバーの実力の高さを世に実証した作品であります。1枚目のアルバムでは、よりドラマティックな感性を感じ取ることができます。国内において、これだけ楽曲や演奏を含めてトータルで優れているProg Metalメタルバンドは少ないと思う。Vigilanteは、国内のバンドに求められている課題全てをクリアしているかのようです。海外のメタル系リスナーをも唸らせた彼等の実力をぜひ堪能していただきたい。(購入盤Review)

PILGRIM WORLD推薦盤


Vigilante - Edge Of Time
Massacre Records
(1999)

日本を飛び越えて、スケールのあるProg Metalを演奏している世界のVigilanteによる2枚目のアルバム。このバンドは本当に日本の中ではピカイチの実力とテクニカルな演奏力を誇っていると思います。1枚目のアルバムではドラマ性を強く感じさせるProg Metalと充実したサウンドと演奏形態に非常に驚かされました。2枚目のアルバムではMetallicaAnnihilatorなどにも通じるパワーとテクニカルを彷彿させるProg Metal系と描写したくなるほどです。どちらかといえば、今回のアルバムでは正統派テクニカル・パワー系の分野のエキスパートであるということを証明しているように思います。メリハリもはっきりしていますし、テクニック、楽曲、演奏も日本Prog Metalシーンの中でも文句なしでトップでありましょう。日本のバンドに関しては最も弱点として指摘されがちなシンガーの部分もないと思います。なぜならワールド・クラスの実力を誇る丹羽英彰氏のハイトーンや歌のテクニックがあるからです。バンドのそれぞれのメンバーの演奏力も迫力ありますし、日本を飛び越えヨーロッパ方面でその評価が高いことが証明されています。「日本のバンドで今凄いバンドは?」と聞かれたら、「現時点ではVigilanteが凄いね・」・・という返答がヨーロッパのメタルファンから返って来るという状況です。彼等の凄さはライブで実感して欲しいというのは、このアルバムでもそれが証明されていると思います。いやー日本だけの活躍が勿体無いぐらいの素晴らしいProg Metalバンドということで、うちのサイトでも応援していきたい。(購入盤Review)

PILGRIM WORLD推薦盤


Vigilante - Cosmic Intuition
Eternal Energy
(2004)

前作をリリース後、久しく待ち遠しかった極東最強のProg Metalバンドによる通産3枚目のアルバム。過去の作品のクオリティを凌駕する、傑作になっています。現在のところは、日本でのみしか発売されていないようですが、このアルバムが前2作と同じく欧米で流通されることに期待です。1stのChaos Pilgrimage、2ndのEdge of Timeと比べると、より大きく前進・進歩を遂げたのではないでしょうか。世界のFates Warning, Sieges Even, Psychotic Waltz, Mind's Eye, Pain of Salvation, Dream Theater等々のように新境地を開拓し、見事にそれを自分達の中で消化しきったという印象を持ちました。深遠なテーマに沿ったProgressive Metalアルバムに仕上がっていると思います。8月15日をリリース日に設定したことからも窺えるように、このアルバムは混沌とした現代に喝を入れるようなコンセプトが貫かれていると思います。これまでも、彼らは欧州のメディアで大変評判が良いバンドでしたが、我々の予想を遥かに越えたスケールの大きな充実したアルバムを完成させたと断言したい。日本のシーンだけでなく、プログレメタル全体のシーンの中で考えても、高く評価をされる価値のあるものであります。現時点においては、Cosmic Intuitionが彼らのキャリアの中でも最高傑作と言えるのではないでしょうか。以前から、世界のシーンでも渡り合える実力を持っていると個人的には強く思っていましたが、トップクラスのProg Metal/Technical Metalバンド達と比べても何の遜色もありません。全体を通しての印象ですが、無限に広がっていくかのような至高のスピリッツを強く感じました。そして、それぞれの楽曲が強烈で説得力を持っています。よい曲というのは、本当に雄弁に魂に語りかけてくるものだなーと認識を新たにしました。

