WINGER
country: United States
style/genre: HR/HM, Melodic Rock, etc.
website: http://www.wingertheband.com/ (いきなり音が出る場合があるので、ご注意を)
related bands/artists: Kip Winger, Reb Beach, Rod Morgenstein, Beau Hill, Paul Taylor, John Roth, etc.
similar bands/artists: Kip Winger, Alice Cooper, Unruly Child, Dokken, TOTO, etc.
artist info: 80年代後半に1stと2ndアルバムと立て続けにビッグヒットを放つ。アメリカを代表する実力派Hard Rockグループ。



Winger - Pull
Atlantic Records
(1993)

1980年代の後半に登場したアメリカ出身の実力派HR/HM系グループによる通産3枚目となる作品です。80年代からグラマラスなHard RockやMetal系を応援しているリスナーの間で人気が高かったWingerですが、彼等はルックスの良さだけでなく非常に演奏に長けた凄腕集団であります。最近は聴く頻度が低くなってしまいましたが、自分は元々アメリカン・ハードロックが大好きだったので当然Wingerは、よく聴いたバンドの一つです。暫くの期間は解散をしていましたが、2000年代に入って復活を遂げており、現在も世界中のファンを魅了しているのは流石です。

3枚目となるアルバム「Pull」は、ファンの間でも評価が分かれるところでしょう。前作の2枚と比べると渋すぎるというか地味め?という感触もあるでしょう。しかしながら、流石の完成度、そしてアメリカンHR/HM系の王道を貫きながらも楽曲の作り具合・プロダクション・演奏レベルの高さは素晴らしいと思いました。Paul Taylorが離脱していることも起因しているのか、キーボードやシンセサイザーもあまり使用されていません。"Blind Revolution Mad"でのKeyboardの味付けは、聴いていてバックグラウンドで使われているとは言え、大変気持ちが良く聴くことができる仕上がりです。その代わりと言ってはなんですが、12弦ギターをふんだんに使用した楽曲がメインとなっており聴き応えのあるナンバーがズラリと並んでいます。

1993年を振り返って考えると、80年代に一世を風靡していたLAメタル的なサウンドはなりを潜めておりました。シアトルグランジやオルタナティヴ路線のヘヴィサウンドの人気がピークを迎えていたことも影響をしており、アルバム全体のトーンは暗めという印象はあるかもしれません。しかし、彼等がここで表現している内容と演奏の充実度は文句無く充実していると感じました。自分もリリースされた当時にすぐにCD屋さんで購入しましたが、1993年当時と変わらず現在も楽しく拝聴しているアルバムです。1stアルバムで見受けることのできた、ギターリストReb Beachによる駆け上がるようなタッピング奏法は鳴りを潜めています。しかし、ここぞというところで切り込んで来るギターソロやバッキングのプレーは流石の一言。各楽曲はバブル期の頃とは違ってシリアスな内容が目立つ感じですが、Kip Wingerの歌はこれまで以上に情感を大事にしたように聴くことができます。

"Blind Revolution Mad"とか"Who's The One"は特に最高。2曲目の"Down Incognito"は、これまでになかったタイプのハーモニカを導入した洗練されたアメリカンハードなサウンドを披露しており、非常に大好きなナンバーです。あと"In My Vein"に関して見て行くと、終盤に差し掛かる辺りのリズムパターンが非常にカッコよい。変拍子とかテンポチェンジを巧みに導入させていると思うんですが如何でしょうか。時間にすると短めですがProg Metal的?と言いたくなるほどです。流石はDixie Dregsでも名を馳せたRod Morgensteinがドラムキットに鎮座しているだけあって、この辺りの変則パターンを一部取り入れつつクライマックスに達するところは流石Wingerでグっと来ますね。

1枚目と2枚目はアメリカン・ハードロックの楽しさや派手さが満載でしたが、3枚目のPullでは1993年当時までに培ってきた様々な音楽的アイデアを消化した流石の内容で感銘を受けました。バンド自体は1980年代の後半に登場したということで、当時のライバル達と比べると一歩遅きを失したのか?と思ったりもしました。しかし、彼等の場合はそれぞれの音楽活動で鍛え上げた演奏能力と楽曲制作のスキルの高さには舌を巻きます。実はWingerは、こちらのホームページでも良く紹介しているMind's EyeDaniel Floresにも影響を与えるほどの存在なのです(特に彼等の1stアルバムでのSynthアレンジやリズム面などを聴くと、Wingerの影響を散見することができると自分は思いました)。このアルバム以降、彼等がバラバラになったときは残念に思いましたが、最近はバンドも復活しておりますので今後も彼等のようなベテランには頑張ってもらいたいものです。Pullは自分にとってはフェイバリットな作品なので、機会を見つけてはよく引っ張り出して聴いています。完成度の高い都会的なセンスや渋い要素を含むハードロック・サウンドが好きな人にはお薦めの1枚です。(購入盤Review)

PILGRIM WORLD推薦盤

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