ZERO HOUR
country: United States
style/genre: Prog Metal, Technical Metal, etc.
website: http://www.zerohourweb.com/
related bands/artists: Death Machine, Jasun Tipton, Secular Trend, Mike Connor (Prodigy), Eric Rosvold, Destiny's Void, etc.
similar bands/artists: Dream Theater, Fates Warning, Spiral Architect, Death Machine, Messhugah, etc.
artist info: アメリカ西海岸を拠点として、ライブ活動やレコーディング活動などを活発にしているProg Metalシーンの巨星



Zero Hour - s/t (Metamorphosis)
Independent Release
(1999)

僕にとってZero Hourとの出会いは衝撃でありました。話が長くなるので、ここでは割愛しますが・・・とにかく彼らのデモテープを知り合いから聞いたときの衝撃は、凄まじいものがありました。あのDream TheaterのImages And WordsやKansas, Rush, Yesなどの音楽に初めて出会ったときの衝撃や感動にも近い感覚を受けました。しかも僕が初めて彼らの音楽に出会った1997年〜1998年辺りの頃だったので、まだどこのレーベルとも契約はしていなかった筈です。あのDino Aldenによってco-produceされた楽曲の数々がまさにマジックでありました。いまだに今まで聞いたデモテープの中では最もベストな作品の一つでした。演奏力の凄まじい高さ、圧倒されるテクニカルな演奏の応酬、研ぎ澄まされたギターソロ、キーボードソロ、リズム隊の強力且つパワフルなドライビング感。どれをとっても、今後の可能性を大いに期待させる内容でした。年月が経て、ネットやプログレメタル系を扱う雑誌を通し口コミが話題を呼びこのデモテープが一部修正されてCD化されたのが、このアルバムですが完成度の高さは、この時点でインディーズからのリリースだったとは言え出来は素晴らしい。今は冷静に色々と見つめていくと、デモテープで聞かれたマジックの一部がなくなっているところもあるがそれでも十分魅力をいまだに発散していると思います。極端な言い方かもしれませんが、彼らのような音楽との出会いがなかったら僕はPILGRIM WORLDというサイトやコミュニティーを作らなかったかもしれません。それだけ僕はこのバンドに惚れ込んでいます。このアルバムを機に、彼らは次第にPROG METALコミュニティーやテクニカルメタル系のファンに認知されていくことになるのです。今後の彼らに注目したいです。彼らのような音楽に出会う度にProg Metal系を応援して良かったと心の底から思います。(購入盤Review)

PILGRIM WORLD推薦盤


Zero Hour - The Towers of Avarice
Sensory
(2002)

The Laser's Edge傘下のレーベルSensoryと契約を交わし、満を持してリリースされた本格的なアルバム。San Joseや西海岸を拠点としてコンスタントに活躍をしているZero Hourですが、The Towers of Avariceは非常に充実した超絶技巧Prog Metalアルバムに仕上がっています。年々ファン層をじわりじわりと拡大させており、近年ではオランダ近辺を中心にAardshock誌やRock Hard誌などでも好評を得るなど、欧州でも認知度が高まってきたと思います。このアルバムで聞けるのはアングリーで爆裂するプログレメタルサウンドで、テクニカルで複雑なアンサンブルのタペストリーで形成されております。

以前のセルフ・タイトルCDや、デモ作品で顕著だったMatt GuilloryMike Connor、そしてEnchantのヘルプも担当した経緯を持つPhil Bennet達の流麗且つパッション溢れるシンセリードやキーボードソロなどは、殆どここで見出すことはできない。流麗なキーボードプレーや、テクニカル且つパッショネイトなギター・ベースサウンドをたくさんフューチャーしながらも、メタリック且つフルーイッドなProg Metalサウンドを得意としているイメージを持っている人たちには驚きを隠せないのではないでしょうか。

専任キーボーディストが不在の中、ダークで混沌としたパワフルなProg Metalサウンドになっています。しかしながら、Tipton兄弟のスリリングなリードプレー、パッショネイト溢れる男の咆哮が魅力的なErik Rosvoldのハイトーン唱法、そしてどんなテンポチェンジや変則ビートもお手の物にしているMike Gray達の演奏技術はいつものように非常に力強いです。聞き手をかなり選ぶ作品かもしれませんが、彼等にしか到達できなかった世界観を構築することに成功している。攻撃的でテクニカル指向の、とても忙しいシフト・ギアチェンジを得意とした変拍子Prog Metal音楽が提示されている。また楽曲によっては、リードギターリストのJasun TiptonとシンガーのErik Rosvoldによるアトモスフェリックなキーボードの調べを聴く事ができる。