オープニングのChasing Timeから、もうゾクゾクさせられました。Mattias Norenによって描かれたジャケットにリンクするかのような、どこまでも広がっていく世界を持った楽曲です。アコースティックなギターの調べ、アトモスフェリックなKeyboardサウンド、そして丹羽英彰氏の柔和な語りかけのような歌に吸い込まれていきます。間髪いれずに、タイトルトラックCosmic Intuitionに流れ込んで行きます。Psychotic WaltzとFates Warningに通じる、テンションの高い緻密でパワフルな演奏を楽しむことができます。3曲目のChains And Emotionの出来栄えには、本当に圧倒されました。特にこの楽曲は、今までのVigilanteの作品の中で一番好きなメロディアスでドラマティックな楽曲に仕上がっています。丹羽氏のボーカルワークを中心に、とても素晴らしい出来になっていますね。

そして4曲目のIn Seach of Secretでは、彼らが本来得意としている勢いのある硬質でソフィスティケイテッドなパワーメタルで疾駆していきます。私の場合、特にオープニングから4曲目までの流れが、とても気に入りましたね。意外だったのは、これまでのVigilanteには見られなかったような新しい側面を見せてくれる5曲目Siva's Cryと6曲目Psychedelic Hypnosisは、オランダのSymmetryに通じるようなスケール感を持っていると感じました。その他、Traces of Dream, Promised Salvation, Hollowed Garden, Quiet Gardenとスリリング且つダイナミックな楽曲の流れをキープしていきます。そして、アルバム最後に収められているナンバーAlone In The Wastelandで結論に達します。とにかく全編、飽きさせない構成になっておりますし、要所ではレイヤー状になった包み込むようなキーボードのサウンドもアクセントになっていますね。作品全体を一つの流れとして、楽しんでいただきたいアルバムになっております。

これまでと同様で、丹羽氏による、とてもクリーンなハイトーンは健在です。特に顕著だったのは、ボーカル・パフォーマンスが、とてつもなくエモーショナルで、歌メロも大変説得力があり魅了されました。アルバム全体を通しても、彼にとってベストに入る表現力だと思いました。また、演奏陣の表現力と活躍も大変素晴らしい。新しく加入した山市修也氏の骨太なグルーブと、ダイナミックなドラミング・ワークは、Vigilanteのレベルをさらに上に引き上げることに大きく貢献しております。底辺を支えつつ重要な位置を占める海野真氏によるベースが心地よい。Vigilanteがデビュー当時から大切にしてきた、大本浩史氏と堀江一彰氏によるツインギタープレーが白眉となっておりますし、構築されたメロディアスなリードプレーがたまらなくテイスティーです。

全体を見渡して今までのVigilanteには、感じられなかった言葉ではいいようの表せないような、なにかを振り切ったような・・・限界点や境界線を越えた地点に到達し、さらに前進をするのだという意思の強さを感じました。もちろん、これまでの作品を愛してきたリスナー達の溜飲を下げることは間違いないと思います。気づいてみたら、Vigilanteが完成させたこのCosmic Intuitionに心底惚れてしまったという感じです。演奏がテクニカルで巧いとか、楽曲の展開が凄いというのも勿論ある訳ですが、そういった表層的な部分だけで評価をしたくありません。なんといっても、楽曲全体の出来が素晴らしいです。グイグイと引っ張っていく力を持っておりますし、魅力に溢れています。あくまでも私個人の見解に過ぎないかもしれませんが・・・・私の中ではSieges Even、Fates Warning、Psychotic Waltz、Dream Theaterなどの強豪トップクラスと肩を並べたという考え方に落ち着きました。はっきりいってProg Metalの歴史に残る名盤だと声を大にしていいたい。(プロモ盤Review)

PILGRIM WORLD推薦盤


Vigilante - IV
Soundholic/Tokuma Japan
(2008)

海外でも高い注目を集めている日本を代表する実力派Prog Metalグループの4thアルバムです。前回リリースされた「Cosmic Intuition」が至高のProg Metalアルバムとして完成されていただけに、新しいアルバムの方向性がどのようになるのか?・・・Vigilanteのファンにとっては大変興味深かったのではないでしょうか。新作「IV」では、前回が徹頭徹尾の充実したProg Metal的なスタイルが貫かれていましたが、この作品は割とストレートでLiveの勢いを重視したドラマティックでテクニカルなPowerful Metalという印象を持ちました。しかし、それはあくまでも、これまでのVigilanteが積み上げてきた作風や以前のアルバムで聴いてきたアプローチと比較して・・・という意味合いです。こういった変化は、おそらくこれまでの精力的なライブ活動などによって色濃く反映されたものではないかと推察しています。

個人的には、「これまでの流れとは違ったVigilanteにとって新しいチャレンジが始まったのだな」という印象を持ちました。コアとなるバンドのメンバーである丹羽英彰氏 (vocal)、大本浩史氏 (guitars)、堀江一彰氏 (guitars)、そして海野真氏 (bass)は不動です。今回の作品からドラマーが山市修也氏から藤野隼司(ふじの しゅんじ)氏に交代しています。彼等の場合はメンバー交代で音楽スタイルに揺れが発生することは全くありません。アルバム全体から伝わってくる躍動感のある演奏を聴く限りでは、バンドとしての結束力はパワーアップをしているように感じました。

1曲目のTemple of Vortexから2曲目のTrapped In Oblivionは、Liveでの流れを意識したかのようなスリリング且つドラマティックな正統派寄りのメタルサウンドが魅力的だと思います。正統派メタルに求められるスピード感と躍動感、攻撃性を全て備えているのは流石です。序盤からカッコよく素晴らしい楽曲が揃っているというのが如実に伝わってきます。大本氏と堀江氏のツインギターの絶妙な絡み合いやバッキング、そして流麗で切れ味鋭いリード・ギターは耳を惹きますね。リードボーカルの丹羽氏は、卓越した正統派メタル然としたハイトーン・ボーカルと情感をたっぷり込めた歌唱力に定評がありますが、今まで以上に様々な手法や表現方法を取り入れているように思います。楽曲で取り上げられているテーマや登場人物を意識させるような役割を担っていると感じさせます。

3曲目のTrapped In Oblivionは、彼等の中でも新境地に到達した楽曲となっております。ある意味キャッチーでコンテンポラリーなメタルサウンドとして、これまで国内のグループにあまり注目していなかったHR/HM系のリスナーにも受け入れられる可能性を秘めたナンバーとなっております。誰でも楽しめる仕上がりになっているのに驚きでありました。おそらく今までのVigilanteでは取り上げられなかったようなタイプの楽曲のような気がして、ハっとさせられた瞬間でした。ボーカルメロディーやコーラスパートも大変耳に残りやすく、色んなリスナーにアプローチする楽曲ナンバーですね。

4曲目のDisharmonic Memories、5曲目のA Vision of A Parallel World、6曲目のインストナンバーRed Alertなどは、彼等が最も得意としているアプローチといえるでしょう。これらの楽曲に代表される、Vigilanteならではの緻密で躍動感が漲った演奏形態は、Prog Metalリスナーの琴線をおおいに刺激することでしょう。これは、バンドによるライナーノーツにも書かれていましたが、演奏内容も以前と比べると難解になりすぎないように、そこかしこに工夫や仕掛けを施しつつも、どのリスナーにも受け入れることができるように印象に残りやすいように仕上げてますね。特にProg Metal的なアプローチの楽曲ではギターだけでなく、リズム隊の力量が大いに試されるところだと思います。しかし、その辺りの心配は彼等には無用でありましょう。藤野氏と海野氏による濃密なリズム・ワークは、大変強固なものとなっており安定感は抜群です。

7曲目のShadowや8曲目のForeverは、このアルバムに貫かれているストレートな方向性を感じる正統的なパワーメタルでストロングな形態をとった楽曲ですが、そこに色んなアクセントや工夫を施していて、細かい部分に耳を傾けているリスナーにも楽しめるような印象を受けました。9曲目のShattered Soulでは、これまでの楽曲とは少し雰囲気が異なったナンバーとなっています。アコースティックなギターを含むので、終始バラード形態になるのかと思いきや、そうではありませんでした。どちらかというとムーディーでダークな質感を保持しつつも、ドッシリとしつつも雄大な広がりと力強さみたいなものも感じさせます。ラストナンバーにして10曲目のThe Classified Tableは、元々は1stデモのトラック曲だったそうです。新しくアレンジを施されたこの楽曲は、個人的にはConceptionLethalHouse of Spiritsなどに通じるようなテクニカル寄りなパワーメタルとProg Metalの中間地点に位置しているかのようなアプローチだと思いました。