この作品は、ちょっとしたコンセプトものになっております。抑圧されたアヴァライス塔にとらわれた人々の苦悩が描かれている。混沌とした世界、そして暗黒しか見出せない劣悪な環境・・・。歪みきったシステムを破壊してくれる救世主を望む人々たちの攻防・・・・。といったような内容を、音楽やストーリーラインから想起させるものがありました。個人的には、非常にスリリング且つエキサイティングな、これぞ変拍子Technical Metalの権化といった作品を提示してくれたJasun Tipton, Troy Tipton, Erik Rosvold, Mike Grayの4人によって築き上げられたZero Hourによる鉄壁の演奏力と、力強く深みのある重厚な音楽性に圧倒されました。Spiral Architect, The Quiet Room, Sieges Even, Fates Warning, Crimson Glory, Watchtower, Psychotic Waltz等の音楽を好むリスナーにお薦めしたい作品が、このThe Towers of Avariceであります。僕はこの作品をとても気に入っておりまして、2002年度のベストアルバムに選出いたしました。(購入盤Review)
PILGRIM WORLD推薦盤


Zero Hour - A Fragile Mind
Sensory
(2005)

前作も非常に衝撃的でコンプレックスなサウンドを聞かせてくれたZero Hourの新譜。破壊力と爆発力満点のProg Metalサウンドはキープしつつ、アンビエントな雰囲気作りにも気を配っております。テンポ・チェンジやリズムの速度にも気を配っており、通産3作目の出来上がりも見事である。テクニカル路線を大事にしながらも、現代的な感性をブレンドした音楽をさらに発展させているという印象です。派手なソロを少し押さえ気味にして、インタープレーや切れのあるリズムパターンが縦横無尽に登場するといった感じです。へヴィさとカッティングエッジな鋭さを強調し、静かなパートにも色気を出しているというのが顕著なところであります。

初期のボーカリストであった故Frank Mendezも、Zero Hourと最後まで行動を共にすることができませんでしたが、色々と諸事情が発生してErik Rosvold (vocal)も脱退してしまったのは、ZHのファンにとってはショッキングな出来事でもあり、残念な結果になってしまいました。こうやって考えていくと、彼らはリードボーカリストや専任キーボーディストが中々定着しないジンクスができてしまっているかもしれません。そういったジンクスを跳ね返す結果に繋がるように、新しいボーカリストとして、Destiny's Voidで活動をしていたFred Marshallが後任として迎えられております。声質は、割と前任者に基本路線は似ていると思いますが、マイルドな部分とシャウトの部分を上手く使い分けています。聴き手によってはRoy Khanぽいと感じる人もいらっしゃるかな?。

前作同様、専任キーボーディストは欠いたままでのテクニカル系Prog Metalサウンドを保持しておりますが、The Towers of Avariceと少し異なるアプローチやサウンド〜楽曲構成などの作りに変化球を加えております。ソング・オリエンテッドな部分では1stのMetamorphosisの要素を取り入れて、暖かみのあるプロダクションにも気を遣っているように思いました。専任のキーボーディストがおりませんが、Jasun Tiptonがキーボードサウンドを部分的に入れております。前作の冷徹でアングリーな側面を強調しているパーツもあれば、Metamorphosis (1st)でも見られた暖かみと静寂な側面を前面に出したパーツも登場しているという印象です。Zero Hourのバンド全体のアンサンブルは、基本的にはいつものコンプレックス且つ変拍子を巧みに導入した濃密なものであります。しかし、この作品で新シンガーが加入したことも影響しているのか、若干テクニカル度は少しトーンダウンさせている感じもいたします。Fred Marshallが朗々と歌い上げる部分も大切にしているという感じでありますね。ちなみに歌詞の面では、リズムやフレージングにおいても要となっているだけではなく、テクニカルなグルーブを得意とするTroy Tiptonによる閉塞感のある世界観が描かれているといった気配です。

初めのうちは、The Towers of Avariceのようなビジーで凝りまくりの、常にシフト・チェンジを繰り返すようなProg Metalを今回も期待していたので、正直虚をつかれてしまいました。しかしながら、聴くたびに印象は、どんどんと良くなってます。場面によってはポリリズム的アプローチも使用しており、グーでございます。今回も再び、Dino Aldenがプロダクションに関わっているので、サウンドは分厚いです。個人的には、いつかまた初期の助っ人メンバーだったMike ConnorMatt Guillory達が専任キーボーディストとして参加して、再びMetamorphosis級のドラマティックProg Metal作品を作ってもらいたいなーという願望があります。とはいえ、今後も前作あたりで培ったアングリー系の爆裂変拍子Prog Metal/Complex Metalの路線をさらに極めて欲しいと思う。今回の作品も日本盤が出るのでしょうか?、うん出て欲しいですねー。(購入盤Review)

PILGRIM WORLD推薦盤

discography:

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