今回のアルバム「IV」の全体を聴いて強く感じたのは、様々なタイプのHR/HM系リスナーにも受け入れられる作風でありながら、今まで培ってきたVigilanteが持っているオリジナリティーや構築性の高い音楽性を大切にしています。よりストレートな部分や分かりやすいアプローチが前面に出ていることに関して言うと、テクニカルで展開部が多くあるVigilanteのテクニカルで複雑なスタイルに嵌っているリスナーにとっては、ひょっとした意表を突かれるかもしれません。確かにストレートな方向性にシフトしている一方で、Prog Metal的な要素は随所に見られるのですが、何回もアルバムを聞き込むうちに、きっと楽しめるはずです。彼等が最も得意とする独自性の高い展開部やインストなどの演奏パートは、テクニカルな要素を含みつつもドラマティックな内容に仕上がっていて素晴らしいです。一言でいうと、正統的なパワーメタルとProg Metalサウンドが高いレベルで融合した作品となっています。ギターサウンドを中心に展開される正統的で、パワフルなHeavy Metal音楽全般が好きなリスナー層には、かなりインパクト大のグループがVigilanteです。国内で精力的に活動をしていますので、ぜひチャンスがあればライブ会場にも足を運んでみてください。Vigilanteの魅力にどっぷり嵌ると思いますよ。

PILGRIM WORLD推薦盤


Vigilante - Retrospective Into Chaos Vol.1
Eternal Energy
(2010)

国内のメタルシーンを牽引していると言っても過言ではないVigilanteによるシングル盤です。気になる中身の方ですが、彼等の音楽性を代表する合計3曲が収録されています。ギターとボーカルを中心としたパワーメタル寄りでインパクトの強いProg Metalナンバーが中心になってます。1曲目は"Tease of Influence (2010 version)"、2曲目は"Prisoner of Fate (2010 version) "、そして3曲目は"A Vision of A Parallel World (Live version)"という内容になっています。タイトルの「Retrospective Into Chaos」から推察すると、2枚目の「Edge of Time」などに代表されるように、彼等がこれまでに培ってきたテクニカル且つ正統的なメタルに新しい息吹を注ぎ込んだアプローチを取っています。全編に渡って攻撃的なメタル・サウンドとドラマティックで緻密なインスト展開を堪能できることでしょう。スピーディーで畳み掛ける部分を特徴した楽曲が中心なので、HR/HM系リスナーを中心にグイグイと引っ張る力強さがあります。音像は確かにヘヴィで硬質ではあるものの、緩急を大事にした構成、そして音の分離が良くプロダクションの仕上がりも大変良好です。各プレーヤーの技巧性やリズムセクションによる躍動感も充分に伝わってきます。主旋律の歌メロパートや印象深いボーカルを武器にした丹羽氏のパフォーマンスは流石です。大本氏と堀江氏によるギターソロやハーモニーも彼等の大きな特徴の一つとなっています。近年はHummingBirdでの活躍ぶりも見逃せないベーシストの海野氏、そしてドラマーの藤野氏の両者もリズム隊として底辺をしっかりと支えながら、要所でコンプレックスな変拍子を繰り出しています。各プレーヤーとシンガーそれぞれが見せ場を持っています。その辺りは、個人的にも楽しむポイントとなっております。今回のシングルCDは、ライブ会場に来る熱心なバンドのファンだけでなく、初めてVigilanteの音楽に接するメタルファンをも魅了する可能性が高いと思います。Volume 1ということなので、今後も続編となるCDが登場する可能性もありそうです。彼等のライブを実際に体験して気に入った方にお薦めできる内容となっています。CDは限定盤となっていますので、ライブ会場に足を運ぶ方はチェックしてみては如何でしょうか。(プロモ盤Review)

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